Datacor、資産管理「TrackAbout」にAmazon Quick Sightを統合 レンタル分析のセルフサービス化を実現
要点
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プロセス製造・化学品流通向けソフトウェアを提供する米Datacorが、資産管理ソリューション「TrackAbout」に「Amazon Quick Sight」を統合したことをAWS ML Blogで発表した。
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産業用ガス・溶接機器の流通業者が扱うシリンダーやバルクタンクのレンタルデータを、自然言語検索や対話型ダッシュボードによって現場で直接分析可能にした。
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従来はIT部門やサポートへの依頼が必要で数日〜数週間を要していたレポート作成プロセスを解消し、ビジネスユーザー自身による即座のデータ探索を実現した。
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クラウド間を跨ぐデータパイプラインの自動化やテナント分離、生成BIによる自然言語クエリ機能を組み込み、未請求資産の発生防止や料金設定の迅速な判断を支援する。
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プロセス製造や化学品流通、エンジニアリング分野向けにソフトウェアを展開する米Datacorは、同社の資産管理ソリューション「TrackAbout」にクラウド型ビジネスインテリジェンス(BI)サービス「Amazon Quick Sight」を統合したことを明らかにした。2026年9月25日付のAWS ML Blogへの寄稿で発表された。産業用ガスおよび溶接機器の流通業者が保有するレンタル資産のデータを、現場の担当者が自ら探索・分析できるセルフサービス環境を構築したという。
背景と課題:IT依存によるレポート納期の長期化と収益機会の損失
産業用ガスや溶接機器を取り扱う流通業者にとって、高圧ガスシリンダー(ボンベ)やバルクタンクなどの資産貸出に伴うレンタル料金の請求は、総収益の極めて大きな割合を占める重要な収益源となっている。TrackAboutはサプライチェーン全体におけるこれら容器資産の追跡・管理を担うソリューションであり、顧客全体で2,750万個に及ぶ資産と月間72万5,000件を超える請求データを管理している。
しかし、これだけ膨大なデータが生成されているにもかかわらず、管理に必要な情報は運用システム内に孤立した状態で保持されており、IT部門やサポートチームを介さなければアクセスできない状況にあった。従来、顧客がインサイトを得るためには、Datacorのサポート窓口にSSRS(SQL Server Reporting Services:データベースから帳票やレポートを作成・配布するMicrosoftの機能)によるカスタムレポートや生データのエクスポートを申請する必要があった。その結果、レポートが納品されるまでに数日から数週間もの待機時間が発生していたという。
さらに、納品されるレポートは事前に要求された質問にのみ回答する静的な出力に限られていた。そのため、「アセチレンガスのレンタル料金を5%引き上げた場合にどのような影響が出るか」といった仮説検証を行おうとしても、新たな分析要求を出すたびに再び数週間単位の待機サイクルを繰り返さなければならなかった。流通業者は保有資産の規模や取り扱う製品の構成、展開地域、請求体系がそれぞれ異なるため、画一的な標準レポートを用意しても個別のニーズを満たすことは難しく、手作業による個別対応もスケールしなかった。その結果、重要な料金設定の判断が不完全な情報のまま行われ、レンタル日数の未請求や回収可能な収益の取りこぼしにつながっていたとされる。
解決策:Amazon Quick Sightによるセルフサービス分析と生成BIの導入
こうした課題を解消するため、DatacorはTrackAbout内にAmazon Quick Sightを組み込み、顧客向けのアナリティクス基盤を刷新した。これにより、システム内にインタラクティブなダッシュボードと自然言語検索バーが直接統合された。
導入された仕組みにより、ビジネスユーザーはIT部門に依頼チケットを発行したりカスタムレポートの完成を待ったりすることなく、Web画面上からレンタル実績データを探索できるようになった。特に、Amazon Quick Sightに搭載された生成BI(自然言語による対話や指示を通じてデータの集計や可視化を行う機能)を活用することで、ユーザーが日常の言葉(自然言語)で質問を入力するだけで、必要なデータやインサイトを即座に引き出すことが可能になったとしている。
このセルフサービス化によって、顧客は資産の稼働状況や料金パフォーマンス、収益の回収状況をリアルタイムに把握し、データに基づいた迅速な意思決定を行える環境が整った。
実装と基盤構築:クロスクラウド連携とデータ品質の担保
今回のシステム構築にあたり、Datacorはフロントエンドの分析機能だけでなく、その背後にあるデータ基盤の自動化と堅牢性の確保に注力したと説明している。
具体的には、運用システムと分析環境を結ぶ自動化されたクロスクラウド(複数の異なるクラウドサービスを跨ぐ構成)のデータパイプラインを構築した。また、マルチテナント環境において顧客ごとのデータを安全に隔離するテナント分離(tenant-isolation)の仕組みや、転送されるデータの整合性を保証する行数検証(row-count validation)などの仕組みが実装された。
Datacorの担当者は「興味深かったのはAIそのものではなく、その下層にある地道な作業だった。クラウドを跨ぐデータ取り込み、行数検証、テナント分離といった基盤づくりこそが重要だった」と振り返っている。
成果
Datacorは、散在していたレンタルデータを自動連携させ、生成BIと組み込みダッシュボードを提供することで、顧客が日常業務の中でデータを最大限に活用できる仕組みを整えた。これにより、流通業者は複雑なITプロセスを経ることなく、未請求日数の削減や収益回収率の向上に向けた施策を自律的に進められるようになったとしている。