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NVIDIA Technical Blog

NVIDIA、AIファクトリーの電力効率を高める「DSX MaxLPS」を発表 同一電力枠でGPU収容能力を最大40%向上

要点

  • 米NVIDIAは、AI専用データセンターの電力効率と処理能力を最大化する技術群「NVIDIA DSX MaxLPS」を発表した。

  • 従来の固定的な電力割り当てによって生じていた未使用電力を、動的な電力制御ソフトウェアによってリアルタイムに再配分する。

  • 45度の温水を用いた液冷設計やソフトウェア最適化を組み合わせることで、冷却オーバーヘッドを削減し計算用途への電力供給を増やす。

  • 「GB200 NVL72」および「Vera Rubin NVL72」での検証において、同一の施設枠内でGPU容量を最大40%増やし、ワットあたり性能を1.3〜1.5倍に高められることが示された。

  • 米NVIDIAは2026年8月21日、AI専用データセンター(AIファクトリー)の限られた電力枠の中で処理能力を最大化する統合技術群「NVIDIA DSX MaxLPS」を同社公式技術ブログで発表した。電力供給や敷地に制約がある環境において、チップ、システム、熱設計、ソフトウェアを協調させ、ワットあたりのAI計算スループットを大幅に引き上げる手法を提示している。

従来の静的電力割り当てが抱える「遊休電力」の課題

元記事によると、AIモデルの学習や推論を大規模に行うAIファクトリーは、利用可能な電力量によって全体の規模が制約される産業システムとなっている。そのため、単にデータセンター内に何基のGPUを配置できるかではなく、供給される電力1メガワットあたりでどれだけのAI出力を生み出せるか、すなわちアプリケーションレベルでの「ワットあたり性能」が最も重要な効率指標になっているという。

しかし、電力会社から受電した電力がすべてAIの計算処理に使われるわけではない。配電設備や冷却機構、ネットワーク、ストレージ、施設全体の付帯設備などによって電力が消費される。

さらに深刻な要因として、従来の「静的ラックプロビジョニング(最大ピーク電力に合わせて各ラックに固定的に電力を割り当てる設計手法)」による電力の浪費が挙げられている。実際のワークロードでは電力消費が変動するため、最悪ケースのピーク需要を想定してあらかじめ確保された電力の多くが、実際には使われずにラック内に「孤立した余剰電力」として固定化されてしまう。

NVIDIAが提示した100メガワット規模のAIファクトリーの試算モデルでは、100メガワットのグリッド電力入力のうち、施設オーバーヘッドに20メガワット、ラック損失に10メガワットが消費される。さらに障害や再起動、チェックポイント処理に伴う運用の非効率によって10メガワットが失われ、最終的にAI負荷(計算処理)へ届く電力は60メガワット(全体の約60%)にとどまるという。同社は、これらに加えて静的なラック割り当てによって生じる余剰電力を回収することが重要であると指摘している。

DSX MaxLPSを構成する3つの最適化技術

こうした課題を解決するために発表された「NVIDIA DSX MaxLPS」は、土地、電力設備、建屋といったデータセンターの物理的制約(MaxLPS:Maximum Land Power Shell)の範囲内で計算効率を高める技術群である。以下の3つの最適化レイヤーで構成されている。

  1. 動的電力配分(Dynamic Power Allocation)
    「Dynamic Power Software(DPS)」と呼ばれるソフトウェアを用い、各ラックやGPUの稼働状況をテレメトリ(遠隔監視データ)を通じてリアルタイムに把握する。ポリシーに基づいた制御によって、あるラックで生じた未使用の余剰電力を、計算処理を必要としている別のラックやGPUへ即座に再配分する。これにより、手動での設定変更を行わずに施設レベルの電力変動へ適応し、ラック密度の向上を実現する。

  2. 高度なワットあたり性能技術(Advanced Performance per Watt Techniques)
    固定された電力バジェットの範囲内で、ジョブ単位の処理性能を向上させるソフトウェアベースの電力最適化技術群を提供する。

  3. 45度の熱効率とサイト設計(45° C Thermal Efficiency and Site Design)
    45度の温水を利用した液冷(Warm-water liquid cooling)を採用することで、冷却設備に必要な電力を削減する。データセンター全体の電力使用効率を示すPUE(Power Usage Effectiveness)を改善し、削減できた電力をそのままGPUの計算処理へと振り分ける。

GB200およびVera Rubin環境で実証された効果

NVIDIAは、同社の次世代サーバーシステム「NVIDIA GB200 NVL72」および「NVIDIA Vera Rubin NVL72」を用いてMaxLPSの効果を検証した。

その結果、ラックあたりの必要電力を抑えることで、同一の施設枠(敷地・受電容量)において最大40%多くのGPU容量を導入できることが確認されたという。さらに、最適化されたインフラ設計、ワークロードの分析、45度液冷の早期導入設計を組み合わせることで、ワットあたり性能を1.3倍から1.5倍に向上させることが可能であるとしている。

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