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NVIDIA Technical Blog

NVIDIA、AIエージェントで軽量なOpenUSDランタイムを迅速に生成する実験的プロジェクト「nanousd-labs」を公開

要点

  • NVIDIAは、AIエージェントを活用して「OpenUSD」の標準規格書から軽量なランタイムを直接自動生成するプロジェクト「nanousd-labs」を発表した。
  • 従来のように大規模な既存コードベースを移植・改変するのではなく、標準規格をAIが読み解く「契約」として扱い、適合するコードを生成・検証する手法を採用している。
  • メモリ使用量やパフォーマンス、接続仕様などの制約に応じてランタイムを動的に再生成できるため、用途に合わせた最適化が容易になる。
  • 生成されたランタイムは既存のOpenUSDスタックとシームレスに統合可能なC言語仕様のインターフェースを備え、描画処理から独立したデータレイヤーとして機能する。
  • エンジニアは全体の構造設計に集中し、仕様の解析やコード化、テストといった実務的な作業をAIエージェントが自動化することで開発効率を高める。

米NVIDIAは2026年7月15日、同社の実験的プロジェクト群「Omniverse Labs」の一環として、AIエージェントを活用して軽量なUSDランタイム(プログラムの実行に必要な環境)を迅速に生成する開発手法およびプロジェクト「nanousd-labs」を公開した。本プロジェクトは同社の社内ハッカソンから誕生したもので、3Dシーン記述の共通言語である「OpenUSD(オープンUSD)」の標準規格書をAIに直接読み込ませて実装を自動生成する。

OpenUSDは、CADデータやシミュレーション資産、リアルタイムの測定データなどを共通の形式で統合し、物理的に正確な世界を再現するためのオープンなフレームワークである。これまで独自のUSD環境を構築する際は、大規模な既存のコードベース(プログラムの集合体)を流用して書き換えるのが一般的であった。しかし、限られたメモリ容量や特定のABI(プログラム同士が連携するための接続仕様)、特殊な実行速度が求められる環境において、既存コードを最適化することは開発チームにとって大きな負担となっていた。

これに対し「nanousd-labs」が提示するアプローチは、標準化団体であるAlliance for OpenUSD(AOUSD)が策定した公式の「USD Core Specification(コア仕様書)」を機械可読な「契約」として扱い、AIエージェントに直接読み込ませてプログラムを生成させるというものである。仕様書にはデータの構成方法やレイヤー間でのデータの解決方法が記述されており、AIエージェントはこれに基づいてコードを記述する。

実際の開発フローでは、AIエージェントが仕様書をセクションごとに読み込んで実装コードを出力し、さらに仕様書から導き出されたテストスイート(検証プログラム群)を用いて動作確認を行う。テストをクリアするまでAIエージェントが生成と修正のサイクルを繰り返すため、規格への適合性が担保されたコードが弾力的に生成される。このプロセスにより、開発チームはシステム全体の構造設計(アーキテクチャの選択)といった高度な判断に専念でき、データの解析やコード化といった実務的な作業をAIに任せることができる。

こうして生成された「nanousd」は、レンダリング(画像の描画処理)とは切り離されたランタイムとして機能する。既存のOpenUSDスタックとシームレスに統合できる安定したC言語仕様のインターフェースを提供し、接続先を動的に切り替えながらも一貫したAPI(プログラムの呼び出し窓口)を維持できる特徴を持つ。開発者はこのnanousdを直接利用するだけでなく、このAIエージェント駆動の手法自体を取り入れて、物理世界を認識して動作する「フィジカルAI」向けのカスタムワークフローを構築・検証することも可能である。

なお、本プロジェクトは現時点で標準仕様のすべてをカバーしているわけではなく、実験的な位置づけにとどまる。NVIDIAは今後の仕様拡張や規格の発展に向け、AOUSDのワーキンググループなどの活動を通じたコミュニティからの貢献を呼びかけている。

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