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The Hacker News

MarimoのRCE脆弱性を突く手作業の攻撃、わずか8秒でSSH踏み台サーバーへ到達——Sysdigが解析結果を報告

要点

  • クラウドセキュリティ企業のSysdigは、Pythonノートブック「Marimo」の脆弱性を突いた攻撃者が、初期侵入からわずか8秒でSSH踏み台サーバーへの横展開を完了させた事例を公表した。
  • 攻撃者はAIエージェントに頼らず、手作業で作成した独自のPythonスクリプトを用いて認証情報の窃取から鍵の取得、SSHログインまでを一気に実行していた。
  • 悪用されたのは、事前認証なしで遠隔からコードを実行できるMarimoの脆弱性「CVE-2026-39987」(CVSSスコア 9.3)である。
  • 攻撃者は約9時間にわたるセッションで850回以上の対話型コマンドを実行し、AI型攻撃者が陥りやすい検知用トラップを回避していた。
  • 関連する脅威動向として、Hunt.ioは認証が設定されていないRedisサーバー3,500台以上が暗号資産マイニングに悪用された大規模キャンペーンの調査結果を明らかにしている。

クラウドセキュリティ企業のSysdigは2026年9月、オープンソースの対話型Pythonノートブック環境「Marimo」の脆弱性を悪用したサイバー攻撃の解析レポートを公開した。調査によると、高い技術力を持つ人間の攻撃者が、侵入の足がかりを得てからわずか8秒間でAWS環境を経由し、SSH踏み台(バスティオン)サーバーへの到達を果たしていたことが明らかになった。

昨今ではAIの台頭によって脆弱性の発見から悪用までの時間が短縮され、攻撃の自動化が進んでいるが、Sysdigの脅威リサーチチームは「熟練した人間の攻撃者はAIアシストと同等の速度で活動できるだけでなく、防御側の検知をより巧みに回避できる」と指摘している。

わずか8秒で完了した認証情報の窃取と横展開

Sysdigが解析した攻撃事例では、Marimoの脆弱性を突いて対話型シェル(OSコマンドを直接操作できる環境)を奪取した直後、流れるような連続攻撃が記録されていた。攻撃者は侵害したインスタンスからAmazon Web Services(AWS)の認証情報を抽出し、AWS Secrets Managerを呼び出して秘密鍵を取得した上で、標的となる踏み台サーバーへのSSH接続を成功させていた。

実際のログに記録されたタイムスタンプの推移は以下のとおりである。

  • 18:57:22:MarimoのWebSocketエンドポイントへ新規接続を確立
  • 18:57:26:アプリケーション内に保持されていた認証情報からAWSのアクセスキーを特定・抽出
  • 18:57:30:踏み台ホストに対するSSH認証の成功を記録

この一連の動作についてSysdigは、既存の攻撃ツールやAIエージェント型フレームワークによるものではなく、攻撃者が手作業で記述・デバッグした単一のPythonスクリプトをバックグラウンドで実行したものだと説明している。スクリプトは認証情報の取得、Secrets ManagerからのSSH鍵取得、ディスクへの書き込み、踏み台へのSSH認証までを一度の処理で完結させていたという。

脆弱性「CVE-2026-39987」と9時間に及ぶ手動セッション

今回の攻撃で悪用されたのは、Marimoの全バージョンに影響を及ぼす「CVE-2026-39987」(CVSSスコア 9.3)である。これは事前認証なしでリモートコード実行(RCE)が可能な深刻な脆弱性であり、脆弱性情報の公開からわずか数時間のうちに活発な悪用が確認されていた。

攻撃者は12時52分に特定のIPアドレス(172.236.12.17)からMarimoの /terminal/ws エンドポイントへWebSocket接続を開始し、午後9時50分まで約9時間にわたってセッションを維持していた。セッション中には自前のVPS(仮想専用サーバー)に対してasyncssh形式のリスナー環境を構築していた。

この9時間の活動の中で、攻撃者は850回以上の対話型コマンドを入力していたが、一般に公開されている著名な攻撃ツールは一切使用せず、セッション内で即座に自作スクリプトを組み上げていた。さらに、同脆弱性を狙う自動化されたAIエージェント型攻撃者がことごとく引っかかっていた検知トラップを、この攻撃者は自然に回避していたという。

3,500台超のRedisサーバーを標的とした暗号資産マイニング攻撃も判明

Marimoへの攻撃事例と並行して、脅威インテリジェンス企業のHunt.ioも、インターネット上に露出した3,562台のRedisサーバーを侵害した暗号資産マイニングキャンペーンの調査結果を公表した。

この攻撃は、Redisの標準ポート(6379番)に対する広範囲なインターネットスキャンを通じて候補サーバーを特定したのち、以下の3つのパイプラインを同時に走らせていた。

  • WordPressの探索:HTTPSホストをスキャンし、WordPressのバージョン、導入プラグイン、XML-RPCやディレクトリ一覧の露出有無を調査
  • AOFを用いたSSH鍵の注入:Redisのデータ永続化機能であるAOF(Append Only File)を悪用し、authorized_keys ファイルへSSH公開鍵を書き込む
  • Luaサンドボックス脱出の検証:RedisのEVALコマンドを用いて、特定のホストに対してサンドボックス回避を試みる

主な侵入・感染手法には、Redisサーバーに別のサーバーをマスターとして複製させる「SLAVEOF」コマンドが悪用されており、攻撃者が用意したデータを送り込むことで「XMRig」マイナーが展開されていた。

被害が確認された環境は、2015年リリースのRedis 2.8.17から2023年の7.2.0まで、またLinux OSもサポート終了済みのRHEL/CentOS 6から現行のUbuntuカーネルまで多岐にわたる。Hunt.ioは、今回の被害が特定バージョンのソフトウェアバグによるものではなく、認証機能が設定されていなかった点に起因していると分析している。

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