OWN NEWS GATHER
← 戻る
NVIDIA Technical Blog

NVIDIA、次世代基盤「Vera Rubin」と「Groq 3 LPX」の電力効率技術を公開――メガワットあたり最大35倍の推論スループットを達成

要点

  • 米NVIDIAは、次世代AIプラットフォーム「Vera Rubin」および低遅延アクセラレーター「Groq 3 LPX」に搭載された電力効率化技術の詳細を公表した。

  • 電力管理ソフトウェア「NVIDIA DSX MaxLPS」により、同一の受電容量内でGPU設置数を最大40%増やし、トークンスループットを35%向上させることができる。

  • ラック内のキャパシタと電力制御ソフトにより電力の急激なスパイクを吸収し、ピーク時ではなく持続的な平均需要に基づいたデータセンター設計を可能にする。

  • クロック単位でデータと演算をスケジュールする決定論的実行モデルにより、電圧降下を60%以上抑制して消費電力を削減する。

  • Vera Rubin NVL72とGroq 3 LPXを組み合わせることで、2兆パラメータ以上の大規模モデルにおいて前世代(GB200 NVL72)比でメガワットあたり最大35倍のスループットを実現する。

  • 米NVIDIAは2026年9月15日、公式技術ブログにおいて、次世代AIプラットフォーム「NVIDIA Vera Rubin」および同基盤向けアクセラレーター「NVIDIA Groq 3 LPX」の電力効率化技術に関する詳細を公表した。AIデータセンターの規模拡大において最大の制約となる消費電力を抑えつつ、高い応答性が求められる推論ワークロードを高速処理するためのハードウェアおよびソフトウェアの仕組みが明かされている。

ワットあたり性能を最重要指標に据える「Vera Rubin」

NVIDIAは、AIの大規模処理を担うデータセンター(AIファクトリー)において、供給可能な電力枠の中でどれだけ計算出力を最大化できるかが重要であると説明している。単なる絶対的な処理能力ではなく、「ワットあたりの性能」がAI基盤の価値を決める決定的な指標になるという。

この方針のもとで設計された「NVIDIA Vera Rubin」プラットフォームの中核を成すのが、ラックスケールシステムの「NVIDIA Vera Rubin NVL72」だ。スループットを重視した大規模なバッチ処理から、小バッチで高速な応答性が求められるインタラクティブな処理まで、多様なAI計算需要に対して高い電力効率を提供するとしている。

ファクトリー全体とラック単位での電力最適化

同プラットフォームでは、データセンター全体からラック内部に至るまで多層的な電力管理技術が導入されている。

データセンター全体(ファクトリーレベル)の制御には、ソフトウェア「NVIDIA DSX MaxLPS」が用いられる。ワークロードの変動に応じてラック間で電力を動的に融通することで、使われずに余剰となっていた電力を回収し、同じ敷地電力の範囲内で最大40%多くのGPUを稼働させることが可能になる。これにより、トークンの生成スループットを35%引き上げられるという。

一方、個別の「Vera Rubin NVL72」ラック内部には、ラックレベルのキャパシタ(急速な充放電が可能な蓄電装置)と、充電状態を制御する「Intelligent Power Smoothing」ソフトウェアが組み込まれている。これらがAIの学習や推論に伴って突発的に発生する電力スパイク(急峻な電力消費の急増)を吸収するため、施設側は最悪条件のピーク電力ではなく、持続的な平均需要に合わせて受電設備を設計できるようになる。結果として、同じ電力容量に対してより多くの計算リソースを配置可能になるとしている。

256基のチップを同期制御する「Groq 3 LPX」の決定論的実行

特に高い応答速度が求められる推論ティア向けには、低遅延アクセラレーター「NVIDIA Groq 3 LPX」がプラットフォームに追加される。

Groq 3 LPXの特徴は、処理の進行を事前に完全に予測できる「決定論的実行(Deterministic Execution)モデル」にある。専用コンパイラが、ラック内の全256基のLPU(言語処理ユニット)チップにわたり、どのデータがどの演算ユニットへいつ移動し、どのタイミングで演算が実行されるかをクロックサイクル単位で正確にスケジュールする。

電圧降下を60%低減し消費電力を削減

この決定論的実行によって電流需要の変動カーブを高い精度で予測できるようになったことで、「Preemptive Power(PEP)」および「Clock Period Synthesis(CPS)」と呼ばれる制御技術が適用されている。

これらの技術によって急激な負荷変動に伴う電圧降下(ボルテージドループ)を60%以上抑制し、回路の誤動作を防ぐために余分に供給していた電圧マージン(ガードバンド)を引き下げることが可能になった。その結果、同一のワークロードを実行した場合でも、消費電力を10%台前半(ローダブルディジットのパーセンテージ)削減できるという。

前世代比で最大35倍のメガワットあたりスループット

NVIDIAが示した指標によると、Groq 3 LPXをVera Rubin NVL72と組み合わせた構成では、2兆(2T)パラメータを超える超大規模モデルを扱い、長いコンテキストと高い対話性が求められる条件下において、前世代のシステムである「GB200 NVL72」と比較してメガワットあたり最大35倍の処理スループットを達成するとしている。

元URL