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OpenAI Blog

OpenAI、自治体向けAI基盤「QommonsAI」の導入事例を公開——全国約1050自治体・55万人が活用

要点

  • 国内スタートアップのPolimillが開発する自治体向け生成AI基盤「QommonsAI」が、全国約1,050の自治体、約55万人の公務員に利用されていることが明らかになった。

  • 全国の議会会議録や行政文書を収集・標準化し、組織や年度をまたいで高精度に検索できる横断的なナレッジ基盤を構築している。

  • 開発工程にOpenAIのCodexと伴走支援を取り入れたことで、要件定義から実装、テストまでの開発速度が従来比で3〜5倍に向上した。

  • 若手職員による政策立案ドラフトの質が向上したほか、ベテラン職員が持つマニュアル化されていない暗黙知をAIの指示・修正ログから組織知化する計画を進めている。

  • 米OpenAIは2026年8月31日、日本のスタートアップであるPolimill(ポリミル)による行政特化型生成AIプラットフォーム「QommonsAI(コモンズAI)」の活用事例を公式ブログで公開した。PolimillはOpenAIのAPIやAI支援技術を活用して同プラットフォームを構築しており、全国の自治体業務を支える公共OSとしての展開を進めているという。

業務過多の解消と「自治体向け共通OS」を目指すQommonsAIの展開

Polimillはもともと、市民が政治や社会課題について意見を交わすプラットフォーム「Surfvote」の提供から事業を開始した企業だ。同社が自治体と協業を進める中で、行政現場の職員が日々の膨大な定型業務に追われ、住民の声を政策へ反映させるための時間を十分に確保できていないという構造的な課題が浮き彫りになったという。

こうした背景から、行政業務そのものの効率化を図るべく開発されたのが、行政特化型の生成AI基盤「QommonsAI」だ。2024年10月のリリース以降、議会答弁の作成支援、住民サービス、社会福祉、法規検索など、行政領域に特化したAI機能を提供している。現在では全国約1,050の自治体、約55万人の公務員が利用する規模に達している。

同社のCAIO(最高AI責任者)を務める若林雅裕氏は、人手不足が深刻化する中でAIによる業務効率化は不可欠であるとしつつ、自治体ごとに個別のツールを導入すると地域間でサービス格差が生じる懸念を指摘。すべての自治体を等しく支える共通基盤として、日本の行政を支える「パブリックOS」へと育てたいと述べている。

分断された行政データの標準化とセキュアな基盤構築

自治体現場への生成AI導入における最大の障壁の一つは、データの分断だったという。自治体ごとに業務フローや文書フォーマットが異なり、過去の記録も散在していた。例えば議会答弁の作成では、過去の答弁や方針との整合性を確認するために数年分の議事録を手作業で確認する必要があり、データが整理されていなければ高性能なAIであっても実用的な回答を出せない課題があった。

そこでPolimillは、全国の議会会議録を収集して標準化し、AIによってメタデータを付与することで、自治体や年度を横断して検索できる高精度な検索基盤を構築した。この仕組みを福祉や法規など他の行政領域にも拡大し、散在していた行政情報を日常業務で利活用できるナレッジへと変換している。

また、行政機関での利用に耐えうるセキュリティとガバナンスも整備されている。管理者が機能の利用履歴を監査できる機能や、組織のポリシーに応じて利用可能なモデルを制限する運用制御機能を搭載した。その上で、現場での定着を図るために広く知られているGPTモデルを採用しており、ファイルの読み込みから日常的な対話業務まで、幅広い作業に対応できる汎用性が評価されているという。

Codex活用とOpenAIの伴走支援で開発速度が最大5倍に

QommonsAIの開発プロセス自体にもOpenAIの技術が深く組み込まれている。Polimillでは、要件定義からGitHub上の既存コードとの整合性確認、実装、テストに至る一連のワークフローにAIコーディングモデル「Codex」を導入した。エンジニアはAIが生成した計画のレビューや高レベルな意思決定に専念し、実装作業の多くをAIが自律的に担う体制を整えた。

このAIを活用した開発体制により、開発速度は従来の3〜5倍に向上した。プロトタイプを迅速に構築して自治体の現場に見せ、フィードバックを収集して改善する検証サイクルが大幅に加速したとしている。

さらに、OpenAIによる直接的な伴走支援も開発を後押しした。グローバルの先行事例の共有や、AIが担当すべき領域と人間がレビュー・責任を持つべき領域の切り分けといった開発プロセスの設計支援が行われたという。若林氏は、急速に進化するAI開発のベストプラクティスをOpenAIから継続的に学び、自社の開発組織に取り込める環境そのものに高い価値があると説明している。

若手の政策立案力向上とベテランの「暗黙知」を継承する取り組み

QommonsAIの導入効果は、単なる情報検索の高速化にとどまらない。同社の検証によると、経験の浅い若手職員がAIと蓄積された行政データを活用して政策提言のドラフトを作成したところ、経験豊富なベテラン職員の提案に近い評価を得られたという。

一方で、最も高い評価を得たのは依然としてベテラン職員の提案だった。Polimillはこの差について、政策を実現するために必要な手順や住民が抱く懸念への配慮など、マニュアルには記載されていない「暗黙知」による判断が影響していると分析している。

Polimillは今後、ベテラン職員がAIに対してどのような調査指示を出し、AIの出力をどのように修正したかを記録する仕組みを計画している。これまで文書化されてこなかった熟練の判断ノウハウを組織全体のナレッジとして形式知化し、次世代へ継承するための基盤としてもQommonsAIを発展させていく方針だ。

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