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NVIDIA Technical Blog

NVIDIA、AIエージェントで異なるロボットへの自律移動学習を効率化する「COMPASS」を公開

要点

  • NVIDIAは2026年8月26日、異なる形状のロボットへ自律ナビゲーション機能を効率的に適応させるフレームワーク「COMPASS」の技術情報を公開した。

  • 事前学習済みモデル「X-Mobility」を活用し、新たなロボットや環境への差分のみを残差強化学習で補正することで、ゼロからの再学習を不要にした。

  • AIコーディングエージェントがアセット準備から学習、障害診断までを自律的に実行し、要所に人間の承認を挟むワークフローを導入した。

  • 四足歩行ロボット「Spot」を基準機体とし、Isaac Sim 6.0やROS 2と連携してシミュレーションから実機制御までを一貫してカバーする。

  • 米NVIDIAは現地時間2026年8月26日、AIエージェントを活用して多様なロボット形態に対応する自律移動制御の学習フレームワーク「COMPASS」の手法を公式技術ブログで公開した。事前学習済みモデルと残差強化学習を組み合わせ、新しいロボットや作業環境への適応に伴う開発コストを削減するアプローチを提示している。同社はBoston Dynamicsの四足歩行ロボット「Spot」を検証機体に用い、シミュレーションから実機配備までの一連のプロセスを解説している。

ロボットナビゲーションの移行に伴う開発負担

ロボットにおけるナビゲーションは、単に安定した移動動作を生み出すロコモーション(歩行や走行などの移動機能)とは異なり、自己位置の推定、周囲環境の把握、経路選択、障害物回避を連続して行い目的地に安全に到達する自律機能である。
しかし、このナビゲーション機能を異なる形状のロボット(エンボディメント)や新しい現場環境へ移植する場合、データ収集、シミュレーション用アセットの構築、制御インターフェースの調整、学習、診断、評価といった作業をゼロからやり直す必要があった。機体と環境の組み合わせごとに同様のプロセスを繰り返すことはコストが高く、再現性の確保も困難であったという。

残差強化学習と知識蒸留によるアプローチ

こうした課題に対し、NVIDIAが提示したのが「COMPASS(Cross-Embodiment Mobility Policy via Residual RL and Skill Synthesis)」と呼ばれる統合フレームワークである。COMPASSでは、事前学習済みの自律移動モデル「NVIDIA X-Mobility」をベースとして再利用する。
新しいロボットや環境に対しては、ナビゲーションを一から学習させるのではなく、ベースとなる動作に対する修正分のみを残差強化学習(ベース方針の出力を補正する強化学習手法)によって個別学習させ、「スペシャリスト」と呼ばれる特化ポリシーを構築する。さらに、複数のスペシャリストから得られたデータを、共通のクロスエンボディメント(異機種横断)ポリシーへと蒸留(複数の知識を1つのモデルに統合する手法)するパイプラインを採用している。

AIエージェント駆動の開発と人間の承認ゲート

COMPASSの開発工程には、AIコーディングエージェントを活用した自律的なワークフローが組み込まれている。今回のチュートリアルでは開発環境にCodexが用いられている。
開発者が対象となるロボット、環境のソース、移動目標を指定すると、AIエージェントがリポジトリ内に定義されたスキルを利用して動作する。具体的には、依存関係の検証、アセットの準備、スモークテスト(最小限の動作確認テスト)の実行、学習の起動、エラー発生時の診断、チェックポイントの比較などをエージェントが自律的に担う。
一方で、全自動に任せるのではなく、環境データの受領、1環境でのスモークテスト完了、チェックポイントの昇格といった重要な節目には人間による承認ゲートが設けられており、安全かつ確実な進行管理を行う仕組みとなっている。なお、学習完了後の実機走行時においては、AIコーディングエージェントを介さずにロボットコントローラーと学習済みモデルのみで自律制御が実行される。

実環境の再構築や実機配備に向けた連携

今回のリファレンス検証では、Boston Dynamicsの四足歩行ロボット「Spot」が採用された。検証用の環境としては標準の倉庫シーンのほか、プロシージャル生成シーン「SAGE-10K」、実空間の撮影データから環境を再構築する「NVIDIA Omniverse NuRec」がサポートされている。
また、ロボット本体から十分な位置情報が得られないケースに対応するため、CUDAで高速化された視覚的自己位置推定ライブラリ「NVIDIA cuVSLAM」を組み込んでオドメトリ(センサ情報から移動量と自己位置を推定する技術)を補完する構成も示された。学習済みポリシーはROS 2ベースのランタイムを経由して物理ロボットに接続され、シミュレーション環境から実機へのスムーズな展開を可能にしている。

動作要件と推奨システム構成

NVIDIAは、COMPASSを動作させるためのソフトウェアおよびハードウェア要件を公開している。シミュレーションおよび学習基盤には「NVIDIA Isaac Sim 6.0」および「NVIDIA Isaac Lab」が用いられる。
OSはUbuntu 22.04または24.04に対応し、32GB以上のシステムメモリ、16GB以上のVRAMを備えたRTX対応GPUが必要とされる。Isaac Sim 6.0の最小リファレンスGPUとしてはGeForce RTX 4080が挙げられており、Linuxドライバ「580.95.05」での動作がテストされている。そのほか、NVIDIA Container Toolkitを組み込んだDocker Engine 24以降、およびHugging Face上の「nvidia/COMPASS」リポジトリへのアクセス権限が必要と案内されている。

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