Microsoft FoundryのAzureホスト型Claudeで構造化出力やWeb検索など5つの新機能が提供開始
要点
-
米Microsoftは2026年8月17日、「Microsoft Foundry」上のAzureホスト型Claudeにおいて、エージェント構築を支援する5つの新機能を提供開始したと発表した。
-
追加された機能は「構造化出力」「Web検索」「Web取得」「MCPコネクタ」「ツール検索」の5つ。
-
これまでAnthropicインフラでのみ使えたエージェント向け機能がAzureインフラ上で利用可能になり、データのセキュリティ要件と高度な機能の両立が実現した。
-
プロンプトや生成データはAzureのセキュリティ境界内に保持され、米国のデータ保護基準に準拠したデプロイにも対応する。
-
開発者が個別に自作していたパースエラー時のリトライ処理や検索基盤、ツール連携機能がプラットフォーム標準として提供される。
-
米Microsoftは2026年8月17日、クラウドプラットフォーム「Microsoft Foundry」で提供するAIモデル「Claude」のAzureホスト型デプロイにおいて、エージェント構築を支援する5つの新機能を追加したと公式ブログで明らかにした。これまで外部インフラ経由でのみ利用可能だった高度なツール連携や出力制御が、Azureの環境内で直接実行できるようになる。今回の機能拡充により、企業は厳格なデータ保護要件を維持しながら、自律型AIエージェントの開発を加速できるという。
Azure環境内での完結とデータガバナンスの課題解消
Microsoft Foundryでは2026年6月にClaudeモデルの一般提供(GA)が開始され、AzureネイティブなエンドポイントやEntra IDによる認証、Azure Marketplaceを通じた課金管理が導入されていた。しかし、エージェント向けの高度な機能群はAnthropic側のインフラで動作する「Hosted on Anthropic」デプロイに限定されていたため、プロンプトや応答データをAzureのセキュリティ境界内に留めたい企業は、機能の利用を諦めるか周辺機能を自前で実装する必要があった。
今回のアップデートにより、Azureインフラ上でAnthropicが運用を行う「Hosted on Azure」デプロイでもこれらのエージェント機能が利用可能となり、機能性とデータ保持要件の間のトレードオフが解消されたと説明している。
Azureホスト型の環境では、プロンプトおよび生成結果のデータはAzure内に保持され、Anthropicへ送信されるのは利用状況のメタデータや安全性チェックに該当したコンテンツのみとなる。提供形態としては「Global Standard」のほか、推論処理を米国内に留める「US Data Zone Standard」が用意されており、金融や医療など規制の厳しい業界でも要件を満たした運用が可能だとしている。対象モデルは、最新世代のClaude Opus、Sonnet、Haikuとなっている。
開発の手間を削減する5つの新機能
元記事によると、多くの開発現場ではClaudeを活用した機能を構築する際、エラー時の再試行処理、Webクローラーやキャッシュを含む検索基盤、社内システムと接続するMCPクライアント、大量のツールから適切なものを選択するルーターといった周辺基盤の自作に多くの工数を費やしていたという。今回のアップデートでは、これらの足場となる機能がプラットフォーム側に統合された。
追加された5つの機能の詳細は以下の通りである。
- 構造化出力(Structured outputs)
JSON Schema(データ構造を定義する規格)から生成された文法に基づいてモデルの出力生成処理自体を制限し、形式崩れのない出力を保証する機能。応答テキストの形式を制御する「JSON outputs」と、呼び出すツールの引数を厳密に検証する「Strict tool use」の2つの設定が用意されている。末尾のカンマ抜けといったJSONパースエラーに伴うリトライ処理や、大量バッチ処理でのエラー滞留を防ぐことができる。 - Web検索(Web search)
モデルが最新のWeb情報を直接検索できる機能。開発者が独自に検索APIやキャッシュの仕組みを構築することなく利用できる。 - Web取得(Web fetch)
指定したWebページの内容を取得する機能。スクレイピングやコンテンツ抽出処理をプラットフォームに委ねることが可能となる。 - MCPコネクタ(MCP connector)
外部データやツールと接続するための標準規格「MCP(Model Context Protocol)」に対応し、JiraやServiceNow、Confluence、社内APIなどとの連携を容易にする機能。 - ツール検索(Tool search)
接続するツールが数百規模に達した場合でも、モデルが誤ったツールを選択するのを防ぎ、目的に応じたツールを動的に探索・ルーティングする機能。
業務適用例と開発環境
構造化出力の具体的な適用例として、保険業界における損害通知の受付業務が挙げられている。電子メールの本文、PDF書類、音声書き起こしといった多様な非構造化データから、Pydanticモデルで定義したスキーマに従って契約者情報や事故内容を正確に抽出し、後続のAzure SQLデータベースやLogic Appsの自動ワークフローへ確実に引き渡すパイプラインを構築できるという。
これらの機能は、PythonおよびTypeScript向けの「Anthropic Foundry SDK」を通じて利用可能となっている。
補足
なお、MicrosoftとAnthropicは、これらの新機能とツール連携の実践的な活用方法を紹介する合同ウェビナーの開催を告知している。