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NVIDIA Technical Blog

NVIDIA、自動運転開発向けの340億パラメータAIモデル「Alpamayo 2 Super」をオープンソースで公開

要点

  • 米NVIDIAは、自動運転車の開発プロセスを加速させる340億パラメータのオープンソースAIモデル「Alpamayo 2 Super」を発表した。
  • 本モデルは320億パラメータの状況推論AIと20億パラメータの行動制御AIを組み合わせ、強化学習によって開発された。
  • 7台のカメラによる360度認識に対応し、走行進路の予測だけでなく、その判断に至った思考プロセスを同時に書き出すことができる。
  • 各種ベンチマークテストにおいて、軌道予測や意思決定の推論、視覚応答などの項目で従来モデルを上回る最高水準の成績を記録した。
  • モデルの重みはHugging Faceで、推論用プログラムはGitHubで公開されており、商用利用を含めた自由なライセンスで提供される。

リード文

米NVIDIAは2026年8月4日(現地時間)、自動運転車(AV)の開発プロセスを大幅に効率化するオープンソースのAIモデル「Alpamayo 2 Super」を発表した。このモデルは、340億パラメータ(AIの学習規模や表現力を示す数値)の規模を持つ「ビジョン-言語-アクション(VLA)」モデルである。カメラ映像から言語の理解、さらには実際の運転行動の決定までを単一のシステムで統合的に処理できるのが特徴だ。すでにモデルの重み(調整済みのデータ)が一般に公開されており、商用利用を含む様々な自動運転開発へすぐに活用できる。

2つの異なるAIを統合したハイブリッド構成

「Alpamayo 2 Super」の最大の特徴は、役割の異なる2つのAIモデルを巧みに融合させている点にある。
具体的には、入力された視覚情報と言語から状況を論理的に分析する320億パラメータの推論モデル「NVIDIA Cosmos 3 Super Reasoner」と、その分析結果をもとに実際の車の進路を決定する20億パラメータの拡散ベース行動決定モデル「Action Expert」が組み合わされている。さらに、これらはAIが試行錯誤を通じて最適な判断を学んでいく「強化学習」と呼ばれる手法を用いて事後学習が施されており、状況判断から実際の走行進路(軌道)の出力までをスムーズに実行できる。

これまでの自動運転システム開発では、進路予測や高レベルの意思決定、周辺環境の把握、データのアノテーション(ラベル付け)といったタスクごとに、それぞれ個別のAIモデルを用意して運用することが一般的であった。しかし、今回の統合モデルの登場により、開発者は単一の基盤モデルを、システムのテスト評価役や、他モデルの教育役、あるいは教師データの自動生成エンジンなど、開発のあらゆる工程で横断的に使い回すことが可能になるという。

360度の認識と「思考プロセス」の可視化

「Alpamayo 2 Super」は、最大7台のカメラから入力される映像を処理することで、車両の周囲360度を隙なく認識する。この視野の広さに加え、モデルは単に進むべき進路を示すだけでなく、なぜその運転決定を下したのかという論理的な理由、すなわち「思考プロセス(Chain-of-Causation:因果の連鎖)」をテキストとして出力できる仕組みを備えている。

例えば、工事区間での複雑な回避行動や、物陰から歩行者が飛び出してきた場面など、単に既存の走行パターンを模倣するだけでは対処が難しい難所において、AIがどの情報を重視し、どう判断したのかが明確にわかる。これにより、開発者はモデルの不具合を診断したり、危険な状況における車の振る舞いを修正したりする作業が容易になる。

モデルが提供する機能は多岐にわたり、将来の走行軌道の生成をはじめ、進路変更や一時停止といった高レベルのメタアクションの予測、カメラ映像に関する質問に対して画面上の物体と紐付けながらテキストで回答する「2Dグラウンディング付き視覚応答(VQA)」、そして開発用データの作成を助ける構造化された思考ラベルの自動生成などがサポートされている。

各種ベンチマークで業界最高水準のスコアを記録

実際の性能評価においても、「Alpamayo 2 Super」は極めて優れた結果を叩き出している。
将来の軌道を予測する精度を測る指標「minADE_6」では0.911メートルという高い精度を達成したほか、自動運転における推論能力の測定で0.433、視覚質問応答のベンチマークである「LingoQA」で79.2といったスコアを記録した。
また、進路変更や停止などのメタアクション予測の評価(予測と実データの重なり具合を示す指標であるIoU)においても、横方向で74.59、縦方向で61.91、車線単位で73.55と、いずれも高い数値を維持している。さらに、仮想的な運転シミュレーション環境でのテストである「AlpaSim Score」でも1.50 ± 0.13という結果を残しており、従来のモデルを凌駕する世界最高水準(State-of-the-Art)の性能を実現したとしている。

商用利用も可能な「OpenMDW-1.1」ライセンスで公開

NVIDIAは、この高性能なAIモデルを開発者コミュニティへ広く開放する方針を取っている。
モデルの重みデータは「Hugging Face」上で、動作を確認するための推論ノートブック(開発用のサンプルプログラム)は「GitHub」でそれぞれ公開された。

適用されるライセンスは、Linux Foundationが策定した「OpenMDW-1.1」と呼ばれるオープンモデル配信用のライセンスである。これにより、開発者はこのモデルをもとにした独自の追加学習(ファインチューニング)や、派生モデルの開発、さらには商用サービスへの組み込みや再配布を自由に行うことができる。また、このモデルを軽量化した「蒸留モデル」をビジネスで展開する際にもNVIDIAへの追加の許可申請は不要とされており、生成されたAIの出力データ自体にも利用制限は設けられていない。自動運転開発のハードルを下げ、業界全体の進歩を後押しする存在になりそうだ。

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