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AWS ML Blog

Metaのコーディング特化型AI「Muse Spark Open」がSageMaker JumpStartに登場 8160億パラメータ・100万トークン対応

要点

  • 米Metaが開発したコーディング特化型のオープンウェイトモデル「Muse Spark Open」が、AWSの「Amazon SageMaker JumpStart」で提供開始された。

  • 総パラメータ数8160億、トークンごとのアクティブパラメータ数420億のMoE構成を採用し、100万トークンの長大なコンテキスト長をサポートする。

  • 計画・実行・観察・自己修正を自律的に繰り返すエージェント指向の推論モデルであり、回答と同時に推論プロセスの出力にも対応する。

  • テキストのほか画像・音声・動画などのマルチモーダル入力に対応し、SageMaker上ではBF16版とNVFP4量子化版の2種類が用意される。

  • アマゾン ウェブ サービス(AWS)は現地時間2026年10月15日、米Metaが開発したコーディング特化型のオープンウェイトモデル(学習済みの重みデータが一般公開されているモデル)「Muse Spark Open」が、機械学習ハブ「Amazon SageMaker JumpStart」で利用可能になったと発表した。利用者はインフラの構築や管理を行うことなく、自社AWS環境のエンドポイントへ数ステップの操作でモデルをデプロイできる。実際のソフトウェア開発現場におけるワークフローを学習した推論モデルであり、長大な文脈を扱える処理能力と高度な自律的コーディング機能をクラウド環境で即座に検証・運用できる体制が整った。

インフラ管理不要で展開可能な2種類のバリアント

Amazon SageMaker JumpStart(事前学習済みモデルの検索やワンクリックでの展開を行えるサービス)において、Muse Spark Openは2つのバリアントで提供される。標準的な精度を保持するBF16版(Muse-Spark-Open-816B-A42B)と、NVIDIAの4ビット浮動小数点フォーマットで重みを保持するNVFP4量子化版(Muse-Spark-Open-816B-A42B-NVFP4)だ。量子化とはモデルの数値精度を調整してデータ容量やメモリ消費を削減する技術であり、用途や利用環境に応じた選択肢が用意された形となる。

開発者はWebベースの統合環境であるAmazon SageMaker Studioの画面操作、またはSageMaker Python SDKを通じたコード記述により、モデルのデプロイから初回の推論リクエストの送信、不要になったエンドポイントの削除までを容易に実行できるという。専用のサービング環境を独自に構築する必要がないため、大規模モデルの導入に伴うインフラ管理の負担を抑えられるとしている。

8160億パラメータのMoE構成と100万トークンの大容量コンテキスト

Muse Spark Openの設計における大きな特徴が、そのモデル規模とコンテキスト処理能力だ。アーキテクチャにはMoE(Mixture of Experts:複数の専門ネットワークを組み合わせ、入力に応じて必要な部分を選択的に動作させる仕組み)を採用している。総パラメータ数は8160億に達する一方で、各トークンの処理時に実際に動作するアクティブパラメータ数は420億に抑えられている。これにより、巨大ネットワークならではの容量を維持しながら、トークンあたりの計算コストを比較的小規模な高密度(Dense)モデルと同等水準にとどめているという。

さらに、本モデルは100万トークンという長大なコンテキスト長(AIが一度に把握・処理できる情報量)をサポートする。数千におよぶソースコードファイルをはじめ、依存ライブラリや過去のレガシーコードを含むプロジェクト全体をそのまま入力可能だ。従来のモデルのように、文脈制限に収めるためにタスクやコードベースを細かく分割する必要がないと説明されている。

思考プロセスの可視化と自律的なエージェント機能

Metaは本モデルについて、最初から「エージェント型コーディングワークフロー」を念頭に設計・学習させたと説明している。初回試行時の精度、ツール呼び出し、大規模コードベースの理解に焦点を当てており、単発の指示応答にとどまらず、長期的なスパンで自ら計画を立て(Plan)、実行し(Act)、結果を観察して(Observe)、誤りがあれば自己修正する(Correct)というサイクルを自律的に繰り返す能力を持つ。学習データには、複数ファイルにまたがるリファクタリングや長時間のデバッグなど、実際の開発現場における作業パターンが組み込まれているという。

また、本モデルは行動を起こす前に思考を巡らせる「推論モデル」として機能する。SageMaker AIのエンドポイントからは最終的な回答だけでなく推論過程そのものも返却されるため、エージェントがどのような理由でその行動をとったのかを開発者が追跡・把握できる。加えて、分割可能なタスクで複数のサブエージェントを指揮・協調させる機能や、Webブラウジング、デスクトップ・モバイル・ブラウザを横断したコンピュータ操作の訓練も受けている。なお、これらを動かすツールやブラウザ等の環境は、SageMaker AI上でモデルを呼び出す側のアプリケーションやエージェントフレームワークが提供する形となる。

マルチモーダル入力対応と運用上の要件

コーディング特化型でありながら、入力モダリティの柔軟性も本モデルの特色だ。テキストだけでなく、画像、各種ドキュメント、音声、さらには音声付き動画を入力として受け取り、分析結果をテキストで出力する。コードの文脈にとどまらず、設計書や図表、動作を記録した動画や音声などの多様なメディアを横断した推論が可能だという。

実環境でのサービング(運用のためのホスティング)にあたっては、ハードウェア要件への留意が必要となる。スパース活性化によりトークンあたりの計算負荷は低く抑えられるものの、8160億に及ぶ全パラメータを保持できる十分なGPUメモリが必須となるため、ホストするインスタンスの選定はメモリ容量が決め手になると指摘されている。なお、本モデルの重みデータは利用規約「Muse Spark Usage Policy」を含む「Muse Model License」の下で提供される。

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