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AWS ML Blog

米Natera、Amazon Bedrock AgentCoreで訪問採血の音声予約エージェントを構築 通話検証でツール呼出精度100%を達成

要点

  • 米遺伝子診断大手のNateraが、Amazon Bedrock AgentCoreを活用した訪問採血予約向けの音声対話AIエージェントを構築した。

  • 個人識別情報やSMS認証コードを用いた患者認証、複数ベンダーにまたがる予約枠の調整など、ヘルスケア特有の複雑な業務フローを自動化した。

  • デュアルWebSocketブリッジ、イベント駆動型レイテンシマスキング、段階的信頼モデルという3つの設計原則を採用している。

  • 500件のエンドツーエンド通話シミュレーションにおいて、ツール呼び出し精度100%、体感遅延7秒未満、通話1件あたり0.01米ドル未満を達成した。

  • 米Amazon Web Services(AWS)は2026年8月26日、公式ブログ(AWS ML Blog)において、遺伝子検査を手がける米Nateraが「Amazon Bedrock AgentCore」を用いて訪問採血の自動予約音声エージェントを構築した事例を公開した。電話網、基盤モデル、バックエンドを連携させ、ヘルスケア分野で求められる厳格なコンプライアンスと精度を維持しながら、患者との自然な対話による予約受付を実現したという。

複雑な予約業務の課題とAgentCoreの選定理由

Nateraは、血中循環腫瘍DNAなどの無細胞DNA(cfDNA: 血液中に浮遊するDNA断片)検査を専門とするグローバル診断企業である。同社は、がん治療中の患者が医療機関へ行かずに自宅で採血を受けられる「モバイル採血サービス」を提供している。

従来の予約業務では、患者が電話で本人認証を行い、希望日時を3候補提示した上で、人間の担当チームが採血スタッフや外部委託先と調整して予約枠を確定させていた。このワークフローには、個人識別情報やSMS(ショートメッセージサービス)認証コードを用いた患者認証、複数ベンダーのシステムを跨ぐ空き枠確認、例外時の代替処理(フォールバック)といった複雑な要件が含まれていた。

同社はこれまで、クラウド電話API「Twilio」や外部AIサービス、コンテナ管理サービス「Amazon ECS」を組み合わせた仕組みを運用していたが、応答精度や拡張性、対話体験の向上に課題を抱えていたという。

なお、電子カルテ大手のEpicやCerner向けには標準ソリューション「Amazon Connect Health」が存在するが、Nateraの業務では独自の委託先調整や柔軟な電話網連携が必要であったため、任意のフレームワークやモデルでエージェントを構築・最適化できる「Amazon Bedrock AgentCore」が選定された。

リアルタイム音声を支える3つのアーキテクチャ原則

NateraとAWSは、電話回線と基盤モデル(テキストや音声を扱う大規模AIモデル)、バックエンドシステムを低遅延かつ高精度に結びつけるため、3つの基本設計原則を採用したと説明している。

  1. デュアルWebSocketブリッジパターン(dual-WebSocket bridge pattern): 電話基盤とバックエンド、AIモデル間の双方向ストリーミング通信を中継・制御する通信構造。
  2. イベント駆動型レイテンシマスキング(event-driven latency-masking technique): モデル推論や外部API連携に伴う待ち時間を、イベント駆動型の制御で対話中に自然に隠蔽する技術。
  3. 会話途中認証のための段階的信頼モデル(progressive trust model for mid-conversation authentication): 対話の進行や必要性に応じて、段階的に本人確認や認証処理を進めるアプローチ。

あわせてNateraは、従来のAmazon ECS環境から「Amazon Bedrock AgentCore runtime」への移行を実施した。これにより、音声対話システム特有の課題であったWebSocketの接続ライフサイクル管理や、通話セッションの状態保持(ステート管理)の難しさを解消したとしている。

500回の通話検証でツール呼出精度100%と低コストを実証

ブログでは、新アーキテクチャの有効性を確認するために実施された500回のエンドツーエンド通話シミュレーションの結果も公表された。

  • ツール呼び出し精度: 100%を達成。患者との対話から意図を正確に解釈し、外部システムとのAPI連携や機能実行(ツール呼び出し: AIが外部APIやプログラムを自動実行する仕組み)を誤りなく完了した。
  • 体感遅延: 7秒未満(sub-7-second)を実現。遅延マスキング技術により、利用者が待たされていると感じにくいスムーズな対話を実現した。
  • 通話コスト: 完了した通話1件あたり0.01米ドル未満を達成。商用規模の運用に十分耐えうる費用対効果を示した。

Nateraは今回のシステム構築により、ヘルスケア分野の厳格な正確性とコンプライアンス基準を維持しながら、患者の予約体験を高度な対話型AIへ刷新できることを実証したとしている。

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