米司法省、DDoS攻撃代行サービス「NightmareStresser」のドメインを押収 数十万件の攻撃に関与
要点
-
米司法省が、DDoS攻撃代行サービス「NightmareStresser」の主要2ドメインを差し押さえたと発表した。
-
同サービスは2022年以降に数十万件の攻撃に関与し、56万人超の登録ユーザーを抱えていたとされる。
-
暗号資産決済やアフィリエイト機能、CAPTCHAやレート制限を回避する攻撃機能を提供していた。
-
国際共同作戦「Operation PowerOFF」の一環であり、一連の捜査での起訴者は12人、押収ドメインは100件を超えた。
-
米司法省(DoJ)は2026年9月、世界中で数十万件に及ぶDDoS攻撃(分散型サービス妨害攻撃:多数の端末から過剰な負荷をかけて標的を麻痺させる攻撃手法)に関与したとされる攻撃代行プラットフォーム「NightmareStresser」のドメインを差し押さえたと発表しました。この措置は裁判所の令状に基づき、米連邦捜査局(FBI)やカナダ王立騎馬警察(RCMP)による国際共同作戦として実施されました。正規の負荷テストツールを装いながら、実際には教育機関や政府機関、ゲームプラットフォームなどを狙ったサイバー攻撃の温床となっていたインフラが摘発された形です。
国際法執行作戦によるドメインの差し押さえ
今回の作戦で差し押さえられたのは、「nightmare-stresser[.]com」および「nightmarestresser[.]org」の2ドメインです。現在これらのサイトにアクセスすると、アラスカ地区連邦地方裁判所が発付した令状に基づき、FBIアンカレッジ支局、アラスカ地区連邦検事局、カナダ王立騎馬警察の連携によって押収された旨の告知バナーが表示されます。
いわゆる「booterサービス」(ストレステストを名目にDDoS攻撃を有償代行するサービス)と呼ばれるこれらのサイトは、システムの耐久性検証を謳いながら、実際には広範な標的に対するサイバー攻撃を助長してきました。司法省によると、被害対象には教育機関や政府機関、ゲームプラットフォーム、数百万人に及ぶ一般ユーザーが含まれます。司法省は、標的への直接的な打撃だけでなく、地域全体のインターネット接続の著しい品質低下や完全な遮断を引き起こす恐れがあると指摘しています。
56万人超のユーザーと高度な攻撃機能の実態
NightmareStresserは、2022年以降に世界各地で発生した数十万件規模のDDoS攻撃や攻撃試行に悪用されてきたと評価されています。Webアーカイブの記録によると、同サービスのドメイン(nightmarestresser[.]org)自体は、Webインフラ事業者BlazingFastのDDoS防御サービスで保護されていました。
セキュリティ企業Searchlight Cyberが2023年後半に発表したレポートによると、同プラットフォームの登録ユーザー数は56万6,000人を超え、52台の攻撃サーバーが運用されていました。管理画面では標的のIPアドレスやURL、ポート番号を指定でき、同時攻撃の並行数も柔軟に設定できる仕様になっていたと報告されています。
サイト閉鎖前の記述によると、運営側は「8年以上にわたり24時間年中無休で稼働し続けている唯一のDDoSツール」「8年間一度もダウンしたことがない」とアピールしていました。
また、利用料金の支払いに暗号資産を採用していたほか、紹介プログラム(リファラル制度)も導入されていました。紹介リンク経由で登録した利用者は紹介者のアカウントに恒久的に紐付けられ、その後の購入や更新ごとに継続してクレジットが付与される仕組みでした。
機能面では、トランスポート層にあたるレイヤ4での増幅攻撃やバイパス手法に加え、Webアプリケーション層であるレイヤ7の攻撃に対応していました。運営側は、CAPTCHA(人間かボットかを判定する画像認証)や地域制限(ジオブロック)、アクセス頻度制限(レートリミット)を回避可能だと宣伝していました。さらに、稼働中のすべての攻撃をワンクリックで即座に停止できる「Stop All」ボタンを備えるなど、攻撃者にとっての利便性が図られていたとされています。
継続するDDoS撲滅作戦「Operation PowerOFF」
今回の摘発は、犯罪的なDDoS代行インフラの解体を目指す長期的な国際共同作戦「Operation PowerOFF」の一環です。NightmareStresser関連ドメインは、2022年12月に司法省が48ドメインを押収した際にも一部が含まれており、継続的な捜査対象となっていました。
2026年4月にも同作戦により、7万5,000人以上のサイバー犯罪者が利用していた複数の商用DDoSサービスに関連して53ドメインが閉鎖され、4人が逮捕されています。
これら一連の法執行活動を通じて、DDoS代行サービスに関与したとして起訴された被告は累計12人に達し、押収されたドメインは100件を超えました。司法省は、今回の成果をもとに既知のbooterサイトの網羅的な閉鎖を進めるとともに、利用防止に向けた啓発活動を推進していく方針です。