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AWS ML Blog

米GoDaddy、レガシーBIからAmazon Quickへの移行で描画時間を5秒未満に短縮——年間1万5000時間の削減とAIによるセルフサービス化を実現

要点

  • 米GoDaddyが、レガシーなBIツールからAWSの「Amazon Quick」への2年間にわたる移行を完了した。

  • ダッシュボードの描画時間を15分以上から5秒未満に短縮し、ダッシュボード総数を50%削減した。

  • カスタムエージェントと自動化フローの導入により、全社で年間1万5,000時間以上の作業時間を削減した。

  • AWSデータ基盤とのネイティブ統合、従量課金制、組み込み機械学習機能が採用の決め手となった。

  • 米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)は2026年8月26日、公式ブログ「AWS Machine Learning Blog」にて、米大手ドメイン登録・Webホスティング事業者のGoDaddy(ゴーダディ)によるBI(ビジネスインテリジェンス:業務データを分析・可視化して意思決定を支援する仕組み)基盤の刷新事例を公開した。GoDaddyは従来のBIツールから「Amazon Quick」(BI機能であるAmazon QuickSightを含む)への移行を2年間かけて実施し、データ分析基盤の処理性能向上と全社的なセルフサービス化を達成したという。これにより、ダッシュボードの表示待ち時間が大幅に改善されたほか、年間1万5,000時間以上の作業時間削減につながったことが明らかになった。

課題:5,000以上のダッシュボード肥大化と15分超の描画待ち

GoDaddyは、世界中で2,000万人以上の顧客を抱え、約8,200万件のドメイン名を管理する世界最大級のドメイン登録・Webホスティング事業者である。同社のように大規模な事業を展開する企業にとって、タイムリーなビジネスデータへのアクセスは、迅速な意思決定とアクションを左右する生命線となっていた。

しかし、データ駆動型の組織として急成長を遂げる中で、分析インフラは深刻なボトルネックに直面していた。社内で構築されたダッシュボードの総数は5,000を超えて肥大化しており、データ分析が事業全体に深く浸透していた一方で、データ量の増大に伴ってインフラの運用コストやライセンス費用が増加の一途をたどっていた。さらに、1つのレポートを表示(レンダリング)するまでに15分以上も待たされるケースが発生するなど、業務効率を大きく低下させる要因となっていたという。

また、当時の分析運用体制は中央集権型のモデルを採用していた。マーケティング、財務、プロダクト開発、カスタマーエクスペリエンス(顧客体験)といった各部門からの分析リクエストは、すべて中央のBIチームが対応していた。同チームは高い成果を上げていたものの、社内からの需要が処理能力を継続的に上回る状況が続き、専門的な技術知識を持たない一般の社員が自らデータから洞察を得る「真のセルフサービス分析」を全社規模で実現することは難しかった。こうした状況を受け、GoDaddyのリーダー層は、単にダッシュボードを追加し続けるのではなく、専門スキルを必要とせずに誰もが必要な洞察を直接手に入れられる環境への抜本的な転換を決断した。

選定:AWSとの統合性、従量課金制、機械学習機能を評価

GoDaddyのデータ&アナリティクスプロダクトチームは、2023年初頭にBIツールの正式な比較評価を開始した。当時利用していたツールの将来的なロードマップに加え、Amazon QuickのBI機能である「Amazon QuickSight」をはじめとする複数の競合ソリューションを精査したという。その結果、以下の3つの主要因が決め手となり、Amazon Quickの採用に至ったと説明している。

1つ目の要因は、AWSサービス群とのネイティブな統合性である。GoDaddyはすでに、フルマネージド型クラウドデータウェアハウスの「Amazon Redshift」やオブジェクトストレージの「Amazon S3(Simple Storage Service)」、リレーショナルデータベースサービスの「Amazon RDS」など、多数のAWSインフラを運用していた。Amazon Quickを採用することで、すでに稼働しているクラウド基盤の上に直接分析環境を構築でき、個別に独立したBIスタックを管理する手間を排除できた。さらに、負荷に応じて自動で処理能力を調整するサーバーレスのオートスケーリング(自動スケーリング)構造により、従来のBIツールで発生していたインフラ運用の負荷を大幅に削減できたとしている。

2つ目の要因は、従量課金制(pay-as-you-go)の料金体系である。大規模なエンタープライズ環境において、コストの予測可能性が高く、極めて費用対効果に優れている点が評価された。

3つ目の要因は、サービスに組み込まれた機械学習(ML)機能である。高度なデータ処理や将来的な分析の高度化を支える基盤として、この機能が重要な評価基準となった。

成果:描画速度は5秒未満に改善、年間1万5,000時間を削減

2年間にわたる移行プロジェクトの結果、GoDaddyのデータ活用環境には多面的な改善がもたらされた。

まずパフォーマンス面では、従来15分以上かかっていたダッシュボードの描画時間が「5秒未満」にまで短縮された。また、乱立していたダッシュボードの総数は整理統合され、移行前と比べて50%削減された。さらに、AIを活用したセルフサービス分析が全従業員に開放されたことで、各部門のメンバーが専門のアナリストを介さずに自ら必要な洞察を得られる体制が整備された。

これらの一連の自動化や効率化により、全社で年間1万5,000時間以上の作業時間が削減されたという。

GoDaddyでビジネスアナリティクス担当シニアマネージャーを務めるJake Minette(ジェイク・ミネット)氏は、今回の移行について次のようにコメントしている。

「Amazon Quickに移行したことで、ダッシュボードのレンダリング時間を15分から5秒未満に短縮しました。しかし、より大きな成果は組織文化の変革です。カスタムエージェントと自動化されたフローにより、データ駆動型の意思決定がアナリストだけのものではなく、GoDaddy全体で当たり前になりました。チーム全体で年間15,000時間以上を節約し、より付加価値の高い業務へシフトできました」

インフラの刷新と自動化フローの導入によって社内のデータ活用文化が大きく変化し、分析チームがより付加価値の高い業務へ注力できるようになったことが強調されている。

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