OWN NEWS GATHER
← 戻る
OpenAI Blog

法務AIのLegora、OpenAI「GPT-6 Astra」で財務諸表41件の照合を数分で完了――従来比40%の精度向上を報告

要点

  • リーガルテック企業のLegoraが、OpenAIのモデル「GPT-6 Astra」を活用した業務自動化の検証結果を公表した。

  • 膨大な照合作業を要する財務諸表の突合において、単一のエージェント実行で41件の文書を数分で処理した。

  • 独自ベンチマークの財務諸表ワークフローで従来モデル比約40%の性能向上を記録し、仕込まれた4件の誤りを全て検出した。

  • 網羅的な突合と記録をAIが担い、最終判断を人間の専門家が下す体制により、監査や税務領域への展開を進めている。

  • OpenAIは2026年9月3日、法務・専門職向けエージェントプラットフォームを提供する英欧のスタートアップLegoraにおける「GPT-6 Astra」の導入事例を公式ブログで公開しました。Legoraは、高度な処理能力を持つ同モデルをエージェントに組み込むことで、従来は長時間を要していた複雑な財務諸表の突き合わせ作業を大幅に効率化し、精度と網羅性を向上させたことを明らかにしています。

膨大な手作業を伴う財務諸表の突合を数分で完了

企業の決算や法務関連業務で発生する「財務諸表の突合(タイアウト)」は、専門家にとって極めて負担の大きい作業の一つです。この業務では、決算書のドラフトに記載されたすべての数値を、試算表(各勘定科目の残高を集計した一覧表)や連結明細、前年度の決算書などと突き合わせ、項目ごとに金額が一致しているかを確認していきます。Legoraのリーガルエンジニアであるパースヴァル・パークス(Percevale Perks)氏によると、この作業は「一晩中かかることもあり、場合によっては数日を要する」ほど手間がかかるものだといいます。

Legoraは今回、OpenAIの「GPT-6 Astra」をAPI経由で自社エージェントに統合し、この突合プロセスの自動化を検証しました。その結果、41件に及ぶ文書の突合処理が、単一のエージェント実行によってわずか数分で完了したと報告しています。エージェントは各数値を裏付けとなる明細スケジュールと照合し、金額の不一致や差異を検出するとともに、実施したすべてのチェック内容を詳細に記録します。これにより、担当者は各行の項目や数値に関する緻密な検証記録を手元に置き、確認作業を進められるようになります。

パークス氏は今回の成果について、「以前と比べて変化したのは処理能力であり、これほど大量の文書を取り込み、極めて複雑な情報を消化して、あらゆる行項目や数値を把握できるようになった点にある」と述べています。

独自ベンチマークで40%向上、50万ポンドの隠れた不一致も全件検出

Legoraは、実際のユースケースに基づく法務タスクの遂行能力を測定する独自評価指標「Legora Benchmark for Agentic Reasoning(BAR)」を用いて、GPT-6 Astraの検証を実施しました。その結果、財務諸表ワークフローにおいて、従来のモデルと比較して約40%の性能向上が確認されたとしています。なお、BARに含まれる全タスクの平均では約3%の向上を記録しています。

実際の突合作業の検証では、正確性、完全性、信頼性の各面で改善が見られました。特に、検証のために決算データ内へ意図的に仕込まれていた4つの誤りすべてを検出することに成功したといいます。この中には、売上高の注記部分に隠されていた50万ポンドの差額も含まれていました。

さらにGPT-6 Astraは、従来モデルが正しく判定できていたチェック項目をすべて維持した上で、新たに約50件の確認作業を追加で完了させるなど、より網羅的で精度の高い初期チェックを実現したと説明されています。

人間が最終判断を担う設計で監査・税務領域へ拡大

Legoraは、50以上の市場において1,800を超える企業内法務部門や法律事務所、10万人以上の専門家に利用されているエージェント型の業務プラットフォームです。同社のリーガルエンジニアが顧客と直接連携し、契約書のレビューから法的リサーチに至るまで、一連の業務プロセスに合わせてプラットフォームを適合させています。

同社のアプローチで一貫しているのは、AIが網羅的な比較や記録作成を担当する一方で、個々の結果に対する最終的な判断や意思決定は人間の専門家が保持するという「Human-in-the-loop(人間が判断に関与する仕組み)」の思想です。AIによる迅速で漏れのない一次スクリーニングと明確な検証記録の提供によって、専門家は判断業務に集中できるようになります。

Legoraはこの協調体制を基盤として、これまでの法務領域にとどまらず、監査、税務、コンプライアンス、リスク管理といった隣接する専門業務分野へのプラットフォーム展開を進めているとしています。

元URL