OpenAI、EU企業における「エージェント型AI」の利用実態を公開 中小で利用8倍も世界水準との格差が浮き彫りに
要点
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米OpenAIの経済調査部門が、EU域内の企業におけるAIエージェントツールの利用動向を分析した調査レポートを発表した。
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EUの「ChatGPT Enterprise」利用企業では、生成された出力トークンの過半数を「Codex」や「ChatGPT Work」などのエージェント型ツールが占めている。
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2026年5月以降、EUの中小企業におけるエージェント型ツールの週次アクティブユーザー数が8倍以上に急増し、全加盟国で拡大が確認された。
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一方で加盟国間の導入率に大きな開きがあるほか、EUトップ10%の先進企業でも域外の先進企業と比べ利用強度が半分以下にとどまるなど、世界水準との格差も示された。
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米OpenAIの経済調査部門(OpenAI Economic Research)は2026年10月14日、欧州連合(EU)加盟国の企業におけるAIツールの利用動向をまとめた調査レポート「The EU’s next chapter in AI is agentic」を公開した。同レポートによると、EU域内の企業では従来の質問応答を中心とした活用から、AIが計画立案からタスク完了までを実行する「エージェント型」ツールへの移行が急速に進んでいるという。大企業から中小企業まで利用が拡大する一方で、加盟国ごとの普及格差や、世界水準の先進企業との間に依然として大きな利用強度の差が存在することも明らかになった。
質問応答からタスク実行へ 大企業と中小企業で進むエージェントシフト
発表されたレポートでは、EUのビジネス現場においてAIの使われ方が質的な転換期を迎えている実態が報告されている。利用者は単にAIへ質問を投げかけて回答を得る段階を超え、作業の計画から完了までを自律的に遂行させるエージェント型AI(指示に基づいて一連の作業手順を組み立てて完遂するシステム)の活用へと移行しつつあるという。
大企業向けプランである「ChatGPT Enterprise」の顧客データを分析した結果、業務活動の相当な割合をすでにエージェント型の利用が占めていることが判明した。今回の調査サンプルに含まれるEU企業では、コード生成・実行支援機能の「Codex」や業務支援ツール「ChatGPT Work」による生成量が、出力トークン(AIが生成したテキストやプログラムコードのデータ単位)全体の半分以上を占めるに至っている。
この潮流は大企業にとどまらず、中小企業(同レポートでは関連ユーザー数が200人以下の企業と定義)にも波及している。2026年5月以降、EUの中小企業におけるCodexおよびChatGPT Workの週次アクティブユーザー数(WAU)は8倍以上に急成長を遂げた。この伸びは一部の地域に偏ることなく、EUの全加盟国において例外なく確認されたと説明されている。
加盟国間で異なる導入率 スロベニア22%に対しリトアニアは85%
中小企業を含めてEU全体で利用が拡大している一方で、加盟国ごとのエージェント型AIの普及度合いには大きなばらつきが存在することも分かった。
調査対象となったChatGPT Enterpriseのアカウントにおいて、CodexおよびChatGPT Workを通じて生成された出力トークンの比率を国別に見ると、最低水準だったスロベニアの22%に対し、最高水準となったリトアニアでは85%に達していた。エージェント型ツールの活用比率には、国によって4倍近い開きがある計算となる。さらに、利用の強度だけでなく、各国でユーザーがChatGPTに持ち込む業務やタスクの種類そのものにも顕著な違いが見られると報告されている。
先進企業でも世界トップ層とは2倍の開き 「利用の深化」が欧州の課題に
さらにレポートでは、一般的な企業と活用が進んでいるトップ企業との違い、そしてEUと世界水準との比較に関するデータも示された。
アクティブユーザーあたりの出力トークン数で上位10%に位置する企業を「フロンティア企業(先進企業)」と定義(ChatGPT EnterpriseおよびBusinessアカウントが対象)して分析したところ、9月時点においてEU域内の先進企業は、EUの一般的な企業と比べて4倍以上の出力トークンを生成していた。域内の上位企業では集中的なAI活用が進んでいることがうかがえる。
しかし、そのEU先進企業であっても、世界規模での最前線と比較すると遅れをとっている実態が示された。EU域外に拠点を置く先進企業は、EUの先進企業と比べてアクティブユーザーあたり2倍以上の出力トークンを生成しているという。加えて、世界全体における先進企業のうち、EU域内に拠点を置く企業の割合はわずか10%にとどまった。世界銀行の統計などで示される世界全体の登録企業数においてEUが高いシェアを占めている実情に照らし合わせると、この10%という水準は低いとレポートは指摘している。
OpenAIは、企業間におけるAIの利用強度には依然として大きな隔たりが存在すると総括している。エージェント機能が高度化する中、EUが今後生産性を高めて実質的な成果を得るためには、単にツールを広く導入するだけでなく、より深い業務活用へと移行させることが課題になるという。そのための道筋として、企業が試験的な導入段階から脱却すること、働く人々がAIを使いこなすスキルと自信を身につけること、そして高度なAI機能をより手頃でアクセスしやすい形で提供することを挙げている。
経営陣コメント
今回の発表に際し、OpenAIの最高財務責任者(CFO)を務めるSarah Friar(サラ・フライアー)氏は次のように述べている。
「ヨーロッパは今、人間に代わってタスクを実行できるツールとともに、AIの新時代を迎えています。EUのエンタープライズおよびビジネス顧客におけるAI利用の半分以上がこれらのツールに関わるものとなり、中小企業のユーザー数も地域全体で8倍に成長しました。しかし、EU全域においてAI利用が拡大する余地はまだ十分にあります。人々にAIを効果的に使いこなすツールとスキル、そして自信を提供することは、より強固な企業と成長する経済の構築を後押しし、その恩恵はヨーロッパ全域に行き渡るはずです」
補足
OpenAIは近年、対話型のチャット機能にとどまらず、作業自動化やプログラミング支援といったエージェント機能の強化を進めており、業務の現場における実用的なAIツールの浸透を推進している。