米大手法律事務所Cooley、ChatGPT Work基盤のAI「GO Public」でIPO準備業務を加速
要点
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米大手法律事務所Cooleyが、OpenAIの「ChatGPT Work」を基盤に開発した独自AIツール「GO Public」の導入成果を発表した。
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「GO Public」はエージェント制御フレームワークを備え、顧客情報や公開データ、過去の先例を統合して案件ごとに最適な初期資料を作成する。
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大量情報の一次処理をAIが担うことで、弁護士や顧客企業の経営陣が戦略的判断や情報開示の精査といった高付加価値な作業に集中できる環境を実現した。
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2025年に世界で180件・総額515億ドル超の取引を支援したCooleyは、IPOのみならず資本市場取引全般へのAI活用拡大を見込んでいる。
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米大手法律事務所のCooley(クーリー)とOpenAIは2026年9月17日、企業の新規株式公開(IPO)に向けた準備業務を効率化する独自AI製品「GO Public」の活用状況を公表した。GO PublicはOpenAIの「ChatGPT Work」を基盤に構築されたシステムで、案件立ち上げ時に発生する膨大な情報整理を自動化し、弁護士が検証可能な初期ドラフトを素早く生成する。IPO支援において全米屈指の実績を持つ法律事務所が、本格的なAIエージェントの制御ワークフローを実務へ統合した事例として注目される。
膨大な情報処理が伴うIPO支援と開発の背景
企業の株式公開(IPO: 未上場企業が自社の株式を証券市場に新規公開すること)は、事業成長における極めて重要な局面である一方、完了までに数千件規模のタスクが発生し、関係者に莫大な労力と時間を要求する。
Cooleyは資本市場およびIPO支援において国際的な評価を得ている法律事務所であり、2025年には世界全体で180件、総取引額にして515億ドルを超えるディールに関与した。過去10年間にわたり米国の発行体側IPO市場でトップクラスの実績を誇り、過去20年以上にわたるベンチャーキャピタル支援企業のIPO案件でも最多の助言実績を持つ。
同事務所の最高イノベーション責任者を務めるDavid Wang氏によると、資本市場関連の法務では統合・分析すべき情報量が膨大であり、弁護士は常に過密な業務に直面していたという。こうした負担を軽減し、より迅速かつ的確な支援を提供するため、同事務所はChatGPT Workを基盤にした独自システム「GO Public」を開発した。
エージェント制御基盤「GO Public」の仕組み
GO Publicの中核には、自律的に動作するAIエージェントの処理と弁護士による検証作業を組み合わせた「エージェンティック・ハーネス(AIエージェントの実行手順や権限、確認手順を制御する管理基盤)」が組み込まれている。
従来のIPO準備では、類似した他社の先例(プレシデント: 過去の取引で作成された開示書類や契約書のひな形)を出発点として選び、それを個別の顧客の状況に合わせて手作業で修正していく手法が一般的だった。これに対しGO Publicでは、クライアントから提供された個別情報、関連する公開ソース、厳選された過去の先例データをAIが一元的に集約・分析する。これにより、各案件の状況に即した専用のスタート地点となる初期資料を自動で構築できるようになった。
システムの構築にあたっては、Cooleyのリーガルエンジニア、イノベーション担当弁護士、実務担当者が連携し、長年培った知見をシステムへ落とし込んだ。ハーネスの制御によって、エージェントが自動実行できる処理範囲と、弁護士による確認・検証が必須となる工程が明確に定義されている。過去の分析実績から得られたノウハウがシステム内部に組み込まれており、OpenAIとの緊密な連携のもとで、適切なプロセスから正確な成果物が導かれるよう設計されているという。
「質の高い起点」への到達と弁護士・経営陣への効果
GO Publicの導入により、Cooleyでは従来手作業で行っていた大量情報の一次選別をAIが担う体制へと移行した。これにより、弁護士および顧客企業の経営陣が、案件の根幹に関わる実質的な業務へ時間を振り向けることが可能になった。
同事務所のパートナーでありグローバル資本市場グループの共同代表を務めるDave Peinsipp氏は、この変化を「質の高い起点への迅速な到達(speed to quality)」と表現している。単に同じ作業の処理速度を上げることだけが目的ではなく、精度の高い初期資料を素早く手に入れることで、弁護士が法的判断の適用や開示内容の精査、戦略的課題の検討といった高度な作業により多くの時間を充てられるようになるという。
また、この効率化は顧客企業の経営陣にとっても大きな利点をもたらしている。急成長中の企業経営者は日々の事業運営と並行してIPO準備の対応を迫られるが、初動の準備作業が効率化されることで、事業の成長戦略、投資家に向けたストーリー構築、取引条件の決定など、経営陣自身が付加価値を発揮すべき核心部分に集中できるよう支援している。
専門的判断を保ちながら進める業務モデルの革新
法律業界は伝統的に変化に対して慎重な姿勢を取ることが多いとされるが、CooleyではAIの導入を通じて、弁護士としての説明責任や専門的な判断力を維持したまま業務プロセスを刷新する取り組みを進めている。
Wang氏は、弁護士にはクライアントのために法的に最も確実な結果を導く職業上の義務があり、その遂行には多大な労力を要すると説明する。GO Publicは、弁護士がより広範な情報を考慮しつつ、最も重要な意思決定に自らの専門知識を集中できるように設計されている。
Peinsipp氏は、GO Publicを資本市場法務における将来のあり方を示す第一歩と位置づけており、OpenAIとの協業を通じて業務の進め方を見直すことができたと述べている。今後はIPO支援にとどまらず、資本市場における各種取引全般に対しても同システムの適用と展開を見据えているという。