OpenAI、10代のChatGPT利用における安全対策と学習支援機能を強化。「Study Mode」の保護者管理などを導入
要点
- OpenAIは、10代の若者が安全にChatGPTを学習や創作に活用するための、新たな安全対策と教育支援機能を発表した。
- 教師や専門家と共同開発した学習支援機能「Study Mode」が、保護者のペアレンタルコントロールからデフォルトで有効化できるようになる。
- 18歳未満のユーザーに対しては、年齢予測技術に基づき、暴力や自傷行為、危険な行為などのコンテンツを制限する自動セーフガードが適用される。
- 長時間の使用を防ぐための休憩リマインダーの強化や、重大な利用規約違反によるアカウント停止処分を保護者に通知する機能も導入された。
リード
米OpenAIは2026年7月16日(現地時間)、10代の若者が安全かつ効果的にAIを利用できるようにするための新たなアプローチと、ChatGPTに導入される保護・学習支援機能を発表した。同社は、これからの時代を生きる若者世代からAIへのアクセスを完全に遮断すべきではないとしつつも、年齢に応じた適切な保護策と、単に答えを教えるのではない学習支援ツールを組み合わせることが不可欠であると説明している。
本文
10代におけるAI利用の現状とOpenAIの基本方針
OpenAIによると、ChatGPTを利用している10代の若者のうち、ほぼ10人に9人(約90%)が、1週間のうちに学習や情報収集、スキル向上、生産性向上のために同サービスを利用しているという。同社は、10代の若者が成人するまでAIの利用を制限することは、過去の世代に対して18歳になるまでインターネットや検索エンジンの使用を禁止するようなものであり、現代を代表するテクノロジーに触れる準備を遅らせることになると指摘する。
実際に「OpenAI Academy(AIを通じた人材育成支援プログラム)」の参加者であるオリアナ・マッケンジー(Oriana McKenzie)氏は、ChatGPTを活用して効率的に勉強し、学年トップの成績を収めながら、部活動や課外活動との両立を果たした事例を紹介している。OpenAIはこうしたポジティブな効果を最大化するため、若者の成長段階に合わせた強力な保護機能や、自信を持って探索・学習できる自動化されたセーフガードの提供が必要であるとしている。
同社は10代の安全を守るため、以下の「4つのコミットメント」を掲げている。
- 他の目標と衝突する場合であっても、10代の安全を最優先すること。
- 困難な状況にある若者に対して、現実世界でのサポートや相談窓口の利用を促すこと。
- 10代のユーザーを、その年齢に適した方法(Treat teens as teens)で扱うこと。
- 明確な期待値を設定し、透明性を確保すること。
答えを与えるだけでなく「学び」を深める教育機能
OpenAIは、10代ユーザーがただ答えを得るだけでなく、主体的に取り組み、批判的思考や深い理解を得られるようなツールの開発に注力している。
その一環として提供されているのが「Study Mode(学習モード)」である。これは教師や学習科学者、教育学の専門家と共同で設計された機能で、ChatGPTがユーザーに対して直接的な回答を提示するのではなく、段階的な質問や構造化された説明、振り返りの機会を提供することで、自力で問題を解決できるように導く。
この「Study Mode」は、10代のユーザー自身で有効化できるほか、保護者のアカウントとリンクしている場合は、保護者向け管理機能「ペアレンタルコントロール(親が子どものスマートデバイスやサービスの利用制限・管理を行う機能)」から親が直接有効に設定することも可能となった。保護者が有効に設定すると、子供が新しいチャットを開始した際に、デフォルトでこのモードが適用されるようになる。
また、10代のユーザーがスムーズに勉強を始められるよう、特定のトピックを簡単なステップに分解する、授業メモを学習ガイドに変換する、暗記用のフラッシュカードや練習問題を作成する、情報の信憑性や明瞭さを確認するといった、教育向けの「スタータープロンプト(AIとの会話をスムーズに始めるためのあらかじめ用意された質問や指示の文案)」も新たに導入された。
さらに、数式や科学の概念をインタラクティブに学べる機能も強化され、積分や有糸分裂、月の満ち欠け、光合成など250以上の新しいトピックに拡大された。このインタラクティブ機能は毎週1800万人のユーザーに利用されている。このほか、61以上の言語に対応し、音声で発音を学べる機能も提供を開始している。
自動セーフガードと保護者向け管理の拡充
ChatGPTでは、「age prediction(ユーザーの行動やデータから年齢を推定する技術)」によってユーザーが18歳未満であると推定された場合、自動的に年齢に適した制限が適用された体験が提供される。
具体的には、生々しい暴力描写、自傷行為、ネット上で流行し事故につながる恐れがある「バイラルチャレンジ(ユーザーに特定の行動を模倣させる挑戦企画)」、不健康なボディイメージを植え付けるコンテンツ、危険あるいは性的なロールプレイなどへのアクセスが厳しく制限される。これにより、AIが現実の人間関係の代わりになることを防ぎ、創造性と学習のツールとしての役割を保つという。
また、健康的なデジタル習慣を養うため、ChatGPTの利用時間が長くなった10代ユーザーに対し、一時的に利用を止めて休憩するよう促す「休憩リマインダー」がより頻繁に表示されるようになった。
保護者向けの管理ツールもアップデートされている。これまでは利用を制限する「クワイエットアワー(静粛時間)」の設定や音声機能の停止、画像生成の管理に加え、自傷行為の兆候など高リスクな状況を検知した際の保護者への通知機能が用意されていた。
今回はこの通知機能が拡張され、子供のアカウントがオンラインでの暴力的な脅迫や暴力行為といった利用規約違反により停止(デアクティベート)された場合にも、保護者に通知されるようになった。これにより、子供のプライバシーを尊重しつつ、現実世界での親子の会話やサポートのきっかけを作ることができると説明している。
今回の新機能や安全対策の開発にあたっては、複数の専門家への相談や協力のもとで進められた。