豪大手法律事務所Gilbert + Tobin、OpenAIのChatGPTとCodexを全社導入 ガバナンス確立と業務効率化を両立
要点
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オーストラリアの大手法律事務所Gilbert + Tobinが、OpenAIの「ChatGPT Enterprise」および「Codex」を導入し、業務プロセスの効率化を進めていることが明らかになった。
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経営陣の実践と豪州国内でのデータ保持環境の整備により、2026年6月時点で対象者の87%が日常的に利用する高い定着率を達成した。
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採用リサーチの作業時間が4時間から20分に短縮されたほか、提案書の作成支援やCEOの思考を反映したカスタムGPTの運用など、多岐にわたる部門で導入が進む。
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複数工程を処理するCodexの活用により、300組織の監査レポート作成や1,100件のファイル処理、コンプライアンス確認作業の大幅な時間短縮を実現した。
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米OpenAIは2026年9月1日、オーストラリア有数の法律事務所Gilbert + Tobinにおける生成AIの導入事例を公開した。同事務所は、機密情報を扱う専門職組織としての厳格なガバナンス体制を敷きながら、ChatGPTおよびCodexを活用して業務オペレーションの効率化を進めているという。
経営陣による主導と実務に即した導入支援
資本市場や企業の合併・買収(M&A)、訴訟などの法務を担うGilbert + Tobinでは、法的助言そのものの代替ではなく、助言業務を支える運用の質を高める目的で生成AIの導入を開始した。
導入の推進にあたっては、最高経営責任者(CEO)のSam Nickless氏が自身の業務での活用例を示しながら「AIは不正や手抜きではない」と発信し、人間の判断を補強する道具として位置づけた。さらに、ビジネストランスフォーメーションチームが各部門の会議に直接参加し、マーケティングや財務、採用などの職種に応じた実践的なワークフローを実演したという。
利用ノルマは設けられなかったものの、2026年6月時点で利用権限を持つ従業員の87%がアクティブに利用しており、同事務所における一般的なツールの2倍以上の定着率を記録している。
国内データ保持と厳格なガバナンス
高度な機密情報を扱う業務要件に対応するため、同事務所は入力可能な情報の制限や承認タスク、出力のレビュー手順を定めた明確なガイドラインを策定した。契約上の保護条項や権限管理、データ処理要件の精査も行われている。
また、オーストラリア国内にデータを保管するデータレジデンシー(国内データ保持)環境へ移行したことで、内部要件やクライアントの要求水準を満たした安全な運用体制を確立した。最高情報責任者(CIO)のMitch Owens氏は、OpenAIが必要な管理機能を備えたエンタープライズ視点のプラットフォームを提供していると述べている。
ChatGPTによる多部門での業務改善
ChatGPT Enterpriseは管理・運用部門から導入が始まり、現在は幅広い部門で活用されている。
- 採用業務: 候補者の調査とデータ抽出にかかる時間が従来の約4時間から約20分に削減された。候補者のリファレンス(身元照会)処理でも1人あたり約25分短縮されている。
- マーケティング・事業開発: 年間400〜500件作成されるピッチ(提案書)資料の作成において、過去の資料要約や新規案件向けの調整を迅速化させた。市場調査や戦略策定のための詳細リサーチにも使われている。
- 財務・IT・法務: 財務でのデータ分析やIT部門でのスクリプト・教材作成に活用されている。法務専門のワークフローには専用プラットフォーム「Harvey」などを併用しつつ、弁護士も運用業務でChatGPTを利用している。
また、Nickless CEOの文章や優先事項を反映したカスタムGPTも運用されている。最高マーケティング責任者(CMO)のDaniel Quinn氏によると、幹部がCEOの時間を取る前にアイデアの壁打ちや検討の整理を行う用途で使われており、意思決定自体を代行させるものではないという。
Codexによる複数ステップの作業自動化
同事務所では、個々の作業支援にとどまらず、一連の工程を実行する目的でOpenAIの「Codex」を導入している。
Codexは、300組織にまたがる監査レポート作成において丸1日分の手作業を削減したほか、システム移行に伴う1,100件のファイル確認およびリネーム(ファイル名変更)作業を短時間で完了させた。さらに、仕様書からのPythonアプリケーション生成や、利益相反・マネーロンダリング防止(AML)・本人確認(KYC)などのコンプライアンス確認作業を従来の3〜8時間から約5分へと短縮することに貢献している。
ビジネストランスフォーメーション責任者のAviva Leitch氏は、CodexによってAIが単なる補助役から作業の実行役へと進化したと説明している。なお、すべての活用例において、タスクの設定や出力の確認、最終承認は人間が責任を持って行っている。