Docker Hubのアカウント組織変換機能に深刻な脆弱性、他者になりすましイメージ操作の恐れ――悪用の形跡は確認されず
要点
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Docker Hubにおいて、個人アカウントを組織へ変換する際にアクセストークンが新オーナーへ意図せず再割り当てされる脆弱性(CVE-2026-105445)が判明した。
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攻撃者が細工したアカウントを使うことで、標的ユーザーの権限でコンテナイメージの取得や改ざん、公開が行われるサプライチェーンリスクが存在した。
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Dockerは報告から約4時間以内に修正を適用し、約30万4,000件のログを調査した結果、悪用の痕跡は見つからなかった。
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影響を受けた可能性のあるユーザーへ個別に通知され、引き継がれたトークンは原則として強制無効化された。
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米Dockerは2026年10月12日、コンテナレジストリ「Docker Hub」のアクセス管理機能に存在していた重大な脆弱性(CVE-2026-105445)に関するセキュリティアドバイザリを公開した。外部研究者からの報告を受けて判明したもので、受領から4時間足らずで修正が本番環境へ適用されたという。過去のログを調査した結果、実際に悪用された証拠は確認されていないとしている。
アカウント組織変換に伴うトークン所有権の自動移行が原因
Docker Hubには、リポジトリの参照パスを維持したまま運用を引き継ぐため、個人アカウントを組織(Organization)アカウントへ変換する機能がある。変換手続きでは、新組織のオーナーとして既存の別アカウントを指定する仕組みとなっていた。
しかし、2024年8月26日以降の実装において、変換元のアカウントで発行された個人アクセストークン(PAT:パスワードの代わりにAPI等で認証を行う文字列)が、秘密情報を更新・失効させずに新オーナーへ再割り当てされる不備が生じていた。さらに、新オーナー側への事前確認や通知も行われていなかった。
これにより、攻撃者が作成したアカウントでトークンを発行し、標的をオーナーに指定して組織へ変換することで、攻撃者が秘密情報を保持したまま、標的ユーザーの権限でレジストリへアクセスできる状態が生じていた。
レジストリ操作が可能も、アカウント乗っ取りは否定
本脆弱性が悪用された場合、攻撃者は再割り当てされたトークンを使い、標的ユーザーがアクセス権を持つリポジトリに対してコンテナイメージの取得(pull)、送信(push)、削除が可能になる恐れがあった。正規のユーザー名でイメージを公開できることから、Dockerはこの問題をサプライチェーンリスクとみなし、深刻度を「Critical(緊急)」と評価した。
一方で、このトークンでDocker HubのWeb管理画面へログインすることはできず、パスワードやメールアドレス、2要素認証(2FA:複数手段で本人確認を行う仕組み)の設定変更など、アカウント自体の乗っ取りには至らない仕様であったと説明している。
4時間以内の即日修正と30万件超のログ調査
影響期間は2024年8月26日から、修正が完了した2026年9月30日(米東部時間)までとされる。Dockerは9月30日午前に報告を受けて社内テストで問題を再現し、受領から4時間弱で修正を本番環境へデプロイした。変換時にトークンを引き継がないよう改修し、ドキュメントの改定や研究者への連絡も同日中に完了した。
同社は過去の全アカウント変換を洗い出し、移行されたトークンによる約30万4,000件のイメージ送信(push)を精査した。その結果、すべての送信先は当事者自身の正規リポジトリであり、第三者アカウントへの送信は確認されなかった。同一人物による管理と確認できなかった公開イメージに対しても静的解析(実行せずにファイルを検査する手法)を行ったが、マルウェアや改ざんの痕跡は見つからず、同社インフラへの影響も確認されていない。
トークンの強制無効化と恒久的なプロセス改善
未使用のトークンはログに残らない特性を踏まえ、Dockerは該当期間中に変換されたすべてのトークンを潜在的リスクとみなした。10月2日に対象ユーザーへ案内メールを送信し、事前の申し出で保持を希望したユーザーを除き、10月8日をもって対象トークンを強制無効化した。
恒久的な再発防止策として、組織オーナー指定時のユーザー同意と通知の義務化、トークン所有権の変更履歴に関する監査ログの記録、ならびに認証情報が移動する他機能の点検を進めているという。
なお、案内メールを受信していないユーザーは本脆弱性の影響を受けておらず、特段の対応を行う必要はないとしている。