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NVIDIA Technical Blog

NVIDIAの自律型AIエージェント「AVO」、ARC-AGI-3で100%達成 システム設計で基盤モデルの性能を引き出す

要点

  • NVIDIAの研究チームが、長時間におよぶ多段階タスクを自律遂行する汎用AIエージェントシステム「AVO(Agentic Variation Operators)」を発表した。

  • 難関推論ベンチマーク「ARC-AGI-3」において、単体では成功率30%にとどまる「Claude Opus 5」をAVOに統合することで、全183レベルをクリアし100%のスコアを記録した。

  • 先行手法の「VISTA」と比較して、環境へのアクション数を12%削減しながら課題を完了する高い探索効率を示した。

  • GPUカーネルの自動最適化タスクでも500以上の方向性を自律探索し、DGX B200環境で「FlashAttention-4」を最大10.5%上回る性能を達成した。

  • モデル自体の性能向上だけでなく、永続メモリや監視機構といった「システム設計」が長期タスクの成否を分けることを実証した。

  • 米NVIDIAの研究チームは2026年8月21日、長期間にわたる複数ステップのタスクを自律的に遂行する汎用AIエージェントシステム「AVO(Agentic Variation Operators)」を発表した。抽象的な推論能力を評価する難関ベンチマーク「ARC-AGI-3」において、基盤モデル「Claude Opus 5」単体での成功率30%をシステム全体の力で100%へと引き上げ、全環境の全レベルを完全制覇したという。単一モデルの性能向上に頼るのではなく、メモリ管理や監視機構などを備えたシステム設計の工夫によって、長時間の自律タスクにおけるフロンティアレベルの性能を引き出せることが示された。

AVOの概要とアーキテクチャの特徴

AVOは、NVIDIAの研究者であるTerry Chen氏、Yeyin (Eva) Zhu氏、Zhifan Ye氏、Jean-Francois Puget氏、Humphrey Shi氏らが開発した汎用コーディングエージェントシステムだ。コードの調査や編集、コマンド実行、ドキュメント参照、実際のプログラム実行による動作検証といったコーディングエージェントの機能を備えつつ、最大の特徴として「長時間の自律運用」に焦点を当てている。

NVIDIAは、最先端の言語モデルはAIエージェントを構成する一要素にすぎないと指摘している。エージェントがコンテキストを受け取り、ツールを使い、状態を保持し、フィードバックに反応して失敗から立ち直りながら進捗を維持できるかどうかは、モデルを取り囲む「ハーネス(モデルに実行環境や周辺機能を接続する制御基盤)」の設計によって決まるという。AVOはこの課題を解決するために構築された。

AVOのアーキテクチャは、メインエージェントとスーパーバイザー(監視役)の協調によって動作する。メインエージェントは永続メモリ(セッションをまたいで保持される記憶)とツールを活用し、コンテキストの調査、計画立案、変更の実装、結果の評価というループを反復する。一方でスーパーバイザーは、探索全体の軌跡を広い視野で監視しており、作業の進捗が停滞した際に介入して軌道修正を行う仕組みとなっている。

ARC-AGI-3で100%達成:システム設計の有効性を証明

このアーキテクチャの有効性を証明する場となったのが、高度な推論と適応力が求められるベンチマーク「ARC-AGI-3」だ。

ARC-AGI-3の公開データセットにおける検証において、AVOはRHAEスコア「100.00」を達成した。用意された25の環境にまたがる全183レベルのすべてを完遂した形だ。ここで基盤モデルとして用いられたのは「Claude Opus 5」だが、モデル単体でのベースラインスコアは30%にとどまっていた。それがAVOというエージェントシステムの一部として統合されることで、100%のスコアを達成するに至ったという。

さらに探索の効率性においても優れた結果を示している。既存手法である「VISTA」と比較して、環境に対して実行したアクション数を12%削減しながら全レベルをクリアした。NVIDIAは、エージェントシステムにおける高い性能や汎用性は、モデル単体の性能向上だけに依存するのではなく、システムレベルのアーキテクチャ設計によってもたらされることを示す好例だとしている。

GPUカーネル最適化での自律的なエンジニアリング

AVOのアーキテクチャは、ARC-AGI-3に先駆けて、難易度の高いソフトウェア工学タスクである「GPUカーネル最適化」において初期の実証が行われていた。

GPUカーネル(GPU上で並列実行される処理プログラム)の最適化は探索空間が極めて広く、コードのわずかな変更が処理の正確性やメモリ挙動、スケジューリング、スループットに複雑な影響を与えるため、人間にとっても性能予測が難しい領域だ。従来の進化的探索システムでは、あらかじめ定義された変異ルールに基づいて次の候補コードを生成していたが、AVOではその変異プロセスを自律型エージェントに置き換えている。これによりエージェント自身が「何を調査し、何を変更し、何をテストし、どのバージョンをコミットするか」を自ら判断して次の候補を生成する仕組みを実現した。

このGPUカーネル最適化タスクにおいて、AVOは人手を介することなく500以上の探索方向を自律的に調査し、40種類のカーネルバージョンをコミットした。その結果、NVIDIAのシステム「DGX B200」上において、既存の最適化実装である「FlashAttention-4」と比較して最大10.5%優れたパフォーマンスを達成したという。既存実装の調査、仮説の立案、コード変更、実機でのハードウェアテスト、結果の解釈、アプローチの再修正という一連のエンジニアリングループを、完全に自律した形で成立させた形だ。

同一エージェントを異なる領域へ適用する汎用性

今回の成果で示された重要な点の一つは、GPUカーネル最適化という低レイヤーのソフトウェア工学課題と、ARC-AGI-3という抽象的な推論ベンチマークの双方に対して、同一のコアエージェントが適用されている点だ。

タスクごとに変更されたのは環境固有のツールや評価インターフェースのみであり、根幹となるエージェントのアーキテクチャ自体は同一のものが維持されている。NVIDIAは、適切なシステムアーキテクチャを備えることで、特定の用途に特化することなく、多様な長期自律タスクに対応できる汎用性を実現できることを示している。

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