Google、東南アジアにおける「Gemini」利用実態レポートを初公開――ユーザー数は1年で2倍以上に急増
要点
- 東南アジアにおける「Gemini」アプリのアクティブユーザー数が、過去1年間で2倍以上に増加した。
- 同地域での普及ペースは他のGoogleアプリを上回る記録的な速さで、25歳未満が約40%を占める若い世代が牽引している。
- プロンプトの約70%が現地語で入力されており、タイやベトナムでは8割を超えるなど、高い現地語対応能力が支持されている。
- リクエストの約75%がモバイル端末からで、音声や画像、動画を用いたマルチモーダルな入力が40%以上を占めている。
- ロック画面からでもアプリをまたいでタスクを実行できる新機能「Gemini Spark」の現地語版が、今週から有料ユーザー向けに提供される。
- Googleは2026年7月14日、同社のAI(人工知能)アシスタント「Gemini」に関する東南アジア地域での利用実態をまとめた初の報告書「Gemini Southeast Asia Report」を発表した。同報告書は、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムの主要6カ国を対象としたもの。同地域におけるGeminiアプリのアクティブユーザー数は過去1年間で2倍以上に増加しており、他のGoogleアプリを上回る記録的な速さで普及が進んでいるという。この急成長は、地域の人口の約40%を占める若い世代の存在と、現地言語への高度な対応能力によって支えられている。
若いデジタルネイティブ世代が普及を牽引
東南アジアにおけるGeminiアプリの急速な普及において、主役となっているのが若いデジタルネイティブ世代である。地域の人口の約40%を占める25歳未満の層は、他の年齢層と比較してGeminiへのリクエスト回数が多く、会話のやり取りも長期にわたる傾向がある。また、Geminiに対してより詳細で具体的なプロンプト(AIに対する指示や質問のテキスト)を記述する特徴も見られるという。
高い現地語適応力と高い評価
Geminiが同地域で広く受け入れられている大きな要因として、現地の言葉に対する高い流暢性が挙げられる。レポートによると、東南アジアから送信されるプロンプト全体の約70%が英語ではなく現地語で入力されている。この傾向は特にベトナムで顕著であり、プロンプト全体の89%に達しているほか、タイで87%、インドネシアでも84%と非常に高い割合を記録している。
さらに、東南アジアの言語モデルを総合的に評価するベンチマーク(性能評価の基準)「SEA-HELM(Southeast Asia Holistic Evaluation of Language Models)」において、Geminiは東南アジアの言語に対して最も優れたパフォーマンスを発揮する大規模言語モデル(LLM。大量のテキストデータから人間の言語を学習したAIモデル)であるとの評価を獲得している。この高い言語処理能力が、現地語での活発な利用を支えている。
モバイルシフトとマルチモーダルなアプローチ
東南アジア市場はスマートフォンを中心としたモバイルファーストの傾向が強く、Geminiに対するリクエストの4回に3回近く(約75%)がモバイルデバイスから送信されている。また、テキスト入力に頼らない「マルチモーダル(テキストだけでなく画像や音声、動画など複数の異なる種類の情報を同時に処理する技術)」な使い方が浸透しているのも特徴だ。
現地言語で快適にやり取りができるため、ユーザーはキーボードでの文字入力を避け、音声コマンドや写真、動画のアップロードなどを利用してプロンプトを作成している。これらの非テキストプロンプトは全体の40%以上を占めており、特に「Gemini Live」などの音声対話機能を利用した「音声のみ」のプロンプトも全体の10%に上る。
アートや音楽などクリエイティブな分野での共同作業
Geminiは、検索や調べ物の道具にとどまらず、新しい表現を生み出すクリエイティブなコラボレーター(共同制作パートナー)としても日常的に利用されている。クエリ(検索システムやAIに入力する問い合わせや命令のこと)の約40%が、画像、音楽、動画の生成やドキュメントの作成といった新規コンテンツの制作を伴うものである。
具体的には、Googleが提供する画像生成モデル「Nano Banana」を使用して、東南アジアのユーザーはこの1年間で50億枚もの画像を生成した。また、楽曲生成機能の導入以降、これまでに約100万曲もの楽曲が生成されるなど、アートやエンターテインメントの領域でも幅広く活用されている実態が示された。
新機能「Gemini Spark」によるタスク自動化
こうした東南アジアでの急激な利用拡大とユーザーからの支持を受け、Googleは今週から有料プランである「Gemini Advanced」の加入者対象に、新機能「Gemini Spark」を同地域の現地語で展開することを明らかにした。
「Gemini Spark」は、ユーザーのスマートフォンの画面がロックされている状態であっても機能し、各種のGoogleアプリと連携して、ユーザーに代わって自動的かつ先回りしてさまざまなタスクを管理・完了する「プロアクティブ(先回りの、能動的な)なパートナー」として動作するという。これにより、ユーザーは複数のアプリにまたがる複雑な作業を、より効率的にこなすことが可能になると同社は説明している。