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OpenAI Blog

米Block、OpenAI技術を活用したAIセキュリティ体制を導入 修正パッチ提示を18分に短縮

要点

  • 米Blockが、OpenAIの「Daybreak」などを活用したセキュリティ運用体制を導入した。

  • 模擬演習で脆弱性の特定から自動修正パッチの提示まで18分を記録し、7か月分のログ再検証を1時間未満に短縮した。

  • 誤検知の処理時間を四半期あたり約600時間削減し、調査の処理能力を大幅に拡大させた。

  • 軽微な端末アラートから複数ログを横断分析し、大規模な攻撃キャンペーンを特定する成果を上げた。

  • 人間が戦略や最終承認を担う「Human in the loop」を維持しつつ、タスクごとにモデルを使い分けている。

  • 米OpenAIは2026年10月14日、金融サービス大手の米Blockが、AIシステム「OpenAI Daybreak」を活用したセキュリティ運用体制を構築したと発表した。SquareやCash App、Afterpayを展開するBlockは、脆弱性の検知から対応までの工程にAIを組み込み、従来は数週間を要していた作業を数時間規模に短縮している。Blockの最高情報セキュリティ責任者(CISO)であるジェームズ・ネッテスハイム(James Nettesheim)氏は、防衛側がAIを取り入れることで、これまで攻撃者有利とされてきた速度格差に対抗可能になったと説明している。

誤検知対応を600時間削減、検知チューニングも1時間未満に

Blockのセキュリティチームは、AIが脆弱性の検知・分析・対応を支援する「OpenAI Defense Factory」を運用している。これにより、アラートのトリアージ(危険度に応じた仕分け)処理能力が50%向上し、誤検知対応に費やされていた作業時間を四半期あたり約600時間削減したという。

脅威調査や情報収集の処理件数も50%増加し、四半期あたり約1,100アナリスト時間相当の調査を完了している。ネッテスハイム氏は、すべてのアラートを「その日届いた唯一のアラートであるかのように」徹底調査できる体制が整ったと述べる。

また、検知ルールのチューニングも大幅に効率化した。過去の調査記録を活用し、提案された検知変更ルールを過去7か月分の本番テレメトリ(システムの稼働・通信データ)に対して1時間未満で再検証できるようになった。従来は数百件の過去事例を手作業で照会する必要があり、数週間を要するか実施が見送られていた作業だという。

複数ログを結びつけ攻撃経路を特定、演習では18分でパッチ提案

従来の単発スキャンツールと異なり、Daybreakは攻撃パターンを推論し、侵入経路を連鎖的に分析できる点が特徴だ。

実運用では、1台のPCにおける軽微なポリシー違反アラートから、AIが痕跡を追跡してID管理ログと照合した事例があった。単一ツールでは見落とされがちな2つのログを連携させ、端末の異常から組織全体を標的とした攻撃キャンペーンの特定・阻止につなげた。

さらに、攻撃者の視点で検証を行う「レッドチーム演習」でも効果を発揮した。内部システムの手掛かりから、SQLインジェクションや権限昇格、他システムへのピボット(侵入端末を踏み台に内部へ攻撃を広げる手法)といった侵入経路を約2時間で構築した。人間の専門家が数日かける作業を短縮した形だ。同演習では、脆弱性の報告から自動修正パッチ案の提示まで18分で完了したという。

人間による最終判断とモデルの最適配置

自動化が進む一方、Blockは人間が最終判断を下す「Human in the loop(人間の介在)」を厳格に維持している。問題箇所の特定からパッチ提案、悪用可能性の検証までをAIが支援するが、修正コードの確認や本番へのデプロイは必ず人間のエンジニアが担当する。

AIは高度な処理能力を持つが、組織固有の文脈や過去の意思決定の経緯までは把握できない。そのため、人間が背景知識と戦略を提供するレビュー層として不可欠だという。同社はAIの実績を見極めながら、より機微なシステムへ段階的に適用範囲を広げる方針をとっている。

また、常に最新モデルを使うのではなく、タスクに応じてモデルを使い分ける運用へ移行した。独自の制御基盤により、処理内容に応じたモデルの割り当てや、人間への引き継ぎ、エージェント同士の相互検証を行っている。

予防的防衛への転換と技術の裾野拡大

削減された工数は、より深い脅威調査や安全な自動化基盤の構築へ再投資されている。ネッテスハイム氏は、AIの進化により、パッチ対応に追われる状態から設計段階で脆弱性を防ぐ予防的な防衛へ移行できると期待を示す。

さらに同氏は、かつて大手テック企業や政府機関に限られていた高度な防衛能力が、AIツールの進化によって重要インフラや学校、中小企業などあらゆる組織へ広がりつつあると語っている。

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