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The Hacker News

公開サーバーから露呈したAI支援のフィッシング開発、Rapid7がツールキットを分析

要点

  • セキュリティ企業のRapid7が、設定ミスで公開状態だったマルウェア攻撃者のサーバーから開発ツールキットを回収した。
  • 攻撃者は、オープンソースの一般向けAIコーディングツールを活用し、攻撃手法の検証やドキュメント作成を高速化していた。
  • ツールキットからは、Windowsの脆弱性(プログラムの安全上の弱点)を悪用したWebDAV乗っ取り手法の検証記録や、実行中のキャンペーン情報が発見された。
  • 開発メモやコードには生成AI(LLM)特有の構造や絵文字が多用されており、攻撃者がソフトウェア開発チームのように効率的に活動している実態が示された。

リード

セキュリティ企業のRapid7は、サイバー攻撃者が設定ミスにより公開状態のまま放置していた配信サーバーから、開発中のツールキットを回収して分析した結果を公表した。このツールキットには、AIを活用してフィッシング攻撃用のコードや検証用ドキュメントを高速に生成した形跡が残されていた。これにより、攻撃者が大規模言語モデル(LLM)を導入して効率的に活動している実態が明らかになった。

本文

設定ミスで公開されたマルウェア開発現場

Rapid7が回収したツールキットは、おとり用テンプレートやテストデータ、実験記録、ドロッパー(他のマルウェアをシステムに引き込むプログラム)、構築メモなど、計1,048個のファイルで構成されている。通常は防御側が目にすることのない開発段階のテストメモや失敗した実験、さらには配信ログまでもがサーバー上に残されていた。

分析の結果、この攻撃者は「Coderrr(CodeRRR)」と呼ばれるオープンソースのAIコーディングツールを使用していた。Coderrrは、Claude CodeやCursorといった一般向けAIアシスタントに影響を受けて開発された汎用ツールであり、攻撃者専用ではない。しかし、攻撃者はこれをマルウェアの制作やテスト、ドキュメント化に悪用していた。

WebDAV悪用技術の再現と代替手法の検証

ツールキットの中で最も注力されていたのは、Windowsの脆弱性「CVE-2025-33053」(CVSSスコア 8.8)を悪用したWebDAV(ウェブサーバー上のファイルを管理するプロトコル)の乗っ取り技術である。

この手法は、Windowsの.urlショートカット悪用により、信頼された「署名済みプログラム(開発元が保証された実行ファイル)」の起動時に作業ディレクトリを攻撃者のWebDAVサーバーに向けるものだ。これにより、正規プログラムの代わりにWebDAV上の不正プログラムが読み込まれ実行される。攻撃者のREADME(説明書)には、この手法によりセキュリティ警告を完全に回避できると記されていた。

この脆弱性は修正済みであるほか、最新のWindows 11 24H2では関連コンポーネントが廃止されたため機能しない。そのため、攻撃者はこの制限を突破するための「包括的なテストキット」を作成し、他の59種類の正規署名プログラムを対象とした検証用の.urlファイルを用意していた。それぞれに乗っ取りが成功する理論とテストの優先順位が記され、新たな悪用ルートを探っていた形跡がある。また、MSHTMLのバイパス脆弱性「CVE-2026-21513」やNTLMの資格情報漏えい脆弱性「CVE-2025-24054」のテストデータも含まれていた。

生成AIの痕跡と実際の攻撃キャンペーン

Rapid7は、READMEや検証結果の表、各テストファイルを紐付ける _MAPPING.csv ファイルなどにAIの痕跡を見出している。これらの文書には、LLM(人間のように自然な文章を作る大規模言語モデル)特有のフォーマットや冗長な説明、絵文字の多用が見られ、フィッシングサイト用のコードにも同様の傾向があった。

また、フォルダ名にはロシア語の表現が含まれており、ロシア語圏の攻撃者である可能性が示されている。サーバー上には「Simba Service」と呼ばれる管理パネルも配置されていたが、初期設定の認証情報のまま放置されていた。

このツールキットはすでに実際の攻撃キャンペーンで稼働しており、メキシコのWindowsユーザーを標的とし、偽の政府ID検索サイトからWebDAV経由で情報を盗み出す「インフォスティーラー(情報窃取型マルウェア)」を配信していたことが確認されている。

補足

サイバー攻撃者がAIを導入する動きは活発化しており、今回の事例は、一般向けのAIコーディング支援ツールがマルウェアの開発や検証作業を効率化するために悪用されている現状を裏付けるものとなった。

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