OpenAIがポーランド国立研究所NASKと提携、AI安全性研究とサイバー防御で協力へ
要点
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米OpenAIとポーランド国立研究所NASKが、AIの安全性やサイバーセキュリティに関する協力協定を締結した。
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ポーランドのAI安全研究所(AISI)を担うNASKの研究知見とOpenAIの技術力を合わせ、AIモデルの評価や脆弱性特定を進める。
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各国の公的機関が持つ実務知見を反映させ、国境を越えた国際的なAI技術基準の確立を目指す。
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両組織は2026年7月にもサイバー防御で協力しており、OpenAIのモデルを用いてルーターOSの脆弱性6件を発見した実績を持つ。
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米OpenAIは2026年10月23日、ポーランドの国立研究機関NASK(National Research Institute)と、AIの安全性、セキュリティ、技術研究における連携協定を締結したと発表した。
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急速に高性能化するAIシステムに伴う新たなリスクの把握や防護策の強化に向け、民間企業と公的研究機関の知見を結集させる狙いがある。
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両組織はモデルの評価手法の探求や潜在的な脆弱性の特定を進めるとともに、国境を越えた国際的な安全基準の策定に向けて協力していく方針だ。
協定の概要と安全性評価に向けた共同研究
今回の合意に基づき、ポーランドにおける「AI安全研究所(AISI: AI Safety Institute)」としての公式な役割を担うNASK傘下の「AI安全性研究センター」とOpenAIが共同研究を進める。
協力の柱となるのは、能力を急速に向上させているフロンティアAI(最先端の大規模モデル)の評価手法の確立、潜在的な脆弱性の洗い出し、そしてシステムの悪用を防ぐセーフガード(安全対策機能)の強化だ。
OpenAIはこれまでにも、米国のCAISSI(超知能規格・イノベーション推進センター)や英国のAISIなど各国の公的研究機関と連携を重ねてきた。AIエージェントのセキュリティ脆弱性の特定や修正で培った実績をもとに、今回の提携によって国際的な安全性検証のネットワークをさらに拡大させるとしている。
双方の代表者が語る「知見の融合」と国際協力
提携にあたり、NASK所長のラドスワフ・ニエレク(Radosław Nielek)氏は、新興リスク対策やAI生成コンテンツの検知、悪用事例の解明、多言語環境特有の課題把握に取り組んできた同研究所にとって自然な一歩であると述べている。ニエレク氏は「AIの安全性は孤立した状態では達成できない」と指摘し、公的研究機関と開発企業の積極的な連携こそが信頼できるAIの実現に不可欠であると強調した。
一方、OpenAIのEMEA(欧州・中東・アフリカ)政策責任者兼バイスプレジデントを務めるトム・ダフ・ゴードン(Tom Duff Gordon)氏は、ポーランドが優秀な科学者や技術者を多数輩出し、OpenAI自身の研究開発を牽引する人材も多く含まれている点に言及した。AIが高性能化する中で、外部の専門知識を取り入れて組織内の前提を検証し、システムをテストして安全策を固めることが重要であると説明している。
国際的な技術標準づくりと現場の実情に根ざした研究
OpenAIは、フロンティアAIに関する国際的な技術標準の確立に向けて、米国が世界各国の政府や研究機関と協調するよう呼びかけている。各国の安全性研究所などの知見を結集し、モデルの能力評価、リスク査定、安全対策の検証、インシデント報告に関する共通アプローチを設けるべきだという主張だ。共通の枠組みがあれば各国が証拠を比較しやすくなり、国境を越えて拡散するリスクへの共同対処が可能になる。
NASKとの協力は、各国の専門知見をこうした広域的な枠組みへ反映させる試みでもある。NASKの強みは、ポーランド国内の公共サービスやデジタル空間の保護という実務に直接応用されてきた研究の蓄積にある。OpenAIは、現場の実情を知る各国の公的パートナーが参画しなければ、世界基準が実際の利用環境から乖離してしまうおそれがあると指摘している。
先行するサイバー防御の実績:ルーターOSの脆弱性を特定
今回の合意は、OpenAIとポーランドのサイバー防衛担当者との先行した取り組みを基盤としている。
2026年7月、NASK傘下のコンピュータ緊急対応チーム「CERT Polska」は、OpenAIの支援枠組み「Daybreak」を通じ、同社の高度なサイバー対応モデルへのアクセス権を取得した。
CERT Polskaのチームはこのモデルを活用し、ネットワーク機器大手MikroTik(マイクロティック)のOS「RouterOS」において、計6件のセキュリティ脆弱性を特定した。中には、複数の欠陥を組み合わせて事前認証なしに機器の制御権限を奪取できる深刻な脆弱性も含まれていたという。
ベンダーが修正パッチを提供した後、CERT Polskaは実際に観測されていた攻撃が防止されたことを確認している。両組織は、こうしたサイバー防衛の現場における実質的な成功例を踏まえ、研究協力をAI安全性全般へと拡大させた格好だ。
補足
欧米を中心とする主要国ではAI安全研究所(AISI)の設立が進んでおり、官民や国境を越えた安全基準の共通化が国際的な焦点となっている。