NVIDIA、追加学習不要のリレーショナル基盤モデル「Kumo Relational」を発表——従来の機械学習を上回る精度を実証
要点
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NVIDIAが、企業のデータベース上で直接将来予測を行える事前学習済み基盤モデル「NVIDIA Kumo Relational」を発表した。
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タスクごとの追加学習や特徴量エンジニアリング、テーブルの平坦化を行わず、単一の順伝播処理で予測を出力できる。
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15種類のデータベースにおける41のタスクで、専門家がチューニングした勾配ブースティング木などの教師あり機械学習を上回る精度を示した。
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5000億行以上のデータベースに対応し、オープンソースライブラリや推論サービス「NVIDIA NIM」を通じてAIエージェントからも利用できる。
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米NVIDIAの研究チームは2026年10月21日、企業のデータベース上で直接高精度な予測を実行できるリレーショナル基盤モデル「NVIDIA Kumo Relational」を公式ブログで発表した。個別のタスクに応じた追加学習や特徴量設計を行うことなく、従来の教師あり機械学習を凌駕する性能を発揮するという。
事前学習のみで直接予測、特徴量設計やテーブル平坦化が不要に
NVIDIA Kumo Relationalは、企業のリレーショナルデータベースに対して直接将来予測を行える事前学習済みの基盤モデルだ。顧客の解約予測や需要予測、不正検知などの予測課題に対し、予測クエリを受け取ると過去データを最大1万件コンテキストとして収集し、単一の順伝播(入力データをモデルに通して出力を得る計算)のみで結果を出力する。
従来のリレーショナルデータ分析で不可避だった、タスクごとのモデル学習や、手作業で有効な変数を抽出する特徴量エンジニアリング、複数テーブルを結合する平坦化の処理を一切必要としない。NVIDIAによると、一般的なリレーショナルデータ向けベンチマークにおいて、フューショット(少数の文脈例からの推論)基盤モデルが従来の教師あり機械学習を上回ったのは本モデルが初だという。
専門家が設計した勾配ブースティング木を上回るベンチマーク結果
モデルの予測性能について、同社は複数のベンチマーク検証結果を報告している。15種類のデータベースにまたがる計41のタスクにおいて、Kumo Relationalは教師ありリレーショナル深層学習モデルや、専門家が特徴量をチューニングした勾配ブースティング木(複数の決定木を組み合わせる機械学習手法)のパイプラインを上回る精度を達成した。
具体的には、ベンチマーク「RelBench V1」の分類タスクで、人手で特徴量設計した勾配ブースティング木を平均で約4 AUROC(判別精度の指標)ポイント上回った。またエンタープライズ向けベンチマーク「SAP SALT」では、特徴量エンジニアリングを施したXGBoostに対し、追加学習なしの状態で7 MRR(平均逆順位:正解順位の高さを評価する指標)ポイント、ファインチューニング後には13 MRRポイント上回った。さらに同テストにおいて、自動機械学習ツール「AutoGluon」のアンサンブルモデルをMRRで8%上回っている。
言語モデルと同様の変革を構造化データへもたらす
NVIDIAは、本モデルがもたらす変化を自然言語処理(NLP)の変遷になぞらえて説明している。かつてNLPではタスクごとに個別モデルや前処理パイプラインが必要だったが、大規模言語モデル(LLM)の台頭によって単一の基盤モデルへと置き換わった。
同様に、現在リレーショナルデータベースで行われている数週間の特徴量設計や個別チューニングも、単一の事前学習済みモデルで代替可能になるという。予測タスクが長期の開発プロジェクトから「単一のクエリ」に変わり、工数の制約でこれまで着手できなかった多様な業務課題にも機械学習を展開できるようになると説明している。
5000億行の大規模処理に対応、AIエージェントからの活用も
Kumo Relationalは、5000億行(500B+ rows)を超える大規模データベースへのスケーリングに対応する。
人間だけでなくAIエージェントからの呼び出しも想定して設計されており、専用の予測クエリ言語(Predictive Query Language)を介して直接利用できる。言語モデルがエージェントに読み書きや論理的思考の能力を提供するのに対し、構造化データ基盤モデルは顧客解約などの将来予測能力を与え、状況に応じた自律的な先回り行動を可能にするという。
提供形態としては、オープンソースでGPUネイティブなライブラリ「structured-data-models」のほか、最適化された推論マイクロサービス「NVIDIA NIM」を通じて提供される。あわせて研究論文および公式ドキュメントも公開されている。