Octave、Amazon Bedrockで安全なマルチテナントAI基盤を構築 20億件の品質管理データを活用へ
要点
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クラウド品質管理システム大手のOctaveが、Amazon Bedrockを活用したマルチテナントAI共通基盤を構築した。
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個別機能ではなく全社共通基盤を先行開発したことで、今後のユースケース展開にかかる期間を50%削減した。
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20億件におよぶ規制文書の活用に向け、テナント別のデータ分離やmicroVMによる実行隔離、二重のガードレールを導入した。
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本番環境では最初の実証機能として「苦情トリアージ支援」が稼働を開始している。
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クラウド型品質管理システム「Reliance」を展開する米Octaveが、Amazon Web Services(AWS)の生成AIプラットフォーム「Amazon Bedrock」を採用し、厳格なデータ分離を維持しながらAIを活用できるマルチテナント基盤を構築した。2026年10月20日付のAWS機械学習公式ブログで明らかにされた。同社は個別機能の追加に先立って共通プラットフォームを整備し、新機能の展開にかかる時間を50%削減したという。
規制産業が直面する過去データの埋没と漏洩リスク
Octaveは世界180カ国で事業を展開し、フォーチュン・グローバル500企業の60%超を支援している。同社のRelianceは、医療機器や製薬、食品製造などの規制産業を中心に、1万4000社以上の顧客と650社以上のエンタープライズ企業に利用されている。
こうした業界では、過去の不具合調査や監査所見、CAPA(是正処置・予防処置:欠陥の原因を除去し再発を防ぐ是正手順)の履歴に解決の知見が眠る一方、20億件超の文書が散在し、人手での検索が困難で調査が毎回ゼロから行われていたという。
また、これらの記録はプラットフォーム上で最も厳格な分離が義務付けられた機密情報でもある。顧客間での偶発的な情報流出は重大な法規制違反を招くため、AI導入にあたってはテナント境界を完全に維持する隔離設計が絶対条件とされた。
機能開発に先立ち「共通プラットフォーム」を先行整備
AWSとのワークショップを通じ、同社は「苦情の要約とトリアージ(選別・優先度付け)」「監査対応監視」「インシデント経緯生成」「品質リスク予測」の4ユースケースを特定した。
運用する40以上のアプリケーションは扱う文書や業務手順が異なるため、個別開発ではインフラ再構築が繰り返される。そこで将来の全機能が共有する共通基盤を先行開発する方針をとり、結果として新機能の展開工数を半減させたと説明している。
アーキテクチャを決定づけた4つの課題
基盤の設計にあたり、同チームは妥協できない4つの課題を特定した。
第1に、ベクターストアや検索、生成コンテキストを顧客単位に限定し、偶発的なデータ越境を排除すること。
第2に、共有ロールではなく要求元ユーザーの権限に基づき、実行中のみ有効なスコープでエージェントを隔離実行すること。
第3に、外部文書に含まれるプロンプトインジェクション(不正指示による乗っ取り)など、OWASP Top 10 for LLM(大規模言語モデル向けセキュリティリスク)で示される脅威に対処すること。
第4に、最大規模の顧客でも1営業日以内に完了する、20億件規模の文書を高速にベクトル化する処理能力の確保である。
3層構造で実現したセキュアなAIアーキテクチャ
同社はAWS環境上でシステムを3層に分離して構築した。
データ準備層では、Amazon Bedrock上の埋め込みモデル「Cohere Embed v4」で文書をベクトル化し、「Amazon OpenSearch Service」の顧客別ストアに格納する。画像と説明文の紐付けや多言語横断検索性能を自社実データで評価して採用した。
安全な実行層では、「Amazon Bedrock AgentCore」の「AgentCore Gateway」で認証とポリシーを適用後、独立したmicroVM(軽量な仮想マシン環境)セッションで「Anthropic Claude」を実行する。
さらにコンテンツ保護層として「Amazon Bedrock Guardrails」を配置し、入力時と応答返却前の2段階でフィルタリングを実施。各層が独立しているため、法規制への準拠状況を個別に検証・証明できる構造となっている。
苦情トリアージ支援機能で本番稼働を実証
Octaveはこの共通基盤の有効性を検証する最初の機能として、「Complaint Triage Assistant(苦情トリアージ支援)」を本番環境へ投入した。苦情記録の要約や分類を安全に支援できることが実証され、今後は同一基盤上で残るユースケースへの展開を進める方針だ。