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The Hacker News

Linuxカーネルの脆弱性「RefluXFS」が公表、RHELやAmazon Linuxなどのデフォルト設定でローカルユーザーが管理者権限を奪取可能に

要点

  • Linuxカーネルのファイルシステム「XFS」に、ローカル特権昇格の深刻な脆弱性「RefluXFS」(CVE-2026-64600)が存在することが明らかになった。

  • 一般権限のローカルユーザーが、ファイルシステム上の制限されたroot所有ファイルを上書きし、システム最高権限(root)を永続的に奪取できる。

  • RHELやCentOS、Amazon Linuxなどのデフォルト設定が影響を受け、すでに主要なLinuxベンダーから修正プログラムの配布が開始されている。

  • セキュリティ企業のQualysが、Anthropic社の限定公開AIモデル「Claude Mythos Preview」を活用してコードを検証したことで発見された。

  • セキュリティ企業のQualysは2026年7月22日、Linuxカーネルに存在するローカル特権昇格の脆弱性「RefluXFS」(CVE-2026-64600)を公表した。この脆弱性は、Linuxで広く使われているファイルシステムである「XFS」のコピーオンライト(データの書き換え時に新領域にデータをコピーする動作)処理の不備を突くものである。悪用に成功すると、一般のローカルユーザーが管理者権限(root権限)を永続的に取得できるという。すでに2026年7月16日には上流の開発コミュニティで修正コードがマージされており、各ベンダーから対策済みのカーネルの配布が進められている。

影響を受けるシステムと要件

Qualysの発表によると、本脆弱性の悪用には以下の3つの条件が重なる必要がある。

  1. 修正パッチが未適用のLinuxカーネルバージョン4.11(2017年リリース)以降であること。
  2. XFSファイルシステムで、同一データを共有する機能である「reflink」が有効(reflink=1)であること。
  3. 保護されたファイルと、攻撃者が書き込み権限を持つディレクトリが、同じXFSファイルシステム上に存在すること。

多くのLinuxディストリビューションのデフォルト設定でこれらの条件を満たしている。該当するのは、Red Hat Enterprise Linux(RHEL)、CentOS Stream、Oracle Linux、Rocky Linux、AlmaLinux、CloudLinuxのバージョン8、9、10、Fedora Server 31以降、Amazon Linux 2023、および2022年12月以降のAmazon Linux 2イメージである。古いRHEL 7はreflink機能をサポートしていないため影響を受けない。

一方、Debian、Ubuntu、SLES、openSUSEなどは通常デフォルトでXFSを使用しないため、手動でreflink有効のXFSを設定していない限りは影響を受けない。

自身のシステムが影響を受けるかは、以下のコマンドで reflink=1 と出力されるかで確認できる。
xfs_info / | grep reflink=

脆弱性の技術的要因と競合状態

この脆弱性は、ファイルシステムの排他制御を行う「ロック」が一時的に解除される一瞬に発生する、処理の「競合状態(レースコンディション)」に起因している。

攻撃者はまず、root所有の保護されたファイル(パスワード情報の /etc/passwd など)に対して FICLONE を実行し、自身が書き込み可能なディレクトリに一時的なクローンを作成する。XFSファイルシステムでは、この段階で両ファイルは同じ物理ディスクブロックを共有している。

次に、このクローンファイルに対し、OSのキャッシュをバイパスしてディスクに直接書き込む「O_DIRECT(ダイレクトI/O)」処理を並行して実行し、競合を引き起こす。

カーネルは排他ロックをかけた状態でブロック情報を読み取るが、処理中に一時的にロックを解除する。この一瞬の隙に、並行する別の書き込み処理がコピーオンライトを完了させ、クローンファイルを新しいブロックへ移動させてしまう。

最初の書き込み処理が再びロックを取得した際、カーネルは無効化された古いマッピング情報を使い続けてしまう。この古いアドレスは元の保護されたファイルが所有するブロックを指しているが、XFSが「共有されていない」と誤認してダイレクト書き込みを許可するため、クローンへの書き込みデータが保護されたファイルに直接上書きされる。

この書き込みはページキャッシュを経由しないため、ターゲットファイルの所有権や、実行時にroot権限で動作させる設定(setuidビット)などのメタデータは変更されない。結果として、改ざんされたプログラムはroot権限のまま動き続け、警告ログも残らない。Qualysの検証では競合が10秒未満で成功し、デフォルト設定のRHEL 10.2でrootパスワードを削除することに成功した。

生成AIによる発見と対策

本脆弱性は、Qualysが米Anthropic社の限定公開AIモデル「Claude Mythos Preview」を活用してコードを検証した過程で発見された。研究者はAIに対し、有名な脆弱性である「Dirty COW」に類似する欠陥をカーネル内から見つけ出すよう指示し、これによって発見に至ったという。

上流の修正パッチは xfs_reflink_fill_cow_hole()xfs_reflink_fill_delalloc() という2つの関数を修正した。パッチでは、ロックを一時的に解放する前にデータフォークのシーケンス番号(処理順序を示すカウンター)を保存しておき、ロック再取得時にカウンターが変動していればデータを最新の状態に読み直す仕組みを導入して無効なマッピングの利用を防いでいる。

現在、各Linuxベンダーは修正を反映したカーネルの配布を開始しており、Qualysは複数のユーザーが利用するマルチテナントシステムや、信頼できないコードが実行される可能性のあるシステムにおいて、優先的にパッチを適用するよう推奨している。

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