LGBTQ+向けマッチングアプリ「Grindr」、HIV情報共有をめぐる英国訴訟で2600万ポンドの和解金支払いに合意
要点
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LGBTQ+向けマッチングアプリ大手のGrindrが、HIV感染状況などの個人情報共有をめぐる英国の訴訟で、2600万ポンド(約3510万ドル)を支払う和解に合意した。
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米国証券取引委員会(SEC)への開示資料により判明し、和解金は2026年12月末と2027年3月末の2回に分けて分割で支払われる。
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訴訟は1万人以上の原告により2024年4月に提起されたもので、2020年以前の旧運営体制下におけるデータ取り扱いが対象となっている。
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Grindr側は法的責任の認定を否定しているものの、ユーザーの苦痛や信頼の喪失を認識しているとし、2020年以降はプライバシー体制を刷新したと説明している。
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LGBTQ+(性的少数者)向けマッチングアプリ最大手の米Grindr(グラインダー)が、HIV感染状況を含むユーザーの機微な個人情報を第三者と共有していたとされる英国の訴訟において、2600万ポンド(約3510万ドル)を支払う和解に合意したことが明らかになった。
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カリフォルニア州に拠点を置くGrindrが2026年9月2日付で米国証券取引委員会(SEC:米国の株式市場や投資家保護を監督する連邦機関)に提出した開示文書によって判明した。本件は1万人以上のユーザーが参加した集団訴訟であり、過去のデータ管理体制をめぐる法的手続きに一定の決着が図られることとなった。
英国における集団訴訟の経緯と和解内容
今回の訴訟は、英国の法律事務所Austen Haysを通じて1万人以上のクライアントを代表する形で2024年4月に提起された。原告側は、Grindrが広告をはじめとする商業目的のためにユーザーのセンシティブな医療記録などの個人情報を第三者へ共有し、英国のプライバシー関連法に違反したと主張していた。
SECへの提出書類によると、Grindrは総額2600万ポンドの和解金を2回に分けて支払うことで合意している。具体的には、2026年12月31日までに1300万ポンド、続く2027年3月31日までに残りの1300万ポンドを相手方に支払う計画だという。
法的責任の否認と運営体制の刷新
開示資料の中でGrindrは、今回の和解について「責任の認定や承認を含むものではない」と明記している。同社は原告側の主張に対して争う姿勢を維持しているものの、2020年以前の期間に関して一部の英国ユーザーが表明した精神的苦痛や信頼の喪失については認識し、受け止めていると説明した。
また、問題視されたデータ取り扱いが行われていたのは、中国のゲーム企業である昆侖万維(Kunlun)が同社を所有していた2020年以前の時期であると説明されている。Kunlunは2020年5月に、投資家グループであるSan Vicente Acquisition LLCへ同プラットフォームを売却している。
Grindrは2020年以降にプライバシープログラムを全面的に刷新したと述べており、プラットフォームが「ユーザーにとって安全な場であり続ける」ことを強調するとともに、透明性の確保、ユーザーによるデータ制御権の向上、責任あるデータ取り扱いに取り組んでいるとしている。
発端となった2018年の外部調査とデータ共有の実態
本件をめぐる一連の問題は、2018年4月にノルウェーの非営利研究機関SINTEF(産業技術や社会科学を研究する北欧の独立系機関)が公表した調査結果に端を発している。SINTEFの調査により、Grindrがアプリの最適化業務を委託していたApptimizeおよびLocalyticsの2社に対し、ユーザーのHIV感染状況や最終検査日などのデータを送信していた事実が明らかになった。
調査結果の公表後、Grindrは該当するデータ共有を停止すると発表した。当時、同社は「ユーザーの個人情報、とりわけHIVステータスや最終検査日に関する情報を第三者や広告主に販売したことは一度もなく、今後も販売することはない」と説明していた。さらに、公開プロフィール上で閲覧可能な場合を除き、広告主がこれらのデータにアクセスした事実はないとし、ApptimizeとLocalyticsの2社によるデータ利用はGrindrに対するサービス提供目的に限定されていたと主張していた。
ノルウェー当局によるGDPR違反の認定と制裁
Grindrのデータ共有慣行をめぐっては、欧州の規制当局からも厳しい追及が行われてきた経緯がある。2021年1月、ノルウェーのデータ保護当局は、位置情報や性的指向、メンタルヘルスに関する詳細情報などを広告主と共有した行為がEU一般データ保護規則(GDPR:欧州連合における個人データ保護法)に違反しているとして、同社に860万ポンドの罰金を科した。
この罰金額は後に550万ポンドへ減額されたものの、Grindr側は処分を不服として法廷で争いを続けていた。しかし、昨年10月にノルウェーの控訴裁判所が当局による制裁金を支持する判決を下し、同社の控訴は棄却されている。