OpenAIが初の独自推論チップ「Jalapeño」の成果を公表、モデルからデータセンターまで統合するインフラ戦略を明かす
要点
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OpenAIが自社設計による初のAI推論チップ「Jalapeño」の性能測定結果を公開し、既存の商用システムを上回る電力効率と低遅延を示した。
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モデル、配信ソフトウェア、半導体を一体開発しつつ、NVIDIAやAMD、ソフトバンクなど多様なパートナーとの調達網も維持・拡大する。
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最新モデル「GPT-5.6 Sol」が出力トークン数を54%削減しながらコーディング評価ベンチマークで最高記録を更新した。
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米ジョージア州のデータセンター計画など、インフラから応用製品まで一貫して自社で統制を効かせる方針を掲げている。
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米OpenAIは2026年8月25日、公式ブログにおいて自社設計のAI推論チップ「Jalapeño(ハラペーニョ)」の初期測定結果と、同社の包括的な計算基盤戦略を公表した。サラ・フライアー(Sarah Friar)氏による記事の中で明らかにされたもので、データセンターから半導体、モデル、製品群までを垂直統合し、計算資源あたりの知能生産性を高める構想を示している。
独自推論チップ「Jalapeño」の性能と自社ハードウェアの狙い
公表されたデータによると、Jalapeñoはオープンモデル「GPT-OSS 120B」を用いた公開ベンチマーク「InferenceX」において、比較対象となった商用システムを上回る性能を記録した。1キロワットあたりのピークスループット(単位時間あたりのデータ処理量)が高く、トークン遅延(単語などの構成単位を生成する際の待ち時間)もより低く抑えられたという。また、「DeepSeek R1」や「Kimi K2」といった他社モデルの処理でも高い性能を示し、複数の異なるモデル構造に対しても効果を発揮することが確認されたとしている。
OpenAIは、Jalapeñoの開発目的についてモデルの実行制御力と提供コストの改善にあると説明している。AIモデル、配信ソフトウェア、チップ、メモリ、ネットワークを一体で設計することで、処理能力やエネルギー効率をシステム全体で向上させられるという。同社は外部パートナー製のアクセラレータ(処理加速用の半導体)と並行して自社製ハードウェアの実用化を進めており、次世代チップの開発もすでに進行中だとしている。
多様なパートナー連携と持続可能なデータセンター設計
自社製チップの開発を進める一方で、OpenAIは外部パートナーとの連携も積極的に拡充している。最先端モデルの学習や大量の推論処理、常時稼働エージェントなど、用途ごとに要求される電力やネットワーク性能が異なるためだ。同社は状況に応じて最適な構成を選択し、コストあたりの性能を高める方針をとっている。
同社の成長を支えてきたマイクロソフトやNVIDIAに加え、現在のポートフォリオにはAWS、AMD、ブロードコム、セレブラス、コアウィーブ、オラクル、SBエナジー、ソフトバンクが含まれる。各社が持つクラウド基盤や低遅延推論、エネルギー供給などの強みを活用し、柔軟な運用体制を維持するという。
さらに、インフラの拠点となるデータセンターの設計にも注力している。米ジョージア州の「Project Camellia」では、顧客の処理負荷に合わせた設計を行い、地域雇用の創出やインフラ費用の負担を実施している。冷却面では水を循環利用するクローズドループ方式を採用して節水を図り、これらの取り組みについて年1回の独立した公開監査を受ける体制を整えていると報告している。
「GPT-5.6 Sol」の実績と効率化がもたらす経済サイクル
同社はシステムの価値基準を「投入した計算資源あたりから得られる有用な知能の量」と定義している。回答精度を高めて試行回数を減らし、ソフトウェアとハードウェアの最適化によって無駄な演算を省くことが、1ドルあたりの成果を最大化する鍵だとしている。
その具体例として挙げられたのが、コーディング評価指標「Artificial Analysis Coding Agent Index」における成果だ。最大推論(max reasoning)設定を適用した最新モデル「GPT-5.6 Sol」は、別の主要モデルと比較して出力トークン数を54%削減しながら、過去最高のスコアを記録したという。これにより、ユーザーにとっては処理速度の向上やエラーによる再試行の減少、ワークフローの長期実行が可能となり、作業達成あたりの総コスト削減につながるとしている。
記事では、効率向上により利用コストが低下すると需要が爆発的に広がる「ジェボンズのパラドックス(効率向上により利用コストが下がると、結果として消費全体が拡大する現象)」に触れ、AIがより安価で高性能になることで契約書確認や財務分析など実社会での適用先が拡大すると指摘。利用拡大による収益を研究やインフラ、安全性へ再投資する好循環を築く考えを示して記事を締めくくっている。