DiDi、Amazon Bedrockを活用したコンタクトセンターQAシステムを構築 意図検証精度が38%から86%に向上
要点
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中国配車大手DiDiの海外事業部門(IBG)が、AWSと共同で「Amazon Bedrock」を活用した独自のコンタクトセンター品質保証(QA)システムを構築した。
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従来の不透明なサードパーティ製ソリューションから移行し、意図検証の精度が38%から86%へと大幅に改善した。
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コンプライアンス評価の採点精度は90%以上を達成し、顧客の声(VOC)の要約作業時間を数時間から数分へと短縮した。
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14の国と地域における配車・フードデリバリー・金融サービスの3事業、およびスペイン語とポルトガル語の対応をカバーしている。
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中国のモビリティプラットフォーム大手DiDi(滴滴出行)の海外事業部門であるDiDi International Business Group(IBG)が、AWSの生成AIプラットフォーム「Amazon Bedrock」を活用した独自のコンタクトセンター品質保証(QA)システムを構築したことが明らかになった。AWS公式の機械学習ブログ(AWS ML Blog)が2026年9月8日付で公開した。新システムは、判断根拠が不透明だった従来の外部ソリューションを置き換える形で開発され、本番環境の検証において意図検証の精度を大幅に向上させるなど顕著な成果を上げているという。
14か国・3事業にまたがる多言語コンタクトセンターの背景
DiDiの海外事業部門であるIBGは、14の国と地域で展開し、配車サービス、フードデリバリー、金融サービスの3つの事業ラインを通じて数千万人のユーザーにサービスを提供している。同部門のカスタマーエクスペリエンス(CX)チームでは、ライブチャットや電話といった複数のチャネルを通じて毎月大量の問い合わせ(チケット)を処理しており、その対応言語は主にスペイン語とポルトガル語にまたがる。カスタマーサービスの品質はユーザーの継続率やブランドへの信頼に直結するため、コンタクトセンターにおける厳格な品質管理が極めて重要な役割を担っている。
外部ソリューションが直面していた4つの主要課題
事業の拡大やQA基準の急速な変化に伴い、それまで利用していたサードパーティ製のQAソリューションでは透明性や柔軟性が不足していたという。DiDiのCXチームは具体的に以下の4つの課題に直面していた。
1つ目は、QA判断における追跡可能性(トレーサビリティ)の欠如である。QAによる判定はコンプライアンス監査やサービス改善の根拠となるが、従来のシステムは判断プロセスが見えないブラックボックスとなっていた。人手による抜き取り検査もコストや処理能力の制約があり、過去の判定に対する十分な監査証跡を残すことができなかった。
2つ目は、サービスシナリオの組み合わせによる複雑さである。複数言語と3つの事業ラインが掛け合わされ、それぞれに独自のコンプライアンス基準やQAルールが存在する。サービスの組み合わせが増えるにつれてルールの維持管理コストが増大し、一貫した評価を保証することが難しくなっていた。
3つ目は、QA基準の変更に対する追従の遅さである。ビジネスの進展に伴って評価基準は頻繁に変更されるが、そのたびに担当者の再教育やガイドラインの改定が必要となる。この移行期間中に新旧の基準が混在し、判定結果の不整合が生じる要因となっていた。
4つ目は、能動的なトレンド検知の難しさである。特定の問題が短期間に急増した場合でも、運用チームが問い合わせを1件ずつ確認して手作業で集計するしかなく、問題の早期発見や迅速な対応が困難な状況にあった。
3つのコアパイプラインと「高精度なコンテキスト管理」
これらの課題を解決するため、DiDi IBGのCXチームはAWSと連携し、Amazon Bedrockを基盤とした透明性の高い自社製QAシステムを構築した。このシステムは主に3つのコアパイプラインで構成されている。
1つ目は問い合わせ内容の正確な把握を行う「意図検証(Intent Verification)」、2つ目は対応ルールや法令の遵守を確認する「コンプライアンス評価(Compliance Evaluation)」、そして3つ目が問い合わせから利用者のフィードバックを抽出する「顧客の声(VOC: Voice of Customer)分析」である。
本システムの実装において中核となったのが、「高精度なコンテキスト管理(Precise Context Management)」と呼ばれる設計原則である。これは、AIモデルを呼び出すたびにモデルが参照する情報を厳密に制御する手法であり、この原則の徹底がシステム全体の高い成果を牽引したと説明されている。
本番環境での成果とAmazon Bedrock採用の理由
本番環境における検証では、複数の指標で顕著な改善が確認された。意図検証の精度は従来の38%から86%へと大幅に向上したほか、コンプライアンス評価の採点精度も90%以上を達成した。さらに、VOC分析においては、従来の手作業で数時間かかっていた要約作業がわずか数分に圧縮されたという。
DiDiがAI基盤としてAmazon Bedrock(多様な基盤モデルを単一APIで利用できるAWSのフルマネージドサービス)を選択した理由として、主に2つの点が挙げられている。
1つ目は、単一のAPIを通じて多様な基盤モデルを選択できる柔軟性(モデル非依存性)である。これにより、パイプラインごとにアーキテクチャ全体を再設計することなく、最適なモデルを柔軟に選択・適用することが可能になった。2つ目は、機密データを適切に保護するための組み込みのガバナンス機能や強固なセキュリティ制御が備わっている点であり、これらが選定の決め手になったと説明している。