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INTERPOL主導の国際サイバー詐欺取り締まりで58人を逮捕、西アフリカ系犯罪グループなど263人を特定

要点

  • 国際刑事警察機構(INTERPOL)が主導した国際共同捜査「Operation Jackal IV」により、サイバー金融詐欺に関与した58人が逮捕され、263人の容疑者が特定された。

  • 日本や米国など世界22カ国が参加した約8カ月間の作戦で、西アフリカ系の組織犯罪グループとその支援インフラが集中的に取り締まられた。

  • 犯罪グループは「顧客獲得」や「維持」といった一般企業さながらの役割分担を行い、ロマンス詐欺や偽の暗号資産投資詐欺などを組織的に展開していた。

  • Webドメインや資金洗浄手段を提供する「CaaS」ネットワークや、巨額の被害を生んだコールセンター拠点が摘発された。

  • 国際刑事警察機構(INTERPOL)は2026年8月26日、西アフリカ系の組織犯罪グループを標的とした約8カ月間にわたる国際共同捜査作戦「Operation Jackal IV(オペレーション・ジャッカル4)」の結果を発表した。世界6大陸から22カ国が連携したこの作戦により、58人が逮捕され、263人の容疑者が特定されたという。これらのグループは、ロマンス詐欺や暗号資産を用いた投資詐欺、ビジネスメール詐欺(BEC)などを通じて、世界規模で多額の不正資金を詐取・資金洗浄していたと報告されている。

22カ国が参加した「Operation Jackal IV」の概要

Operation Jackal IVは、2025年11月から2026年6月にかけて実施された。西アフリカに拠点を置く「Black Axe(ブラック・アックス)」をはじめとする犯罪ネットワークが引き起こす、急速に拡大するサイバー金融詐欺の脅威に対抗することを目的とした取り組みである。

INTERPOLの説明によると、これらの犯罪組織は、ロマンス詐欺(SNSやマッチングアプリ等で好意を抱かせて金銭をだまし取る手法)や暗号資産・投資詐欺、取引先や経営幹部になりすまして不正送金を指示するビジネスメール詐欺(BEC:Business Email Compromise)、さらには凶悪犯罪に至るまで、世界中で発生しているサイバー対応型金融詐欺の大部分に関与しているという。

今回の捜査には、日本をはじめ、オーストリア、アルゼンチン、オーストラリア、カナダ、コートジボワール、フランス、ドイツ、インドネシア、アイルランド、イタリア、マレーシア、オランダ、ナイジェリア、ポルトガル、南アフリカ、スペイン、スウェーデン、スイス、アラブ首長国連邦(UAE)、英国、米国の計22カ国が参加した。

企業組織のように分業化された南アフリカの詐欺拠点

南アフリカのヨハネスブルグでは、英語圏の退職者を標的にロマンス詐欺や投資詐欺を行っていたシンジケートに対し、現地当局が7カ所の拠点を強制捜索した。

この組織は一般的な企業組織に酷似した運営形態をとっており、メンバーに対して標的を引き込む「獲得(conversion)」担当や、関係を継続させて追加入金を促す「維持(retention)」担当といった役割を割り当て、組織的な分業体制を敷いていたことが明らかになっている。

南アフリカの法執行機関とINTERPOLの作戦支援チーム(OST)による合同捜査の結果、この犯罪グループに関連する39人が拘束された。さらに、267万米ドルの資金が押収され、257件の銀行口座が凍結されたという。

1億4300万ユーロ規模のコールセンター投資詐欺を摘発

ルーマニアでは、コールセンターを隠れ蓑にして運営されていた巧妙な投資詐欺拠点が摘発された。

この手口は、株式や暗号資産で高利回りが得られると虚偽の勧誘を行い、被害者から資金をだまし取るものであった。集められた資金は詐欺グループが管理する暗号資産ウォレットに送金されており、世界全体で推定1億4300万ユーロ(約1億6600万米ドル)が盗まれ、資金洗浄されていたとされている。

現地警察当局は11人を逮捕したほか、現金および暗号資産で約33万ユーロ(約37万9000米ドル)相当を押収した。さらに、不動産物件6件や複数の高級時計などの資産も差し押さえられた。

CaaSネットワークと欧州全域にまたがる資金洗浄の追及

今回の作戦では、直接詐欺を実行する集団だけでなく、犯行を技術面や資金面で支えるインフラ組織の追及も行われた。

INTERPOLによると、西アフリカ系犯罪グループにWebサイト用のドメイン提供や資金洗浄の支援を行っていた大規模な「犯罪のサービス化(CaaS:Crime-as-a-Service。サイバー犯罪に必要なツールやインフラを有償で提供する形態)」ネットワークにおいて、196人の関与が特定され、関連して17人が逮捕された。

また、ペーパーカンパニーや送金サービス、現金の引き出しなどを組み合わせて資金の出所を隠蔽していた汎欧州規模のマネーロンダリングネットワークに関しても1人の容疑者が特定された。この事案では、単一の口座において20種類もの金融商品が悪用され、計560件の取引を通じて84万5000ユーロ(約73万6000米ドル)が洗浄されていたことが確認されている。

継続する作戦と国際協力の成果

「Operation Jackal」は、西アフリカの金融犯罪に関連する資金洗浄の解体、重要ターゲットの特定、違法資産の押収を目的に継続して展開されており、今回が第4弾となる。過去の作戦でも多数の容疑者が逮捕・特定されている。

  • Operation Jackal I(2022年9月26日〜30日): 75人を逮捕、49件の家宅捜索を実施、銀行口座から120万ユーロを差し押さえ
  • Operation Jackal II(2023年5月15日〜19日): 103人を逮捕、1,110人の容疑者を特定、208口座を凍結、215万ユーロを押収・凍結
  • Operation Jackal III(2024年4月10日〜7月3日): 300人を逮捕、400人の容疑者を特定、720口座以上を凍結

INTERPOL金融犯罪・汚職対策センターのディレクターを務めるトモノブ・カヤ(Tomonobu Kaya)氏は、「Operation Jackal IVは国際協力の力強さを証明するものです。国境を越える不正な資金の流れを追跡することにより、私たちは組織犯罪の生命線そのものを断ち、犯罪ネットワークがその活動から利益を得ることを極めて困難にしています」と述べている。

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