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H3C、AIインフラの焦点を「GPU増設」から「トークン生成効率」へシフト Apsara Conference 2026で新製品群を披露

要点

  • 中国IT大手のH3Cは、Apsara Conference 2026において、AIインフラの評価軸がGPUの単純な増設からトークン生成効率や利用率の最大化へ移行していると提唱した。

  • 最大1万6384基のGPUまで拡張可能で、異種プロセッサを統合制御するスーパーポッド「UniPoD S80000」シリーズを発表した。

  • シリコンフォトニクス採用スイッチや224G SerDes搭載スイッチなど、ノード内・ノード間・データセンター間を結ぶ3層の高速ネットワーク製品を公開した。

  • GPUの待機時間を30%削減し、推論の初回応答遅延を最大90%抑える高性能ストレージ「UniStor X20000」シリーズを披露した。

  • ハードウェアとソフトウェアの協調により、インフラ全体をデータ処理システムとして最適化するアプローチを打ち出した。

  • 中国のITインフラ大手H3C(新華三)は、開催中の「Apsara Conference 2026」において、エージェント型AIの大規模展開に伴う新たなインフラ戦略を提示した。AIエージェント(自律的にタスクを遂行するAI)が基盤モデルを頻繁に呼び出す環境では、兆単位のトークン(AIがデータを扱う最小単位)を処理する需要が急拡大している。同社は、計算資源の単純な積み増しから、システム全体のトークン生成効率を高める最適化への転換を訴え、コンピュート、ネットワーク、ストレージ、ソフトウェアを網羅する新製品群を披露した。

GPU増設の限界とシステム全体の協調

H3Cの先端技術研究部門ゼネラルマネージャーを務めるZhu Shiyin氏は、クラスタ規模が数千から数万基のGPUへ拡大するにつれて、GPU単体はシステム全体の一部に過ぎなくなると指摘した。GPUの数を増やすだけでは、プロセッサ間の通信遅延やネットワークの混雑、データ供給の滞り、発熱や消費電力の問題によって、期待通りの性能向上が得られないケースが増えているという。

同氏によると、AIクラスタの競争は「搭載されているGPUの総数」から「各GPUが実際にどれだけ有用なトークンを生成できるか」という利用効率の競争へ変化している。そのため、計算資源だけでなく、ネットワーク、ストレージ、セキュリティ、運用管理までを統合したシステムレベルでの最適化が不可欠になると説明している。

1.6万基規模へ拡張可能な「UniPoD S80000」

会場で展示された「UniPoD S80000 Series SuperPod」は、同社のシステム志向を象徴する計算基盤だ。同製品は32基から1024基のGPU構成を標準でサポートし、最大で1万6384基のGPUまでクラスタを拡張できる設計となっている。

さらに、CPUやGPUに加え、NPU(AI特化型プロセッサ)やDPU(データ処理専用プロセッサ)といった異種混在(ヘテロジニアス)の計算資源と主要フレームワークに対応している。個別のチップを単に集積するのではなく、クラウド基盤やセキュリティ、運用システムと連携させることで、多様な計算資源を単一のシステムとして一元管理できる体制を整えたとしている。

通信のボトルネックを防ぐ3層のスイッチ群

GPUの処理性能が向上するほどプロセッサ間でやり取りされるデータ量は増大し、ネットワークが追いつかなければGPUに待機時間が発生する。H3Cはこの課題に対し、3つの相互接続シナリオ(Scale-Up、Scale-Out、Scale-Across)に応じたインテリジェントスイッチを発表した。

  • ノード内通信(Scale-Up): 102.4T対応のNPOシリコンフォトニクススイッチ「S9828-128EO」を投入。光学素子と半導体を同一パッケージに統合するCPO(Co-Packaged Optics)技術を採用し、エンドツーエンドの遅延を15%削減する。
  • ノード間通信(Scale-Out): 1.6Tスイッチ「S9828-64FP」を投入。高速信号伝送を担う224G SerDes技術を採用し、高密度環境における消費電力を20%以上削減しながら大規模拡張を支える。
  • データセンター間通信(Scale-Across): 800G DCI(データセンター間相互接続)スイッチ「S12500R-64EP」を投入。都市内にある複数のデータセンターを横断した計算リソースのスケジューリングや勾配同期を支援する。

同社は、クラスタの大規模化に伴いプロトコルや輻輳制御、障害診断の重要性が増しており、技術の囲い込みを避けるためのオープンな業界標準プロトコルの重要性も併せて強調した。

データ供給を加速するストレージ「UniStor X20000」

大規模モデルの学習や推論におけるデータ移動の負荷を軽減するため、H3Cはストレージ製品もトークン生成パイプラインの重要要素として位置づけている。会場で紹介された「UniStor X20000シリーズ X20836」は、1ノードあたり最大200GB/sの帯域幅と300万IOPS(1秒あたりの読み書き処理回数)を実現する。ブロック、ファイル、オブジェクト、HDFSの各プロトコル間の相互運用にも対応している。

同ストレージに搭載されたフルスピードエンジンにより、GPUのデータ待機時間を30%削減できるという。また、推論時に過去の計算データを保持するKVキャッシュの負荷に対しては、「XCache」推論アクセラレーション技術を適用することで、最初のトークンが出力されるまでの時間(TTFT)を最大90%短縮できるとしている。

ソフトウェアによる統合と今後の指標

ハードウェアの規模が拡大するほど、オペレーティングシステムや通信ライブラリ、リソース管理プラットフォームなど、ソフトウェア層の最適化が性能を大きく左右する。計算処理と通信処理を重ね合わせて実行するオーバーラップ技術や、動的な負荷分散、タスクスケジューリングを組み合わせることで、GPUのアイドル状態や通信衝突を抑制できるという。

H3Cは、AIインフラが従来の単なる「計算拠点」から、データ準備、学習、推論、トークン生成までを一貫して担う包括的な「データ処理システム」へと進化していると総括した。モデル規模が1兆パラメータに達しAIエージェントの利用が進む今後の環境では、GPUの保有数にとどまらず、実効計算利用率、トークンスループット、応答遅延、消費電力、そして1トークンあたりの生成コストが重要な指標になると述べている。

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