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AWS ML Blog

米ZS、Amazon SageMakerを活用した安全な分析基盤を構築——1000人規模の利用とヘルスケア規制への準拠を両立

要点

  • 米ZS Associatesが、Amazon SageMaker Studioを基盤とするセキュアな機械学習・データ分析環境の構築事例を公開した。

  • インターネット接続を遮断した閉域構成やJFrog Artifactoryによるリアルタイム検証により、不正コードの混入を防ぐ設計を採用した。

  • テナントごとのドメイン分離と3階層のIAMロール設計により、厳格なアクセス制御と詳細なコスト管理を実現している。

  • 全リソースのKMS暗号化に加え、CrowdStrikeによる脅威検知やSplunk・CloudTrailによる監査ログ体制を整備した。

  • 現在は200以上のSageMakerドメインに展開され、1日あたり1,000人以上のアクティブユーザーが同基盤を利用している。

  • 米ZS Associates(ZS)とアマゾン ウェブ サービス(AWS)は2026年9月1日、AWS公式の「AWS ML Blog」において、ZSがAmazon SageMakerを活用して構築したセキュアなアドホック(随時)データ分析基盤の事例を共同で公開した。厳格な法規制の遵守が求められるヘルスケア分野において、セキュリティ統制とデータサイエンティストの開発アジリティ(俊敏性)を両立させた事例だという。現在では200を超えるSageMakerドメインで1日1,000人以上のアクティブユーザーがこの環境を利用していることが明らかになった。

規制遵守と開発効率を両立するML基盤の設計

ヘルスケアなどの規制業界では、データサイエンティストに俊敏な分析環境を提供することと、コンプライアンス基準を満たすために環境を厳格に制限することのバランスが大きな課題となっていた。ZSはこの課題に対処するため、組織全体の機械学習運用の基盤として、クラウド上で機械学習モデルの開発やデータ分析を行える統合開発環境「Amazon SageMaker Studio」を採用した。

独自のセキュリティ基準を開発体験に直接組み込むことで、ヘルスケア分野のコンプライアンス要件を維持しながら、社内のデータサイエンティストやアナリストが機械学習機能を活用できる体制を整えたと説明している。

インターネット遮断とパッケージ検証による境界防御

同プラットフォームは、デフォルトで外部インターネットへの直接接続を行わない非接続モード(internet-free mode)で稼働する。AWSの各種サービスとの通信には、専用の通信経路を提供する「Amazon VPC(Amazon Virtual Private Cloud)エンドポイント」を活用し、制御されたプライベートネットワーク内でのみ接続を行う。

また、外部ライブラリなどの安全性を確保するため、パッケージ管理ツール「JFrog Artifactory」を環境内に統合した。上位リポジトリとのリンク機能やリアルタイムのパッケージスキャンを実施し、不正なコードや改ざんされたパッケージが分析環境へ侵入することを防止している。

テナント分離と3階層のIAMロールによるアクセス制御

アーキテクチャ面では、クライアントやプロジェクトなどのテナントごとにSageMakerドメインを完全に分けるマルチテナント設計を採用した。

各ドメインには、複数環境から共有可能なファイルストレージ「Amazon EFS(Amazon Elastic File System)」の専用ボリュームが個別に割り当てられ、独立した「AWS IAM(Identity and Access Management)」ロールやネットワーク設定が適用される。これにより強力なテナント間隔離が維持され、厳格なアクセス制御ときめ細かなコスト追跡が可能になったという。

さらに、アクセス権限においては「最小権限の原則(業務に必要な最低限の権限のみを付与する原則)」を徹底するため、以下の3階層からなるIAMロール構造を導入した。

  1. ドメイン実行ロール(Domain Execution Roles): ドメイン全体のデフォルトとなる基本権限
  2. Studioユーザーロール(Studio User Roles): ドメインの既定値を上書きし、ユーザー単位で詳細な制御を行う権限
  3. スペース実行ロール(Space Execution Roles): 共有作業スペースを管理・制御する権限

この階層設計により、最小権限を適用しつつも、現場の分析作業における運用の柔軟性を維持している。

全リソースの暗号化と監査・監視体制の整備

データ保護においては、暗号化キーを安全に管理する「AWS KMS(AWS Key Management Service)」によるデフォルト暗号化を全面的に適用した。Amazon EFSボリュームやオブジェクトストレージ「Amazon S3」、コンテナレジストリ「Amazon ECR」、コードリポジトリ「AWS CodeCommit」に格納されるデータが自動的に暗号化される(※AWS CodeCommitは2024年7月の新規顧客受付停止前に導入された構成であると記されている)。

セキュリティ監視面では、OSレベルの脅威検知を行う「CrowdStrike」や、ログデータを一元管理・分析する「Splunk」を統合した。さらに、すべてのAPI呼び出しを記録する「AWS CloudTrail」により、完全な監査証跡を保持できる体制を整えている。

全社的な機械学習基盤としての定着

ZSでは本プラットフォームの展開を順調に進め、多くのアプリケーションチームへ導入した。これにより、Amazon SageMakerが同社における主要な機械学習・分析基盤として確立されたと報告されている。

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