オンプレミスや他社クラウド上のAIエージェントを監視可能に、AWSが構成手順を公開
要点
- AWSが外部環境で動くAIエージェントの稼働状況を監視・可視化するための設定方法を公開しました。
- オンプレミスやGoogle Cloud Platform、Microsoft Azureなどの他社クラウド上で実行されるAIエージェントの監視に対応します。
- データ収集には「AWS Distro for OpenTelemetry(ADOT)」を使い、測定コードを自動的に組み込みます。
- 収集したテレメトリ(稼働データ)は、IAM認証と環境変数を用いて安全にAmazon CloudWatchへ送信されます。
- Amazon Web Services(AWS)は2026年8月13日、AWS ML Blog(機械学習ブログ)にて、AWS外部の環境で稼働しているAIエージェントのパフォーマンスを「Amazon Bedrock AgentCore Observability」で監視・分析するためのセットアップ手法を公開しました。これにより、オンプレミス環境や他社クラウドを利用している開発者でも、AIエージェント専用の高度な監視ダッシュボードを活用できるようになると説明しています。
分散するAIエージェントと「AgentCore」の監視機能
現在、開発者はStrands AgentsやLangGraph、CrewAIといったフレームワークを使い、Amazon EKSやLambdaなどのAWSサービスのほか、オンプレミス、Google Cloud Platform(GCP)、Microsoft Azureといった多様な環境にAIエージェントをデプロイしています。
こうした環境でAIエージェントの「オブザーバビリティ(システム可視性:ログやデータからシステムの内部状態を把握する仕組み)」を確保することは、安定運用のために極めて重要です。
AWSの「Amazon Bedrock AgentCore」は、多様なフレームワークやモデルを用いてAIエージェントを大規模に構築・最適化するためのプラットフォームです。その機能である「Amazon Bedrock AgentCore Observability」は、トレース(処理経路の追跡)や分析機能をネイティブ提供しますが、標準ではAWS上のランタイム(プログラムの実行環境)で動くエージェントのみをサポートしています。そのため、AWS外部で稼働するエージェントについては、ダッシュボードへ「テレメトリ(ログや測定データなどの稼働情報)」を送信するための追加設定が必要でした。
ADOTを活用した外部環境からのデータ転送とセキュリティ
今回公開された手法は、オープンソースの監視規格「OpenTelemetry」のAWS配布版である「AWS Distro for OpenTelemetry(ADOT)」をエージェント内に組み込みます。
ADOTは自動インストルメンテーション(ソースコードを書き換えず測定コードを組み込む技術)により、生成AIの標準規格に準拠したデータである「スパン(個別処理の開始から終了までのデータ)」を自動取得します。このデータは、IAMの資格情報を用いたSigV4(AWS独自の認証プロセス)で保護され、Amazon CloudWatchの「OTLP(OpenTelemetry Protocol:標準の監視データ転送規格)エンドポイント」へ直接送信されます。
外部環境のAIエージェントからテレメトリを送信する仕組みは、以下の3つの要素で構成されているとのことです。
- ADOT自動インストルメンテーション: 外部環境からのデータ書き出し処理を担います。
- IAM認証情報: CloudWatchと認証し、トレース、メトリクス(稼働数値)、ログをダッシュボードへ安全に転送するためのアクセスキーです。
- 環境変数: データの転送経路や認証に関する設定値を定義します。
関連するAWSサービス群の連携
このクロスプラットフォーム監視は、複数のAWSサービスを統合して機能します。「Amazon CloudWatch」がテレメトリの受信と保存を担当し、その上に位置する「Amazon Bedrock AgentCore Observability」がAIエージェント専用の可視化ダッシュボードを提供します。そして「ADOT」がプラットフォーム間の差異を吸収してデータを収集し、「IAM」が外部環境とAWS間の安全な通信を担保する役割を果たします。
補足
「OpenTelemetry」は、システムの稼働データを収集・標準化するためのオープンソースプロジェクトであり、業界の標準規格となっています。AWSが提供するADOTは、この規格をベースに、AWSの各監視サービスと容易に連携できるよう構築されています。