米投資運用会社Benefit Street Partners、OpenAIのCodexを活用した独自ツール開発で融資審査を迅速化
要点
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米信用投資会社Benefit Street Partnersが、OpenAIのコード生成AI「Codex」を活用して社内分析ツールを開発している事例が公開された。
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投資担当者が自ら開発を手掛け、投資委員会からの追加質問に対する回答期間を従来の数日〜数週間から1日以内、あるいは会議中の即答へと短縮した。
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融資の評価額を比較するトラッカーを10〜12時間ほどで自作したほか、300ページ超の融資契約書を約20分で一次分析するツールを運用している。
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契約書分析ツールは「GPT-6 Astra」でリファクタリングされ、現在は社内ポータル上で稼働している。
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案件数の拡大ではなく審査の厳密さ向上を目的としており、今後はリアルタイムで影響を把握する継続的な審査体制を目指す。
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米OpenAIは2026年10月16日、北米の信用投資運用会社Benefit Street Partners(BSP)における「Codex」の導入事例を公式ブログで公開した。同社では投資担当者がAIの支援を受けながら自ら分析ツールを内製化し、融資審査に伴う業務の効率化と高度化を進めているという。従来は数日や数週間を要していた投資委員会への回答が短時間で行えるようになるなど、投資判断プロセスの迅速化が報告されている。
投資委員会への回答を即日化、審査の厳密さを追求
BSPは、信用リスクを伴う債券や融資を扱う「クレジット投資」に特化した資産運用会社である。同社で融資案件の実行可否を審査する投資委員会では詳細な追加質問が出されるが、従来アナリストがこれに回答するための調査や資料作成には数日から数週間の時間を要していた。Codexの導入後は1日以内に回答を取りまとめられるようになり、場合によっては会議の場その場で即答できるケースも出てきているという。
この取り組みを主導したポートフォリオマネージャーのアナント・クマール氏は、AIの支援によって自身がアナリストにとどまらず、ツールを自ら構築する開発者の役割も担うようになったと語る。なお同社におけるツールの導入目的は取扱案件数を増やすことではなく、限られた期間の中で引受審査(アンダーライティング:融資実行前にリスクや妥当性を検証する手続き)の厳密さと検証能力を高めることにあると説明されている。
BDCの公開書類をもとに評価トラッカーを自作
クマール氏が手掛けたツールのひとつが、融資の評価額を比較・追跡するトラッカーだ。以前は社内向けダッシュボードを作成するためにソフトウェア専門技術者の支援が必要だったが、現在はAIにコードの下書きやエラー検証を行わせることで自力で開発している。
このツールは、中堅企業等に投融資を行う投資法人であるBDC(ビジネス・ディベロップメント・カンパニー)が米証券取引委員会(SEC)に提出する公開書類を活用している。同一の融資に対して他社がどのような評価額(マーク)をつけているかを比較し、自社の水準と照合できる仕組みとなっている。
クマール氏はCodexによるコードレビューを活用して最初のバージョンをわずか1日ほどで構築した。その後の機能追加やUI改善を含めても、開発にかかった総時間は10〜12時間程度だったという。
300ページの契約書を20分で一次分析、「GPT-6 Astra」で刷新
もうひとつのツールは、300ページ以上におよぶ長大な融資契約書(クレジット・アグリーメント)の分析システムである。融資契約においては貸し手に不利となるような条項の有無を確認する必要があり、従来は外部の法律事務所に依頼して全ページを精読してもらっていた。クマール氏は大手法律事務所のリスク解説メモを集約し、社内の「第2の脳」として機能するアナライザーを構築した。
契約書をアップロードすると約20分で一次分析が出力され、その後人間が1時間以上かけて内容を精査する運用形態がとられている。このツールは「GPT-6 Astra」によってリファクタリング(機能を変えずにコード構造を改善すること)され、現在は社内ポータル上で稼働している。クマール氏は、AIはデータ収集や分析の要約に有用だが最終判断は人間が行うべきだと強調した上で、情報量が増えたことで意思決定に対する確信が深まったと述べている。
リアルタイムの「継続的審査」に向けた展望
融資の引受審査は通常、追加調査やメモの改訂を重ねる複数ラウンド制で行われ、検討期間は数日から数週間に及ぶ。BSPは今後、個別案件の枠を超えて情報を結びつける取り組みを進める方針だ。
長期的な目標としては、何らかの事態が起きてから再審査を行うのではなく、ニュースの発生に合わせて融資状況を常時監視し、ポートフォリオ全体への影響を検証する「継続的なアンダーライティング」の実現を掲げている。クマール氏は、Codexによって日常の定型業務が減り、より高度な業務に多くの時間を充てられるようになったと振り返っている。