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NVIDIA Technical Blog

NVIDIA、量子コンピュータの自動調整を可能にするAIモデル「Ising Calibration 1.5」を公開

要点

  • NVIDIAは、量子プロセッサの診断と調整を自動化する310億パラメータのオープンソースAIモデル「Ising Calibration 1.5」を発表した。

  • モデルサイズをBF16精度で11.4%削減し、ローカルの研究環境における「エージェント型」の調整ワークフロー導入を容易にした。

  • 新たに低精度量子化フォーマット「NVFP4」に対応し、家庭用のゲーミングGPUやデスクトップ型AIシステム「NVIDIA DGX Spark」単体での動作を可能にした。

  • 多様な量子物理方式のデータで訓練され、ベンチマークテストでは他のオープンモデルを上回り、主要なクローズドモデルに匹敵する性能を示した。

  • モデルやデータセットは「OpenMDW License」で提供され、「NVIDIA NeMo Agent Toolkit」を通じたシステム統合に対応する。

  • 米NVIDIAは2026年7月27日(現地時間)、量子プロセッサ(QPU)の診断出力を解釈し、適切な動作調整(キャリブレーション)を自動化するためのオープンソースのビジョン言語モデル「NVIDIA Ising Calibration 1.5」を公開した。本モデルは、従来のように事前のトレーニング例を与えることなく未知の診断結果を分析でき、量子コンピュータの運用効率を劇的に向上させる可能性を秘めているという。

量子コンピュータ調整の課題とAIによるアプローチ

量子プロセッサ(QPU:量子計算を実行する心臓部となるチップ)は非常に繊細であり、正確な動作を維持するためには診断結果に基づいて頻繁にチューニングを行う「キャリブレーション」という作業が不可欠である。しかし、この作業には専門的な知識と多くの時間が要求されるため、自動化が長年の課題となっていた。

NVIDIAが開発した「Ising Calibration」は、QPUから出力される画像やグラフなどの診断結果(キャリブレーションプロット)を視覚的に理解し、適切な調整方法を決定するために設計されたビジョン言語モデル(VLM:画像とテキストを統合的に処理できるAI)である。

今回発表されたバージョン1.5は、310億パラメータ(31B)の規模を持ちながら、BF16(AI分野で標準的な16ビット半精度浮動小数点数)形式におけるモデルサイズを前世代モデルから11.4%削減することに成功した。これにより、データセンターに依存することなく、現地の物理ラボなどのローカル環境へ、自動で調整を行う「エージェント型」のワークフローを構築しやすくなったとしている。

ゲーミングGPUでも動く「NVFP4」への対応

本モデルは、データセンター向けの高性能GPUである「NVIDIA Grace Blackwell」や「NVIDIA Vera Rubin」へのデプロイに適した設計となっている。しかし、今回のリリースでは新たに、NVIDIAが推進する低精度量子化(モデルのデータ容量を軽量化して動作を高速化する技術)フォーマット「NVFP4」を採用したバージョンも提供される。

NVFP4量子化版を使用することで、研究者は一般のコンシューマー向けゲーミンググラフィックスカードや、デスクサイド向けAIシステム「NVIDIA DGX Spark」といった単一のGPU環境でも、モデルの精度を大きく損なうことなくIsing Calibration 1.5を動かすことができる。

さらに、DGX Spark向けには秒間トークン出力数(AIの処理速度)が最適化されており、ローカル環境においても限られたコストで十分な処理スループットを実現できると説明されている。

ベンチマークによる性能評価と商用モデルとの比較

Ising Calibration 1.5の学習には、パートナー企業から提供された、超伝導量子ビットや量子ドット、イオン、中性原子、ヘリウム上の電子など、多様な物理方式(モダリティ)の制御・調整データが使用されている。

その性能を測定するため、NVIDIAは「QCalEval」(量子キャリブレーションプロット理解の評価を目的としたベンチマーク)を用いて評価を行った。このベンチマークは、実験プロットの解釈、結果の分類、有意性の評価、フィッティングの品質評価、そして次に実行すべき調整ステップの推奨といった、実用的なタスクにおけるAIの能力を測定する。

評価の結果、Ising Calibration 1.5は事前情報なしで推論を行う「ゼロショット」において、同等サイズの競合するオープンモデルよりも平均で10%優れたスコアを記録した。また、過去の関連する実験例をプロンプトに含めて推論させる「インコンテキスト学習(ICL:追加学習なしに提示された例からタスクを学ぶ手法)」においては、前世代のモデルと比較して約86.6%(図表の記載では86.5%)の性能向上を達成したという。

この結果から、同モデルはすべての主要なオープンソースモデルを凌駕するだけでなく、Gemini 3.5やClaude Fable 5、GPT 5.6 Solといった業界をリードする商用のクローズドモデル(非公開モデル)や、1兆パラメータを超える超巨大モデルに対しても競争力のある性能を示していると強調している。

ライセンスとエコシステムとの連携

NVIDIAは、今回のモデルリリースにあたって、フルパラメータのチェックポイント(モデルデータ)、NVFP4量子化バージョン、トレーニングに使用したオープンデータセット、およびデプロイ手順書(ブループリント)のすべてを「OpenMDW License」のもとで無償公開している。

また、開発者が独自のキャリブレーション自動化システムを構築しやすいよう、同社のエージェント開発支援ツール「NVIDIA NeMo Agent Toolkit」への統合も最初からサポートされており、既存の実験フレームワークへの組み込みが容易になっているという。

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