Docker、AIエージェントの制御・セキュリティ基盤に向けたエコシステム連携を発表——WeAreDevelopersでパートナー各社とセッションを展開
要点
-
Dockerは、AIエージェントの安全な実行と制御を担う共通基盤を提供し、幅広いパートナー企業や顧客とのエコシステム連携を推進していることを公式ブログで公表した。
-
米国サンノゼで開催される「WeAreDevelopers World Congress North America」のDocker Pavilionにおいて、パートナーおよび顧客企業が登壇するセッションやデモを実施する。
-
顧客企業の事例として、J.P. Morgan PaymentsによるAPI連携コンテナ環境や、Spectro Cloudによるエッジ環境でのAIエージェント再現デプロイなどが紹介される。
-
セキュリティや監視ツールを手がけるPalo Alto Networks、Datadog、Snyk、GitGuardianなどが登壇し、エージェントの監査、シークレット保護、メモリ管理、コード検証などの技術を公開する。
-
米Dockerは2026年9月22日、米国カリフォルニア州サンノゼで開催されるカンファレンス「WeAreDevelopers World Congress North America」(9月23日〜25日開催)の同社パビリオンにおいて、パートナー企業および顧客企業によるセッションを実施すると公式ブログで発表した。急速に普及するAIエージェントの活用において、ガバナンスと制御性を維持しながら開発を進めるためのエコシステム連携と、各社の具体的な技術的アプローチが紹介されるという。
AIエージェントの「封じ込めと制御」を担う共通基盤とオープンエコシステム
Dockerはブログ記事の中で、開発チームがAIエージェントを実務へ投入するにあたり、モデル、外部ツール、インフラが目まぐるしく変化する中で、デプロイに対する制御を失わずに迅速に行動することが求められていると指摘している。スタックが進化する中で各コンポーネントを連携させ、説明責任を維持することがAIアプリケーション構築の中核課題になりつつあるという。
この課題に対し、Dockerはエージェントワークロードの「封じ込め(containment)」「精選(curation)」「制御(control)」を実現する信頼性の高い共通基盤を提供し、オープンなパートナーエコシステムと組み合わせるアプローチをとっていると説明している。
対象となるエコシステムは、モデルプロバイダー、MCP(Model Context Protocol:モデルと外部ツールを接続するプロトコル)ツールおよびゲートウェイ、エンタープライズアプリケーション、データ・メモリプラットフォーム、アイデンティティ、セキュリティ、オブザーバビリティ(可観測性)、コード品質管理、クラウド事業者、システムインテグレーターなど多岐にわたる。開発者がアクセス権限や作業内容、成果物の検証における主導権を握り続けられるよう、環境変化に耐えうるガードレールとツールの提供を目指しているという。
顧客セッション:エッジ環境での再現デプロイや金融APIのコンテナ化(9月24日)
9月24日に開催される顧客企業によるセッションでは、実際のシステム構築における技術の統合事例が紹介される。
- Spectro Cloud: 「Repeatable Agentic Workloads on Palette」と題し、バージョン管理されたクラスタプロファイルを活用して、セキュリティを強化したイメージ(Docker Hardened Images)、ローカル推論、エージェントワークロードを統合し、クラウド接続のないオフライン環境を含むエッジへの再現可能なデプロイを実演する(12:15〜12:30)。
- 合同パネルディスカッション: DockerのPer Krogslund氏がホストを務め、Spectro CloudおよびJ.P. Morgan Paymentsの幹部が登壇。「From TokenMaxxing to True AI Ownership」をテーマに、単なるトークン消費の拡大から、AIのデプロイ、ガバナンス、運用の主導権を自社で握る「真のAIオーナーシップ」への移行について議論を交わす(15:45)。
- J.P. Morgan Payments: 「Insert Coin: docker compose up with J.P. Morgan Payments」と題し、APIキーを必要とせず、1つのコマンドで「Unicorn Finance」を実行できるオープンソースのサンプルを実演する。クライアント、モックサーバー、同社のPayments APIを支える実際のOpenAPI仕様を2つのコンテナに集約した構成が公開される(16:30〜16:45)。
パートナーセッション:監査、監視、脆弱性対策などのセキュリティ強化(9月24日)
同日午後には、セキュリティやデータ基盤を提供するパートナー各社によるライトニングトークが予定されている。
- Palo Alto Networks: 「Cortex XSIAM」における検索可能な監査記録とリアルタイム検知を通じて、エージェントのアクティビティを調査する統合環境を実演する(11:15〜11:30)。
- Datadog: 「AI Guard」、サービスコンテキスト、インシデント管理を連携させ、エージェントのセキュリティインシデントにおける検知から調査、対応までのプロセスを解説する(12:45〜13:00)。
- ClickHouse: データベースのベースイメージから不要なコンポーネントを削減し、Docker Hardened Images上でClickHouseを運用する手法を紹介する(13:15〜13:30)。
- Prediction Guard: 実行環境の隔離とモデル呼び出し制御の連動性を検証し、悪意を持って汚染されたツール出力(poisoned tool output)に対する防御テストを行う(15:15〜15:30)。
- Snyk: 「Evo Agentic Development Security Sandbox Kit」を使用し、エージェントの動作背後にあるプロンプト、ファイル操作、生成コードを可視化するデモを実施する(17:00〜17:15)。
パートナーセッション:シークレット保護、メモリ管理、コード品質の検証(9月25日)
9月25日には、エージェントの実行時制御やナレッジ連携、成果物の検証をテーマとしたセッションが展開される。
- GitGuardian: エージェントによるファイルの読み取り、コード編集、コマンド実行のタイミングを制御し、フックを活用してシークレット(機密情報)を保護する手法を示す(9:00〜9:15)。
- Mend.io: 悪意のある入力を検知し、安全でないアクションを阻止してエージェントの動作を記録するランタイムガードレールの導入方法を実演する(9:30〜9:45)。
- Merge: サードパーティの認証情報をサンドボックス(隔離された安全な実行環境)の外部に保持したまま、エージェントに統合カタログへのアクセス権を付与する仕組みを説明する(9:45〜10:00)。
- BAND: 「Jam」を通じた連携により、個別にサンドボックス化されたコーディングエージェント同士がタスク、メッセージ、成果物を相互に交換するアプローチを公開する(12:15〜12:30)。
- Chainloop: プルリクエスト(コード変更の提案)において、エージェントの作業記録に電子署名を付与してポリシーチェックを行い、レビュー担当者へ確実な証拠を提示する手法を実演する(13:15〜13:30)。
- Box: ガバナンスされた文書アクセス、エビデンス検証、隔離されたコード実行を組み合わせ、企業内ドキュメントを人間がレビュー可能な成果物に変換するデモを披露する(14:30〜14:45)。
- SurrealDB: エージェントがいつ何を知っていたかを時系列で追跡・検査できるメモリ構造の構築手法を解説する(14:45〜15:00)。
- Cognee: エージェントに対して社内ナレッジへの一時的なアクセスを許可し、タスク完了時にアクセス権を破棄する実践的なアーキテクチャを紹介する(15:45〜16:00)。
- Sonar: サンドボックス環境内で「Sonar Vortex」および「SonarQube CLI」を用い、エージェントが生成したコードの変更内容をガイド・検証するワークフローを実演する(16:45〜17:00)。
Dockerは、これらのセッションを通じてツール開発者と利用現場のチームを結びつけ、エンジニアが直面する課題解決に向けたアプローチを比較・確認できる機会を提供するとしている。