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Anthropic Blog

ノーコード開発のBase44、AIモデル「Claude Fable 5」の導入でコアシステムの刷新とモバイル開発の自律化に成功

要点

  • アプリ開発プラットフォームを運営するBase44が、Anthropic社の最新AIモデル「Claude Fable 5」を開発プロセスに導入した。
  • Fable 5は従来シニアエンジニアしか対応できなかった複雑なシステムプロンプトの再構築タスクを、4時間の自律稼働でほぼ完成させた。
  • 開発中のプロンプト変更がキャッシュヒットに与える影響を指摘し、Base44自身のエバリュエーション(評価)の欠陥を発見・修正した。
  • 専門外のプロダクトマネージャーがFable 5を使用し、約2時間半でモバイルアプリ構築に必要な動作環境の9割を構築した。
  • Base44は今後、アプリの構築だけでなく、自律的にワークフローを自動実行する「Superagents」を活用した管理・成長支援ツールへの発展を目指す。

リード文

ノーコードおよびローコード開発プラットフォームを運営する米Base44が、米Anthropic社の最新AIモデル「Claude Fable 5」をエンジニアリング業務に導入し、大幅な効率化を達成したことが明らかになった。2026年7月15日に発表されたAnthropicの公式ブログにおいて、Base44でプロダクト部門の責任者を務めるヨアヴ・オルレヴ(Yoav Orlev)氏が、同社の開発現場におけるFable 5の成果を報告している。Fable 5は、従来は同社のシニアエンジニアしか対応できなかったコアシステムの改修やインフラ構築において、人間のベテラン開発者に匹敵する高度な推論能力を発揮しているという。

シニアエンジニアの空き待ちとなっていた開発のボトルネック

Base44は、プログラムを直接記述するのではなく、自然言語での指示や雰囲気をもとにアプリやWebサイトを直感的に開発する「バイブ・コーディング(vibe-coding)」のプラットフォームを提供している。技術力の有無に関わらず、個人店舗からSaaS(サービスとしてのソフトウェア)製品を構築する企業まで幅広く利用されており、2025年初頭のサービス開始以来、生成エンジンとして歴代のClaudeモデルを採用してきた。

同社は小・中規模の機能追加は早いペースで進めてきたが、システムプロンプト(AIの振る舞いを制御する指示文)の変更など、複雑な依存関係を持つ核心部分の開発には制約を抱えていた。特にシステムプロンプトはユーザーの習熟度やプランに応じて数百パターンに分岐するため、改修は一部のシニアエンジニアしか担当できなかった。また、ネイティブモバイル向けのインフラ改修も、特定の専門知識を持つエンジニアの稼働が必要なため、ボトルネックとなっていた。

従来のAIモデルでは、これらの高度なタスクを任せることは困難であったという。エラーが発生した際、以前のモデルは視野を広げて解決策を探すことができず、行き詰まった箇所のその場しのぎの修正を繰り返する傾向があったとオルレヴ氏は指摘する。

4時間の自律稼働でプロンプト刷新、評価ツールの「盲点」も発見

Base44では、新しいClaudeモデルが登場するたびに、アプリ構築やMinecraft(ブロックを配置して遊ぶサンドボックスゲーム)のクローン作成といったテストを行い、処理遅延(レイテンシ)、稼働コスト、ビルドエラー数を測定して評価を行っている。

最新モデル「Claude Fable 5」の検証において、チームは特に2つの進化を実感した。それは、タスク完了までに要する対話数が大幅に減少したこと、そして最初の指示だけでエッジケース(通常は想定しにくい極端な利用シナリオ)まで考慮された完成度の高いアプリを出力できることである。

そこでチームは、シニアエンジニアの領域だったシステムプロンプトの全面改修をFable 5に割り当てた。オルレヴ氏がモデルと約1時間かけて要件定義の質疑応答を行った後、Fable 5は自律的に4時間稼働し、必要とされるコード全体の90%から95%を出力した。その後、チームは新旧システムの性能を比較する「A/Bテスト」を行い、当日の午後には本番環境へデプロイ(システムの配置・適用)することに成功した。

さらに、Fable 5はプロンプトの改修中に、Base44自身の評価システムの盲点(ブラインドスポット)をも指摘した。プロンプトの変更が、一時保存データの再利用率を示す「キャッシュヒット」を阻害し、ユーザー規模拡大に伴ってコストが急増するリスクを警告したのである。チームの評価プロセスにキャッシュヒットの検証項目が含まれていなかったため、Fable 5はこの欠陥を自ら発見し、評価システム自体を修正した。

エラー原因を自律的に探索、PM主導のモバイル対応も実現

Fable 5は、自社エージェントの検証用環境(テスト実行のための開発用環境であるハーネス)を変更する際のエラー処理でも優れた判断力を示した。エラーで行き詰まった際、モデルは「同様の問題がコードベース内の別の場所で既に解決されているはずだ」と推論し、自らリポジトリ内を探索して修正プログラムを適用した。オルレヴ氏は、こうした「他の場所のソースコードを参照して解決策を探す」思考プロセスは以前のAIモデルには見られなかったものであり、まさにシニアエンジニアの働き方に近いと評している。

この高度な自律性は、非エンジニア部門にも恩恵をもたらした。プロダクトマネージャー(製品開発の統括役)がBase44にネイティブモバイルアプリ構築機能を追加したいと考えた際、Fable 5に開発指示を出したところ、約2時間半で本番稼働に必要なコードの約90%を網羅した動く開発環境が構築された。以前であれば、同社のトップエンジニア3名や専門スタッフの手が空くまで待たねばならなかったタスクが、AIの支援によって迅速に実現可能となった。

アプリ構築から運用・成長支援へ、Superagentsが拓く新たな可能性

AIモデルの進化に伴い、Base44のビジョンも拡大している。チームはBase44を単にアプリを作るためだけのツールから、完成したシステムを管理し、成長させるためのプラットフォームへと転換することを目指している。その第一歩として、作成されたアプリに付随する業務フローを自動的に管理・実行する自律型システム「Base44 Superagents(スーパーエージェント)」を一般に公開した。

Fable 5に対する強い信頼により、Base44の開発体制は変化しつつある。これまでシステムの破損を恐れてコアコードの編集を避けていたデザイナーやプロダクトマネージャーも、自信を持ってシステムの中枢部分に触れ、新たな機能開発に参加できるようになった。オルレヴ氏は「Fableのおかげで、ビジネスにおいてより大胆な決断を下す自信がついた。これまでは恐れて手を出せなかった全く新しい領域へと、プロダクトを進化させることが可能になった」と述べている。

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