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Hugging Face Blog

オープンAIモデルの主導権に地殻変動、中国勢の巨大化と米ハードウェア企業の台頭が鮮明に

要点

  • Hugging Faceが2026年夏時点におけるオープンソースAIモデルの動向レポートを公開した。

  • 最先端モデルの規模において中国勢が米国勢を圧倒しており、最大で2兆7,800億パラメータに達している。

  • モデル提供企業の戦略は超大型特化型と全レンジ展開型に二極化し、コミュニティの量子化技術が大型化を支援している。

  • 米国ではMetaやGoogleに代わり、チップ販売を狙うNVIDIAやAMDといったハードウェア企業が最多のモデルを公開している。

  • AIモデル共有プラットフォームを運営するHugging Faceは2026年8月14日、2026年1月から8月にかけてのオープンソースAIエコシステムの動向をまとめた調査レポート「State of Open Models: Summer 2026 Observations」を公開した。同レポートによると、公開リポジトリ数やデータセット数は順調に増加している一方で、最先端モデルの規模競争において中国の開発組織が米国を大きく引き離している実態が浮き彫りとなった。また、米国内ではオープンモデルの主要な担い手が従来のAI開発企業からハードウェアやインフラを手がける企業へとシフトしているという。

プラットフォームの規模拡大と極端なダウンロード集中

レポートによると、Hugging Face Hub上の公開モデルリポジトリ数は、同期間中に243万件から296万件へと拡大した。データセット数も71万1,000件から100万件の大台に到達し、実行環境を提供する「Spaces」も100万件から144万件へと成長を遂げている。

一方で、利用実態における格差は極めて激しい状態が続いている。公開されているモデル全体の約85.6%は累計ダウンロード数が200回未満にとどまる一方、上位1.5%のリポジトリだけで全体の99.2%のダウンロード数を占めているという。オープンモデルエコシステムにおける活動の大半は、この極端に偏った分布の内部で起きていると報告されている。

最先端領域における中国勢の圧倒的なモデル規模

かつてオープンモデルの開発では、小規模なモデルから順にリリースして徐々に規模を拡大していく手法が一般的だった。しかし2026年に入り、複数の中国系ラボはこの段階的な拡大プロセスを完全に省略して開発を進めているという。

2026年のほぼすべての月において、中国系ラボが公開した最大かつ最高性能のオープンモデルは、米国のラボが独自にリリースした自社製モデルの規模を上回っていた。中国勢が公開したモデルの上限サイズは、月によって7,540億から2兆7,800億パラメータ(モデルの規模や表現力を示す指標)に達している。これに対し、米国勢による自社製モデルの上限は、7ヶ月のうち5ヶ月において1,300億パラメータ未満にとどまっていた。米国勢の例外としては、5月と6月に公開されたNVIDIAの「Nemotron 3 Ultra」(5,610億パラメータ)や、Thinking Machines Labの「Inkling」が挙げられている。

二極化するサイズ戦略とコミュニティによる量子化の支え

同レポートは、モデル公開元の戦略が明確に2つの陣営へ分かれている点を指摘している。

第1の陣営は、Moonshot、MiniMax、Xiaomi(シャオミ)、Z.aiのように、700億パラメータ未満の小型モデルをほとんど公開しない超大型特化型の組織である。これらの組織のモデルは、開発者が最初に目にする段階で、手持ちの一般機器では動作しないほどの規模となっている。かつてオープンウェイト分野で無名だったXiaomiやMeituan(美団)が、2026年に相次いで1兆パラメータ超のモデルを公開したように、現在ではモデルの巨大化そのものは差別化要因ではなくなっているという。また、外部コミュニティの量子化(モデルの数値精度を落として必要なメモリを削減する技術)レイヤーが、数日のうちに巨大モデルを実機で動作可能な形式へ変換するため、開発元が自ら小型版を提供する必要性が薄れたことも大型化を後押ししている。

第2の陣営は、Tencent(テンセント)やAlibaba(アリババ)のQwenのように、10億パラメータ未満から超大型まで全領域を網羅するフルスペクトル型の組織である。レポートでは、フロンティア特化型がベンチマーク順位やAPI需要の獲得を目指しているのに対し、フルスペクトル型は開発者が標準として採用するモデルファミリーの地位を狙っており、双方が異なる目標に向けて合理的な戦略をとっていると分析している。

ハードウェア企業が主導する米国のオープンモデル展開

米国勢もオープンソースAIの分野から撤退したわけではない。2026年に最も多くの新規オープンモデルを公開した組織の上位2社は、半導体メーカーのAMDとNVIDIAであり、両社ともそれぞれ200件を超える新規モデルリポジトリを公開して他社を大きく引き離している(第3位はLiquidAIの約100件)。ハードウェア企業各社は、自社製品向けに最適化したオープンモデルを無償提供することが、自社製チップの性能を証明し販売を促進する手段になると認識しているという。

また、Google、Microsoft、IBM(Granite)、OpenAIの過去の音声・視覚モデルや、埋め込みモデル(テキスト等を数値列に変換するモデル)など、比較的小型のモデルは年間数億回のダウンロードを生み出しており、米国勢のオープンAIへの関与全体は依然として拡大傾向にある。

しかし、エコシステムの中心的な役割は変容している。過去にオープンモデルの公開を牽引していたGoogleやMetaの新規公開数はNVIDIAを大きく下回っており、Metaが主力モデルを非公開化(クローズド化)する動きもこの変化を裏付けている。さらに最先端規模(1,000億パラメータ以上)の領域においては、2026年に米国からリリースされたモデルの多くが完全な新規開発ではなく、中国製モデルをベースとして構築されている実態が示されている。

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