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Hugging Face Blog

Liquid AI、エッジ向けマルチモーダル意思決定モデル「d1-3B」と「d1-omni-600M」をオープン公開

要点

  • 米Liquid AIが、エッジデバイス向け意思決定モデル「d1-3B」と実験的モデル「d1-omni-600M」をオープン公開した。

  • 通常の生成AIとは異なり、単一のフォワードパス(1回の順伝播計算)で回答を出力することで、ミリ秒単位の高速応答を実現している。

  • 「d1-3B」は意思決定ベンチマークで10B未満のモデルとして最高スコアを獲得し、より大規模な「Decider 35B-A3B」を上回った。

  • 「d1-3B」はテキストと画像、「d1-omni-600M」はテキスト・画像・音声のマルチモーダル入力に対応する。

  • NVIDIA Jetsonなどのエッジ環境で最速16ミリ秒、デスクトップGPUでは8ミリ秒の低遅延推論を記録した。

  • 米Liquid AIは2026年10月7日、エッジデバイス向けに特化した意思決定モデル群「d1」ファミリーから、「d1-3B」および「d1-omni-600M」の2モデルをオープン公開したと発表した。

  • 文章を逐次生成するのではなく、1回の計算処理で直接回答を導き出す仕組みを採用し、オンデバイス環境でのミリ秒単位の高速推論を実現しているという。

  • 小型でありながらテキスト・画像・音声のマルチモーダル入力を扱える点が大きな特徴となっている。

トークン生成を排した「意思決定モデル」の設計

今回公開された「d1」シリーズは、同社の独自基盤モデル「Liquid Foundation Models(LFMs)」をベースに構築されている。
一般的な大規模言語モデルは単語やトークンを1つずつ順に出力するが、同社の意思決定モデルはトークン生成を行わず、単一のフォワードパス(順伝播計算)のみで即座に回答を出力する仕様となっている。この設計により、計算資源が限られたエッジ環境でも極めて高速な応答が可能になったという。

公開された2つのモデルは、それぞれ異なる基盤モデルから開発されている。
30億パラメータの「d1-3B」は、デコーダーオンリー型の最新VLM(視覚言語モデル:画像とテキストを統合処理するモデル)「LFM2.5-VL-3B」をベースとしており、テキストと画像を入力として受け付ける。
一方、6億パラメータの「d1-omni-600M」は、双方向エンコーダー「LFM2.5-Encoder-350M」をベースに視覚・音声エンコーダーを追加したモデルだ。テキストと画像、あるいはテキストと音声の組み合わせに対応し、3つのモダリティを処理できる。なお、d1-omni-600Mは初期の研究リリースであり、現在も改良が継続されていると説明されている。

7つの公開ベンチマークで高精度を実証

性能評価において、d1シリーズは小型でありながら高い精度を示している。
総合的な意思決定ベンチマーク「Decision Index 0.2.1」において、d1-3Bは48.57のスコアを獲得した。同社によると、このスコアは100億(10B)パラメータ未満のモデルの中で最高値であり、既存の4B・9Bモデルや350億パラメータ規模の「Decider 35B-A3B」(47.11)をも上回ったという。

さらに、読解や有害性検出、医療QAなど7つの公開データセットを用いた検証結果も公表された。
d1-3Bは7タスクの平均スコアで82.9を記録し、比較対象となった「Decider 4B」(81.1)を上回った。読解テスト「SQuAD 2.0」で83.3、医療QA「PubMedQA」で68.3を達成するなど、複数のタスクで比較対象中トップの成績を収めている。
また、6億パラメータのd1-omni-600Mも平均スコア78.4を記録し、パラメータ数が約4倍の「Decider 2B」(77.1)を上回った。有害コメント検出「Civil Comments」では95.8を記録するなど、上位モデルを凌ぐ精度を示したタスクもあるという。

マルチモーダル性能に関しても、d1-3Bは基盤モデルの画像処理能力を維持しており、d1-omni-600Mも3つのモダリティを扱えることが確認されている。なお、今回の発表で画像や音声の個別スコアが非公表となっている理由について、同社はDecision Index v0.3の画像評価用データが非公開である点や、音声領域の意思決定ベンチマークが学術的に未確立であるためだと説明している。

エッジデバイスでミリ秒単位の応答速度を計測

処理速度に関して、Liquid AIはNVIDIAとの協力のもと、各種ハードウェア環境におけるd1-3Bの動作検証結果を公表した(d1-omni-600Mは研究段階のため速度は非公表)。

測定の結果、エッジ端末を含むすべての検証環境において、単一質問への回答が50ミリ秒未満で完了したという。
NVIDIAのエッジ向けモジュール「Jetson AGX Thor」では16ミリ秒、「Jetson AGX Orin」で26ミリ秒、「Jetson Orin Nano」で50ミリ秒を記録した。また「Apple M5 Pro」環境でも30ミリ秒で動作している。
質問数が増加した際のスケーラビリティも高く、3つの質問を同時処理した場合でも所要時間は単一質問の約1.3倍にとどまり、Jetson AGX Thorでは16ミリ秒から20ミリ秒への微増に抑えられたとしている。

デスクトップ向けGPU「NVIDIA GeForce RTX 4090」を用いた検証では、単一質問への回答が8ミリ秒、3質問が21ミリ秒となり、質問処理が10ミリ秒未満、384ピクセルの画像処理も18ミリ秒未満で実行可能であることが確認された。

モデルの公開状況

今回発表されたd1-3Bおよびd1-omni-600Mは、AIプラットフォーム「Hugging Face」上でオープンモデルとして公開されており、それぞれのモデルリポジトリから利用可能となっている。

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