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AWS ML Blog

Jamf、Amazon Bedrockのコストを開発者ごとにリアルタイム制限する仕組みを構築 日次予算に応じたモデル切り替えで作業継続と統制を両立

要点

  • Appleデバイス管理大手のJamfが、Amazon Bedrockの利用支出を開発者個人単位でリアルタイムに統制する仕組みを構築した。

  • 1日の予算消化率に応じて上位モデルへのアクセスを段階的に遮断しつつ、低コストモデルを残すことで開発の中断を防ぐ。

  • 制限は再認証なしで数分以内に反映され、翌日のリセット時に自動復帰するほか、期限付きの上限引き上げプロセスも備える。

  • Amazon S3、Amazon Athena、AWS Lambda、IAMカスタマー管理ポリシーを組み合わせたサーバーレス構成で実現されている。

  • 米Amazon Web Services(AWS)は2026年9月1日、同社の公式機械学習ブログ(AWS ML Blog)において、Appleデバイスの管理・セキュリティを手がける米Jamfによる「Amazon Bedrock」のコストガバナンス事例を公開した。エンジニア個人ごとの利用支出を追跡し、日次予算の消化状況に応じて利用可能なAIモデルを段階的に制限する本番システムを構築したという。

生成AIの利用拡大と「トークノミクス」の課題

Jamfは、7万6,000以上の組織に利用されているAppleデバイスの管理およびセキュリティプラットフォームを提供する企業である。同社ではAIを活用したソフトウェア開発を加速させるため、エンジニアリング組織全体にAWSのフルマネージド生成AIサービスであるAmazon Bedrockへの広範なアクセス環境を提供した。これにより開発生産性が向上した一方で、ユーザーごとの利用可視化とコストに対する説明責任を確立する「AI FinOps(クラウドの財務管理手法をAIに適用する取り組み)」の必要性が生じたという。

元記事によると、生成AIのコスト構造は、事前に割り当てられた計算容量に比例して費用が発生する従来のコンピューティングリソースとは大きく異なる。AIへの支出は開発者の「行動」に比例して変動するため、例えば1人のエンジニアが高性能なモデルに対して自律的なコーディングエージェントのループを実行した場合、チーム全体が1週間に消費するトークン量をわずか数時間で使い切ってしまうことがある。

こうした利用状況は請求書が届くまで把握が難しく、コスト管理や投資対効果(ROI)の証明を困難にする「トークノミクス(Tokenomics:トークン消費に基づくコスト構造や経済性)」の課題を引き起こす。AIアクセスの全社的な拡大に先立ち、組織のリーダーシップ層からは「従業員1人あたりの支出額」「エンジニアの開発速度を落とさずに上限を設定できるか」「生産性の向上がコストに見合っているか」という3つの問いへの回答が求められていたと説明されている。

日次予算に連動した段階的モデル制限

Jamfが構築したシステムは、各エンジニアの日次Bedrock支出を追跡し、設定された予算への到達度合いに応じて利用可能なモデルを段階的に制限するアプローチを採っている。

具体的には、日次予算の80%を消費した段階で最上位モデルである「Anthropic Claude Opus」へのアクセスを拒否し、100%に達した段階で「Anthropic Claude Sonnet」へのアクセスを拒否するルールを適用している。その一方で、最も低コストなモデルである「Anthropic Claude Haiku」へのアクセスはブロックしない。これにより、予算上限に達したエンジニアであっても作業を完全に中断されることなく、低コストモデルを活用してコーディングや検証作業を継続できるよう工夫されている。

この利用制限は数分以内に有効化され、開発者がセッションの再認証を行う必要はない。また、翌日の日次リセットが行われると制限は自動的に解除され、通常のアクセス権へと復帰する。正当な業務上の理由により追加のリソースを必要とするエンジニアに対しては、文書化された例外申請プロセスを通じて、期限付きで利用上限を引き上げる運用も整備されているという。

S3、Athena、Lambdaを連携させたサーバーレスアーキテクチャ

このコスト統制システムは、「支出の測定」「制限対象の決定と通知」「制限の適用」という3つの関心事を、それぞれ専用のサーバーレスコンポーネントで処理する構成を採用している。

まず測定の段階では、エンジニアがシングルサインオン(SSO)環境を提供する「AWS IAM Identity Center」のセッション経由でAmazon BedrockのAPI(bedrock:InvokeModel)を呼び出す。呼び出しが行われると、Bedrockは利用されたモデルID、入力および出力トークン数、ユーザー識別子(ユーザーID)を含むログデータを、あらかじめ設定された「Amazon Simple Storage Service(Amazon S3)」のバケットへ記録する。

続く決定と適用の段階では、「Amazon Athena」(S3内のログデータを標準SQLで分析できるインタラクティブなクエリサービス)を用いて日次の支出状況を集計する。そして、定期的に実行される「AWS Lambda」(サーバーレスでコードを実行するコンピューティングサービス)がその集計結果をもとに、AWS IAMの「カスタマー管理ポリシー(利用者が独自に作成・管理するアクセス制御ポリシー)」を動的に更新することで、個人単位でのモデルアクセス制限を適用する。

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