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NVIDIA Technical Blog

NVIDIA、既存アプリにRTXセンサーシミュレーションを追加する軽量SDK「ovrtx」を公開

要点

  • 米NVIDIAは、既存の3DやデジタルツインのアプリケーションにRTXセンサーシミュレーションを統合できるライブラリ「ovrtx」のプレリリース版をGitHub上に公開した。

  • 「ovrtx」はC言語およびPythonに対応する軽量SDKであり、メインアプリケーションのループからシミュレーションを実行制御できる。

  • OpenUSDシーンから、カメラやLiDAR、レーダーのセンサー出力、および物体識別用のデータをリアルタイムに生成できる。

  • 物理シミュレーションの「ovphysx」やシーン共有環境の「ovstage」など、他のOmniverseライブラリと緊密に連携できる。

  • PTC Onshape Render StudioやBlenderなど、既存のCADやアセット制作パイプラインへ柔軟に統合できる。

  • 米NVIDIAは2026年7月20日(現地時間)、3D設計やロボティクス、デジタルツイン(現実空間をデジタル上に再現する技術)などの分野で利用される既存のアプリに向け、リアルタイムで物理的な挙動を再現するセンサーシミュレーション機能を組み込める新しい軽量SDK「ovrtx」のプレリリース版をGitHubで公開した。本ツールは、同社のAI開発支援パッケージ「NVIDIA Agent Toolkit」に新たに加わった「Omniverseライブラリ」の一部として提供される。

既存ツールに「物理AI」機能を追加するライブラリ手法

3Dモデリングやロボット開発、物理AI(物理法則を理解して現実世界とやり取りするAI)の現場では、シミュレーション結果やセンサー出力を、使い慣れたツール上で検証したいという要望が強い。

多くの現場では、3Dデータ標準の「OpenUSD」や「Blender」、CAD(コンピュータ支援設計)パイプラインなどを組み込んだ独自のワークフローが稼働している。これまでは、既存アプリとは別に大規模なシミュレーション環境を構築する必要があった。しかしNVIDIAは、必要な機能だけを独立したモジュールとして既存システムに追加する「ライブラリ優先」のアプローチを提案しており、今回の「ovrtx」はこのアプローチを体現するセンサーシミュレーション機能である。

「ovrtx」が提供する機能と制御方法

「ovrtx」はC言語およびPythonに対応した軽量なSDK(ソフトウェア開発キット)である。導入することで、既存アプリケーションから以下のような処理を実行できる。

  • OpenUSDシーンのロード: 既存の3Dシーンデータをそのまま読み込む。
  • レンダリングとセンサーの設定: カメラの視野角に加え、LiDAR(レーザー光による距離測定センサー)やレーダーなどの詳細設定を行う。
  • アプリループからの実行制御: アプリのメインループ内から「ovrtx」のステップ実行を直接呼び出して同期させる。
  • 出力テンソルの読み出し: 生成されたセンサーデータや映像を、CPUまたはGPU上のテンソル(多次元配列データ)としてホストアプリ側に直接引き渡し、次の画像処理や認識処理に利用する。

また、映像だけでなく、画像内の全画素にカテゴリ情報を割り当てる「セマンティックセグメンテーション」や、可視性を事前に確認するためのデータもリアルタイムに生成できる。

他のライブラリとの連携による高度なシミュレーション

「ovrtx」は、NVIDIAの他のOmniverseライブラリと組み合わせることで、さらに高度なシミュレーション環境を構築できる。

特に重要なのが、共通のシーンデータ基盤を提供する「ovstage」である。「ovstage」を介して「ovrtx」と物理シミュレーションライブラリ「ovphysx」がデータをやり取りすることで、物理エンジンによる物体の動きやシーンの変化が、センサーシミュレーションの結果へと即座に反映される。このほか、ストリーミング用の「ovstream」やデータ管理用の「ovstorage」も用意されており、多角的なデータパイプラインを構築可能である。

既存製品への統合例

実際の活用例として、クラウドネイティブなCAD環境である「PTC Onshape Render Studio」への統合や、シミュレーション対応(SimReady)アセットを用いた「Blender」ベースのサンプルワークフローが紹介されている。これらの既存の製品環境に「ovrtx」を組み込むことで、開発者は特別なプラットフォーム移行を行うことなく、使い慣れたツール上で合成データ(AI学習用にCGなどで生成されたデータ)の作成やロボットの動作検証を進めることができる。

補足

この「ovrtx」を含むOmniverseライブラリは、2026年のSIGGRAPH(コンピュータグラフィックスの国際学会)にて発表されたものであり、今回のプレリリース公開によって、開発者は実際のアプリケーションへの適用や統合方法のテストをいち早く進めることが可能となった。

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