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The Hacker News

米政府機関、AI生成スクリプトによる重要インフラのPLC攻撃に警告 台湾では自律型エージェントの侵入事例も

要点

  • 米国の複数の政府機関が、AIで生成された攻撃スクリプトを用いて重要インフラの制御機器を狙う脅威について共同警告を発表した。

  • 攻撃者はインターネット検索で脆弱なシーメンス製「S7」シリーズなどを特定し、正規の監視ツールを偽装したPythonスクリプト等で侵入や遠隔操作を試みている。

  • AIの活用により攻撃ツールの開発期間や技術的ハードルが大幅に低下しており、産業制御システムへの深刻な影響が懸念されている。

  • アジア地域(台湾)でも、複数のAIエージェントを連携させて侵入プロセスを自動化する大規模な攻撃キャンペーンが観測されたことが明らかになった。

  • 米国の国土安全保障省サイバーセキュリティ・インフラセキュリティ庁(CISA)、国家安全保障局(NSA)、連邦捜査局(FBI)、エネルギー省(DOE)、環境保護庁(EPA)は2026年8月20日、人工知能(AI)によって生成されたエクスプロイト(脆弱性攻撃)スクリプトを用い、国内の重要インフラ組織を標的とするサイバー攻撃が発生しているとして共同のセキュリティアドバイザリを発表しました。

  • 攻撃者は公開されている機器情報とAIの支援を組み合わせ、攻撃用スクリプトを迅速に開発・改良しており、産業制御分野における脅威のハードルが一段と下がっている実態が浮き彫りとなっています。

正規ツールを偽装するAI生成スクリプトと標的機器

発表によると、今回の攻撃活動では工場やインフラ施設で広く利用されているシーメンス(Siemens)製のプログラマブルロジックコントローラ(PLC:機械や設備を自動制御する産業用装置)「S7」シリーズが集中的に狙われています。具体的には以下のモデルが対象として挙げられていますが、調査ではシーメンス製品に限らず、より広範なPLCも標的に含まれていると評価されています。

  • S7-200 シリーズ(全CPUモデル)
  • S7-300 シリーズ(314、315、317を含む全CPUモデル)
  • S7-400 シリーズ(全CPUモデル)
  • S7-1200 シリーズ(CPU 1211C、1212C、1214C、1215C、1217C)
  • S7-1500 シリーズ(安全制御用のFシリーズを含む全CPUモデル)

攻撃者は、CensysやZoomEyeといった公開機器検索サービスを利用して、ソフトウェアが更新されていない機器やセキュリティ対策が不十分なままインターネットに公開されているPLCを探索しています。

展開されているツールには、AIの支援で作成されたカスタムPythonスクリプトが含まれています。このスクリプトはオープンソースの産業用ライブラリ「snap7.dll」や「python-snap7」を組み込んでおり、産業用プロトコル「S7comm」を介してPLCのメモリ、設定データ、ラダーロジックプログラム(機器を動かす制御プログラム)の読み書きを行います。一見すると正規の監視ユーティリティのように振る舞うことで検知を逃れつつ、初期アクセスや認証情報の窃取、サービス拒否(DoS)攻撃の実行などを進めているとされています。

攻撃能力の敷居低下と求められる防御策

米当局は、AIを活用して攻撃スクリプトを作成・迅速に反復改良する手法について、産業制御システム(ICS)攻撃に必要な専門知識や開発時間を大幅に圧縮し、攻撃者の攻撃能力を「進化」させるものだと指摘しています。既知の脆弱性、入手しやすい悪用ライブラリ、AI支援の開発環境が揃ったことで、保護が不十分なPLC設備に対して高い確率で攻撃が成立する状況が生まれていると警告しています。

標的とされている分野は、重要製造業、エネルギー、上水道・下水道システム、化学、食品・農業、商業施設など多岐にわたります。攻撃を受けた場合、重要プロセスの停止、安全事故、設備の損傷、機密データの漏えい、法令違反に加え、相互接続されたシステム全体へ被害が連鎖するリスクがあります。なお、アドバイザリでは特定の脅威グループへの帰属(特定)は行われていません。

当局は、PLCを運用する組織に対し、ファームウェアやソフトウェアを最新状態に保つこと、機器を可能な限りインターネットから隔離(ネットワークのセグメンテーション)すること、厳格なアクセス制御を適用すること、そしてICS環境内で異常や悪意ある挙動を検知するセキュリティ監視ツールを導入することを強く促しています。

台湾ではマルチエージェント型の自律攻撃も確認

サイバー攻撃におけるAIの活用は、単発のスクリプト生成にとどまらず、自律的なエージェント連携へと拡大しています。

イスラエルのセキュリティ企業Dreamの報告やロイターなどの報道によると、2026年7月1日から4日にかけて、台湾の政府機関を標的としたほぼ自律的なサイバー攻撃が観測されました。台湾のデジタル発展部(MODA)は、海外発の攻撃であり、従来の運用に「OpenClaw」などのAIエージェントを組み合わせたハイブリッド型の手法が使われたと説明しています。

この攻撃は12回にわたる波状攻撃として展開され、中国語の運用者によるものとみられています。「Hermes」および「OpenClaw」を基盤とするAIフレームワークを用い、最大8つのサブエージェントを並行して稼働させて侵入作業を自動化していました。各エージェントは役割を分担し、以下のような異なる攻撃対象面を同時に攻略していたと報告されています。

  • エージェントA:シングルサインオン(SSO)の悪用および認証情報への攻撃
  • エージェントB:JWT(認証トークン)の検証回避テストおよびCAPTCHAの総当たり突破
  • エージェントC:複数の政府ポータルサイトを対象とした偵察
  • エージェントD:APIスキャンおよび管理者パネルのアクセス制御回避
  • エージェントE:既知の脆弱性(CVE)の調査

これらのエージェント群により、職員の認証情報窃取、データの持ち出し、個人認証サービスにおける署名検証の欠陥発見、政府Webアプリケーションへの永続的なバックドア設置などが実行されていたとされています。

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