OWN NEWS GATHER
← 戻る
NVIDIA Technical Blog

GPU加速したPrestoがもたらす分析クエリの高速化:NVIDIAが最新ハード「GB200」などでの検証結果を公開

要点

  • GPUで高速化された分散SQLエンジン「Presto」が、複数ノードのCPUクラスターと比較して最大8倍以上の低レイテンシを達成しました。

  • 処理性能の向上には、クエリ実行用ライブラリ「cuDF」やGPU間高速通信の「NVLink」、ストレージからGPUメモリへ直接転送を行う「GPUDirect Storage(GDS)」が寄与しています。

  • 1TBのデータを用いたベンチマークにおいて、1基のB200 GPUで動作するPrestoが、8ノードのCPUクラスターよりも2.5倍高速に処理を完了しました。

  • I/Oタスクサイズの拡大やスレッド数の増加、クエリの書き換えといった最適化により、全体の実行時間を最大64%短縮できることが明らかになりました。

  • 米NVIDIAは2026年7月8日、同社の技術ブログにて、GPU(画像処理半導体)により処理を加速した分散SQLエンジン「Presto」を最新のハードウェア環境で動作させた際のパフォーマンス検証結果を公開した。「NVIDIA DGX B200」や「NVIDIA GB200 NVL72」を用いたベンチマーク測定において、従来のマルチノードCPUクラスターを大幅に凌駕する低レイテンシ(遅延の少なさ)が確認されたという。

圧倒的な低レイテンシを実現するGPU加速技術

分散型SQL実行エンジン「Presto」は、大規模なデータセットに対して高速かつ対話的に問い合わせを行うオープンソースのツールだ。GPU上で動作する「GPU加速型Presto」は、分析クエリのワークロード(処理負荷)において極めて高いパフォーマンスを発揮し、データ分析を行うユーザーの待ち時間を最小限に抑えることができる。

この卓越した処理性能の背景には、NVIDIAのハードウェアおよびソフトウェア技術がある。クエリの実行アルゴリズムには、GPU上で高速なデータ処理を可能にするライブラリ「NVIDIA cuDF」が採用されている。さらに、GPU同士を直接つなぐ超高速の通信インターフェース「NVIDIA NVLink」により、システム全体のボトルネックとなりやすいワーカー間のデータ転送を高速化している。たとえば、8基のGPUを搭載した1台の「DGX B200」ノードでは、それぞれのGPU上で動作する8つのPrestoワーカーが、双方向で毎秒1,800ギガバイト(GB/s)の帯域幅を持つ最新の「NVLink 5.0」で相互に接続され、効率的なデータ通信を行う。

1TBおよび3TBデータセットでの実証結果

検証には、業界標準のベンチマークである「TPC-H」から派生した22種類のクエリを使用。テストデータには、効率的な読み込みができる「Parquet」形式のファイルを使い、デモンストレーション向けに一部のデータ型(10進数型を浮動小数点数型へ)を変更している。実行時間には、構文解析から最適化、処理実行、結果の返却まですべての工程が含まれる。

対照群のCPU環境は、Intel Xeon 6642Yプロセッサ搭載サーバーを8〜10ノード使用し、C++版Prestoワーカーで構成。キャッシュ効率を高めるため、データ処理エンジン「Velox」の非同期キャッシュ技術や、特定のサーバーにキャッシュを割り振るソフトアフィニティなどの機能も適用して測定された。

測定の結果、データ量が約1TB(スケールファクター1K)の検証では、GPU加速型PrestoがCPU構成と比較して2.5倍〜8.2倍低いレイテンシを記録した。GPU 1基の稼働でも8ノードCPUクラスターより2.5倍高速で、8基すべてを稼働させた場合は8.2倍に達した。データ量を約3TB(スケールファクター3K)に増やした場合でも、GPU 3基で3.6倍、8基で7.8倍と、CPUクラスター(10ノード)を大きく上回る性能を示した。

ストレージ通信とクラスターレベルの最適化

さらに、外部ストレージからのデータ読み込みを高速化する「NVIDIA GPUDirect Storage(GDS)」の役割も重要だ。GDSはCPUメモリを経由せず、ストレージからGPUメモリへ直接データを転送する技術である。「GB200 NVL72」と「IBM Storage Scale System」の組み合わせにおいて、GDSはCPU負荷やNUMA(プロセッサとメモリの物理的な距離によってアクセス速度が異なる設計による遅延)ペナルティを抑え、高いI/Oスループットを実現した。

また、システム全体での最適化として、I/Oタスクサイズの拡大やスレッド数の増加、GPUの並列処理能力を活かすためのクエリの書き換えなども実施された。これらI/Oと通信周りの包括的な最適化により、クエリ全体の実行時間が最大64%短縮されたと説明している。

元URL