バイエル、生成AIマルチエージェント基盤を構築 Bedrock AgentCore活用で分析運用の問い合わせ8割を自動解決
要点
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独バイエル・クロップサイエンスが、品種改良向け機械学習基盤「CDE」の運用を支援するマルチエージェントシステム「Agentic Decision Engine(ADE)」を開発した。
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ADEは統括エージェントと専門エージェントが連携して社内情報を取得し、ワークフローに関する問い合わせの約80%を人手を介さずに自律解決している。
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基盤には「Amazon Bedrock AgentCore」を採用し、セッション分離や「AgentCore Gateway」によるIAM連携、LangGraphとの統合を実現した。
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本番運用の立ち上げでは「AWS Unified Operations」を活用し、専任の技術担当者や生成AI専門エンジニアと週3回の協議を重ねて設計を進めた。
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米Amazon Web Services(AWS)は2026年10月23日、公式機械学習ブログ(AWS ML Blog)において、独バイエル・クロップサイエンス(Bayer Crop Science)がマルチエージェント型の意思決定支援システム「Agentic Decision Engine(ADE)」を構築した事例を公開した。品種改良に関わる機械学習ワークフローの理解を支援するシステムであり、基盤に「Amazon Bedrock AgentCore」を導入している。初期の運用段階において、ユーザーから寄せられる問い合わせの約8割をエンジニアの介在なしに自律解決しているという。
品種改良データの複雑化と「CDE」の導入背景
バイエル・クロップサイエンスにおける作物の品種改良(プラントブリーディング)では、ゲノム情報や圃場試験データ、画像、環境条件、機械学習モデルの予測結果など多岐にわたるデータが扱われる。同社では数百種類もの機械学習モデル構成を運用しており、各実行の再現性とガバナンス(統制)の担保が必須となっていた。
そのため同社は、機械学習ワークフローの展開、監視、再利用を一元化する基盤「Connected Decision Engine(CDE)」を構築した。CDEの導入によって、研究者やデータ技術者が一貫した手順で分析を行える体制を整えていた。
実行から「理解」へ移った運用のボトルネック
だが、CDEの社内利用が拡大するにつれて、運用のボトルネックはワークフローの実行そのものから「結果や挙動の理解」へと移行した。
失敗原因の調査やモデルの処理内容、結果の出所を確認するには、APIやドキュメント、メタデータストア、ダッシュボード、ログなどの複数システムから手作業で情報を集めて照合する必要があった。利用者は疑問を解消するためにどのシステムを調べるべきかを熟知していなければならず、調査作業に伴う負担が大きな課題となっていたという。
自然言語で運用スタックを横断する「ADE」の成果
この課題を解消するため、バイエルはCDEの自然言語インターフェースとなるマルチエージェント基盤「Agentic Decision Engine(ADE)」を開発した。
ADEでは、利用者の質問を「スーパーバイザーエージェント(統括役)」が受け取り、適切な「スペシャリストエージェント(専門役)」へ振り分ける。専門エージェントが必要なシステムからログや文脈を自動収集して回答するため、利用者は運用スタックを直接探る必要がなくなった。バイエルの報告によると、初期フェーズにおいてユーザーからの質問の約80%がエンジニアの手を介さずに解決できている。
「Amazon Bedrock AgentCore」採用の3つの決め手
ADEの実行基盤には、エージェントの大規模な構築・運用を支援する「Amazon Bedrock AgentCore」が選定された。自前でホスティング環境や分離機構を開発する負担を省き、エージェントの振る舞い設計に注力できる点が評価されたという。
選定の決め手となったのは以下の3点だ。
- セッション分離環境:ユーザーセッションごとに独立した実行環境を安全に切り離すマネージドランタイム機能。
- 「AgentCore Gateway」によるツール接続:エージェントのコード外でAWS IAM(アクセス権限管理機構)に基づき安全に認可を完結させる仕組み。
- フレームワーク非依存の柔軟性:独自の「LangGraph(エージェント制御用ライブラリ)」や任意の基底モデルを自由に組み込める設計。
4層アーキテクチャと「AWS Unified Operations」による伴走
ADEは、React製のWeb画面、エージェント統括層、専門エージェント層、ツールおよびデータソース層の4層で構成されている。利用者のリクエストは「Microsoft Entra ID」の認証プロキシを経て到達し、コンテナイメージはGitHub Actionsで自動ビルドされる。
また、本番導入とローンチ後の運用にあたっては「AWS Unified Operations」を活用した。バイエルの業務実態を把握する専任テクニカルアカウントマネージャー(TAM)と、生成AI専門エンジニア(DSE)が参画し、週3回の技術協議で設計を検証。現場の要件に即した本番運用体制を整備したと報告されている。