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Docker Blog

Docker、AIエージェント向け隔離環境「Docker Sandboxes」を発表 権限設定のOCI標準化とクラウド連携も展開

要点

  • 米Dockerは、自律型AIエージェントを専用のマイクロVMで安全に隔離実行する「Docker Sandboxes」を発表した。

  • エージェント本体やツール、アクセス権限をOCI標準イメージとして一括管理・共有できる「Sandbox Kits」を公開し、CNCFへの仕様提出を表明した。

  • ローカル環境の作業をコマンド1つでクラウドへ引き継ぎ、PCを閉じた後も継続・並列実行できる「Docker Cloud Sandboxes」の提供を開始した。

  • スタンドアロンCLIによるローカル向けDocker Sandboxesおよび従量課金制のDocker Cloud Sandboxesは即日利用可能となっている。

  • 米Dockerは2026年9月24日(現地時間)、開発者向けカンファレンス「WeAreDevelopers North America」の基調講演において、自律型AIエージェントを安全に実行するための包括的なプラットフォーム機能を発表した。プレジデントのMark Cavage氏が登壇し、マイクロVM(軽量かつ高速に起動する仮想マシン)を用いた隔離機能「Docker Sandboxes」をはじめ、エージェントとその実行権限をパッケージ化する「Docker Sandbox Kits」、クラウド上で作業を継続・並列実行できる「Docker Cloud Sandboxes」を明らかにした。

自律動作するAIエージェント向けの強固な隔離環境「Docker Sandboxes」

コーディング用途のAIエージェントは、コード生成にとどまらず、ライブラリなどの依存関係のインストール、ネットワークへのアクセス、認証情報の利用など、システムに対する直接的な操作を伴う。エージェントが自律的に実行できる権限が広がるほど、誤作動や意図しない動作が開発環境やシステム全体に及ぼす影響は大きくなるという課題があった。

基調講演に登壇したCavage氏は、コンテナが従来のアプリケーションの分離を目的として設計されているのに対し、エージェントは自ら判断して周囲のシステムに影響を与える「アクター(行動主体)」であると指摘した。そのため、単なるプロセスの分離ではなく、エージェントが到達可能な環境全体を包括的に封じ込める必要があると説明している。

今回発表された「Docker Sandboxes」は、エージェントごとに独立したマイクロVMおよび専用カーネルを割り当てることで、開発者のホスト環境から完全に切り離された隔離空間を提供する。開発者は任意のモデル、フレームワーク、ツールを選択した上で、ファイルシステム、ネットワーク、認証情報(シークレット)へのアクセス権限をサンドボックス側に定義できる。これらのアクセス制御ポリシーはエージェントの制御権限外に置かれるため、エージェントが自らの権限を書き換えることはできない仕組みとなっている。

Docker Sandboxesは、スタンドアロンで動作する無料の専用CLIを通じて即日提供が開始されており、既存のエージェントワークフローにそのまま導入できるとしている。

権限設定をOCIイメージとして標準化する「Docker Sandbox Kits」

Dockerはあわせて、エージェントの実行環境とアクセス権限を再現可能な形で配布・共有するための仕様「Docker Sandbox Kits」の次世代版を発表した。

Sandbox Kitsは、AIエージェント本体、利用する各種ツール、サンドボックスがアクセスできる範囲を定めたルールを、1つのバージョン管理可能な成果物としてパッケージ化する技術である。このパッケージは、コンテナの標準規格を策定する業界団体であるOCI(Open Container Initiative)の標準イメージ形式に準拠して構築されている。これにより、開発者は従来のコンテナイメージと同じワークフローを用いてKitsを共有・管理できるほか、エージェントに与えられた権限の変更履歴を可視化し、コードレビューと同様に監査することが可能になるという。

基調講演では、AI研究組織のNous Researchが登壇し、同組織のエージェント「Hermes」をDocker Sandboxes上の第1級Kitとして実行するデモを披露した。サードパーティ製のエージェントであっても、共通の実行環境向けにパッケージ化することで、基盤となる隔離レイヤーやアクセス制御を再構築することなく安全に利用できる点が示された。

さらにDockerは、Sandbox Kitsの仕様をオープンソースのクラウドネイティブ技術を推進する非営利組織CNCF(Cloud Native Computing Foundation)へ提出する方針を表明した。ベンダー中立なガバナンスのもとで、業界共通のオープン標準として確立を目指すとしている。

CNCFのCTOであるChris Aniszczyk氏は、Sandbox KitsがOCI標準イメージとして提供されることについて、業界全体がAIエージェントとそのツール、ガードレールを単一の成果物としてオープンかつ再現可能にパッケージ化できるようになると評価し、中立なガバナンスへの移行を歓迎するコメントを寄せている。

ローカルからクラウドへシームレスに処理をオフロードする「Docker Cloud Sandboxes」

Dockerは、ローカル開発環境とクラウドを接続する新サービス「Docker Cloud Sandboxes」も発表した。

AIエージェントの処理には、短時間で完了するものだけでなく、長時間の実行を要するタスクや、複数のタスクを並列して処理させたいケースが存在する。Docker Cloud Sandboxesは、ローカルのDocker Sandboxesと同じマイクロVMベースの隔離環境を、Dockerが管理するクラウドコンピュート基盤上で提供する。

開発者は、専用のCLI(sbx)を用いてローカルで開始した作業を、コマンド1つでクラウドへ移行させることができる。クラウドへオフロードされた作業は、開発者がノートPCを閉じた後もバックグラウンドで継続して実行される。また、インフラのプロビジョニングや保守を自ら行うことなく、タスクの並列実行が可能になるとしている。

Docker Cloud Sandboxesは、従量課金制(pay-as-you-go)モデルで即日提供が開始されている。なお、新規アカウント向けには、利用開始時に適用可能な250ドル分のコンピュートクレジットが期間限定で提供される。

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