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NVIDIA Technical Blog

NVIDIA、AIスパコン「GB300」のトレイ組み立てを自律ロボットで実現——AI認識と古典制御を融合

要点

  • 米NVIDIAの研究チームが、AIスーパーチップ「GB300」向けテスタートレイの組み立てを自動化するロボットシステムを発表した。

  • 製造受託大手のFoxconnなどの知見をもとに、作業負荷の高い「バスバー組み立て」と「複数コネクタ挿入」の2工程を自動化の対象に定めた。

  • バスバー組み立てでは、姿勢推定モデル「FoundationPose」やインピーダンス制御を組み合わせ、160秒のサイクルタイムで95%以上の成功率を達成した。

  • 隙間の狭いコネクタ挿入では、新姿勢推定手法「DOPER」や3Dプリント製グリッパー、シミュレーション強化学習と実機での残差学習を組み合わせて対応した。

  • 各機能をコンテナ化する基盤「TALOS」を採用し、異機種ロボットによる協調作業の迅速な開発・展開を可能にした。

  • 米NVIDIAのSeattle Robotics Lab(SRL)と同社Isaacエンジニアリングチームは2026年10月7日、AIスーパーチップ「GB300」のテスタートレイ組み立てを自律的に行うロボットシステムを開発したと発表した。先端AIの学習・推論を支えるGB300の製造現場では、これまで熟練工による繊細な手作業が必要とされていたが、今回の研究によりロボットによる組み立てが可能であることが示された。SRLが手がけた過去9年間の研究の中でも最難関の課題の一つと位置づけられており、最新のAIモデルと伝統的な機械工学・制御手法を組み合わせることで高精度な作業を実現したという。

熟練工の手作業に依存していた2大工程を自動化対象に選定

今回の検証対象となったのは、出荷前にGB300コンピュートモジュールの機能や性能を検証する「テスタートレイ」の組み立てである。NVIDIAの運用チームおよび製造受託先であるFoxconn(フォックスコン)の推奨に基づき、特に自動化が困難な「バスバー組み立て」と「マルチコネクタ挿入」の2工程が選定された。

バスバー組み立ては、高電流を伝送する重い金属製導体(バスバー)を把持して運び、トレイへの挿入後に16箇所をネジ留めし、治具やクランプを着脱する作業だ。一方のマルチコネクタ挿入は、大小4個のケーブル付き電気コネクタを持ち上げ、クリアランス(部品間の隙間)が極めて狭い精密ソケットへと差し込む作業を指す。

熟練作業員が流れるようにこなす作業であっても、ロボットにとっては指先の器用さや知覚の面で極めて困難であり、高度な知能よりも身体制御のほうが機械には難しいという「モラベックのパラドックス」が立ちはだかっていたと説明されている。

3台のアームロボットが協調するハードウェア構成

実証用のワークステーションには、役割の異なる3台のロボットアームが配置された。

部品の把持や運搬を担当するアームとしてFlexiv(フレキシブ)社製の「Rizon 4S」が2台、ネジ留め作業用として先端にOnRobot社製電動スクリュードライバーを備えたUniversal Robots製「UR10e」が1台投入されている。作業空間の周囲にはトレイや部品を認識するためのカメラが配置され、ケーブル、コネクタ、バスバー、治具を取り囲む形で各アームが協調して動作する環境が構築された。

バスバー組み立て:AI認識と古典制御の連携

バスバーの組み立て工程では、近年のエンドツーエンド学習に頼り切るのではなく、実証済みの技術を組み合わせる古典的なモジュラーパイプラインが採用された。

部品の認識と姿勢推定には、NVIDIAが開発した基盤モデル「FoundationPose(ファウンデーション・ポーズ)」を使用している。アームの経路計画にはリサージュ曲線(直交する振動を合成して描かれる滑らかな軌跡)に基づく動作要素を活用し、接触時の微細なズレを柔軟に吸収するために高性能なインピーダンス制御器(外力に応じて柔軟に反発力を加減する制御手法)が組み合わされた。このハイブリッドな構成により、160秒のサイクルタイムで95%以上の成功率を達成したという。

コネクタ挿入:機構設計とSim-to-Real強化学習の融合

より高い精度が求められるコネクタ挿入工程では、機構設計の工夫と高度な機械学習が融合された。

柔軟に変形するケーブルの把持には画像認識モデル「SAM3」によるセグメンテーションが用いられた一方、端子コネクタの把持には合成データと実データで訓練した特化型の新姿勢推定フレームワーク「DOPER(Deep Object Pose Estimation Revisited)」が独自開発された。

把持の安定化に向けては、触覚センサーに頼る代わりに3Dプリント製の多目的グリッパーフィンガーを設計した。接触時に部品の動きを機械的に拘束する構造を採用し、部品のズレを防いで再現性の高い把持を実現したという。

さらにソケットへの挿入動作には、シミュレータ「NVIDIA Isaac Lab」を用いたSim-to-Real(シミュレーション環境での学習を実機へ適用する技術)強化学習で事前訓練を実施。実機への展開時には力覚・トルクセンサー入力を活用する「SPARR」手法を通じて実環境での残差ポリシー学習(実機でのズレを追加学習で補正する手法)を行い、狭小ソケットへの確実な挿入を可能にした。

再利用可能な基盤「TALOS」による開発の加速

システム全体のソフトウェア基盤として、ロボティクスサービス群と、タスクおよびエージェントのライフサイクル管理基盤「TALOS(Task and Agent Lifecycle Orchestration System)」が導入された。認識、計画、制御の各コンポーネントが再利用可能なコンテナとして独立して管理されており、異なるロボットプラットフォーム間での迅速な開発と展開を可能にしたという。

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