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Anthropic Blog

マージコードの8割をAIが作成――Anthropicが明かす「AIネイティブ開発」におけるセキュリティ戦略

要点

  • マージ(複数のコードを統合すること)されるコードの約8割をAIが作成している実態をAnthropicが公表した。

  • 開発速度が従来の約8倍に急増する中、セキュリティの監視プロセスも並行してスケールさせている。

  • AIが設計書を分析して脆弱性を特定するシステムにより、一部開発の自己承認を可能にした。

  • 開発の高速化に伴い、セキュリティAIに組織全体の情報を連携させることが重要だと指摘している。

  • AIスタートアップの米Anthropic(アンソロピック)は2026年7月21日、AI主導で進行する自社のソフトウェア開発において、セキュリティを確保するための取り組みを公式ブログで公開した。現在、同社でマージされるコードの約8割がAIによって生成されているという。同社のデピュティCISO(最高情報セキュリティ責任者補佐)のジェイソン・クリントン氏が、開発速度を落とさずに安全性を担保する戦略を説明している。

AI主導による開発の急加速と直面する課題

同社におけるコード生成量と、システムを利用可能な状態にするデプロイの速度は急速に向上している。エンジニアが1四半期あたりに出荷するコード量は、2021年から2025年の平均と比較して約8倍に増加した。
この急激なペースに対応するため、セキュリティ監視プロセスの拡張も必須となった。対応が遅れれば、システムの一部が全体のボトルネックになる「アムダールの法則(システムの処理能力が特定のボトルネックに制限されるという法則)」の通り、開発全体の停滞を招くためである。
現在、マージされるコードの約80%はAIアシスタントのClaudeが作成しており、そのうち半分以上は社内ツール「Claude Tag」で自動マージされている。人間の役割は、方向性の指示や最終承認へとシフトしている。

安全性を担保する4つのセキュリティ戦略

非決定的(同じ入力でも結果が変わり得る性質)なAIエージェント(自律的に判断して処理を実行するAIシステム)が中核を担う開発プロセスを守るため、同社は速度を落とさずに安全性を確保する4つの戦略を導入した。
具体的には、1) セキュリティ対策を開発初期に組み込む「シフトレフト」の徹底、2) 影響範囲を最小限にする厳格なアクセス権限とアイデンティティ境界の設定、3) 本番適用の前後に自動化された決定論的レビューとAIによるレビューを組み合わせること、4) 最も効果的な箇所に人間を関与させること、である。これらには、同社が最近発表した「エージェント向けゼロトラスト」の設計思想が反映されている。

設計書の脆弱性を自動分析する「PSR」の導入

同社が最初期に導入したセキュリティ自動化ツールの一つが、Claudeのモデル「Claude Opus」を搭載したプロジェクトセキュリティレビュー(PSR)のWebアプリケーションである。
このアプリは、プロジェクトの設計書を読み込み、サイバー攻撃の手法や対策を体系化したナレッジベースである「MITRE ATT&CKフレームワーク」と照らし合わせて脆弱性を分析し、推奨される対策を提示する。
さらに、このシステムは社内のポリシーや過去の決定事項を含む「ナレッジインデックス(組織内知識データベース)」と連携された。これにより、設計書だけでは把握できない組織全体の文脈(コンテキスト)を考慮した分析が可能になり、リスクが低いと評価された開発は開発チーム自身で承認して進められるようになった。

短縮される開発サイクルとエージェントに必要な原則

AIネイティブな開発環境では、開発の計画サイクル自体が短縮されている。従来はコーディング前の詳細なレビューで手戻りを防ぐことが重要だったが、現在では数時間でプロトタイプ(試作品)が完成するため、事前レビューの重要性は薄れている。
PSRアプリをナレッジインデックスに接続したことで、開発を妨げることなく必要な文脈を把握できるようになった。また、「Claude Code」(コマンドラインで動作するAI開発アシスタント)のスキルを用い、社内情報を収集する仕組みも構築されている。
クリントン氏は、AIセキュリティの原則として「エージェントを組織のコンテキストに接続すること」を挙げる。ドキュメント作成を義務付けるのではなく、すでに情報が存在するチャットやコードベースにエージェントをアクセスさせる方が効果的であると述べている。

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