IBM、商用利用が可能な時系列AIモデル「Granite Time Series PatchTST-FM-r2」を公開
要点
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IBMが時系列予測に特化したオープンなAI基盤モデル「Granite Time Series PatchTST-FM-r2」を公開した。
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約3億8500万パラメータの規模を持ち、最大8,192のコンテキスト長や確率的予測、欠損値補完に対応する。
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時系列予測ベンチマーク「GIFT-Eval」の再現可能なゼロショット部門で総合2位、商用利用可能なオープンライセンスモデルとしては首位を獲得した。
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モデルの重みに加え、アーキテクチャ、推論パイプライン、結果を再現するためのコード一式が提供される。
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ライセンスはApache 2.0およびOpenMDW 1.0のデュアルライセンスが採用されている。
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IBMの研究部門であるIBM Researchは2026年9月9日、時系列データ予測向けの基盤モデル「Granite Time Series PatchTST-FM-r2」を公開した。同モデルは「Granite TSFM」シリーズの最新版であり、前身モデルから事前学習データの拡充やアーキテクチャの改良が行われている。
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モデルの重み(ウェイト)や推論パイプラインに加え、ベンチマーク結果を再現するためのコードも同時に提供された。商用利用に適したオープンライセンスを採用しており、追加学習を行わずに未知のデータへ適用するゼロショット予測において高い性能を示している。
多様な領域で個別学習を不要にする時系列基盤モデル
従来の時系列データ分析では、対象となるデータセットごとに個別のモデルを構築して学習・運用することが一般的であった。これに対し、時系列基盤モデルは事前学習済みのモデルをそのまま活用することで、未知の時系列データに対しても追加の学習なしで予測(ゼロショット予測)を行うことができる。
今回公開された「Granite Time Series PatchTST-FM-r2」は、前バージョンである「PatchTST-FM-r1」の後継として開発された。需要予測や価格変動、電力などのエネルギー負荷、交通量、システムのテレメトリデータなど、多岐にわたる時系列データに対して汎用的に利用できる。また、事前学習コーパスの大幅な拡大に加え、時系列データの一部が欠落している場合に対応する欠損値補完(インピュテーション)機能も備えている。
Conformer構造と確率的予測を備えたアーキテクチャ
「Granite Time Series PatchTST-FM-r2」のモデル規模は約3億8500万(385M)パラメータとなっている。入力可能なコンテキスト長は最大8,192に対応し、予測する期間の長さも柔軟に設定可能とされている。
モデルの基盤となるバックボーンには「Conformerブロック」が採用された。広範な時間的関係性を捉えるマルチヘッド自己注意機構(Multi-Head Self-Attention)と、局所的な変動を捉える時間畳み込み(Temporal Convolution)を組み合わせることで、長期的および短期的な時間構造の双方を捉える設計となっている。
さらに、出力部には99個の分位点を算出する「99分位予測ヘッド」が搭載された。単一の数値を予測する点予測だけでなく、予測のばらつきや不確実性を数値として把握できる確率的予測の出力が可能である。
評価ベンチマーク「GIFT-Eval」で商用オープンモデル首位を獲得
モデルの汎化性能を検証するため、未知のデータに対するゼロショット予測の評価が実施された。評価には、多様なデータセットと予測シナリオを網羅した包括的な時系列予測ベンチマーク「GIFT-Eval」が用いられている。
2026年9月8日時点のリーダーボードにおいて、テストデータの漏洩がなく再現可能なゼロショットモデルを対象とした場合、本モデルはCRPS(連続順位確率スコア)およびMASE(平均絶対スケール誤差)の両評価指標で総合第2位を記録した(両指標とも数値が低いほど高精度を示す)。
また、寛容で商用利用に適したオープンソースライセンスを持つモデルの中では、同カテゴリにおいて最も高い性能を達成したモデルとなった。
オープンな公開体制とストリーミング環境での活用
IBMは今回の発表に伴い、モデルの重み、アーキテクチャの定義、推論パイプライン、ならびにベンチマーク結果を再現するためのコード一式をすべてオープンに公開した。モデルは機械学習プラットフォームのHugging Face上で提供されている。
ライセンスはApache 2.0およびOpenMDW 1.0のデュアルライセンスが適用されており、利用者は用途に応じていずれかのライセンスを選択できる。
さらに、Granite Time Seriesファミリーのモデルは、Confluent製品を活用することで、本番環境におけるリアルタイムのストリーミングデータ処理アプリケーションにも組み込んで利用できるとしている。