OWN NEWS GATHER
← 戻る
OpenAI Blog

OpenAIが企業向けAIの利用動向を報告、作業実行型エージェントへの移行と広がる活用格差が明らかに

要点

  • OpenAIは、企業におけるAI利用の実態を分析した2つの調査レポート「Enterprise Signals」とワーキングペーパーを公開した。

  • 企業でのAI利用は質問への回答からタスクの直接実行へとシフトしており、6月時点で企業向け出力トークンの64%をCodexが占めている。

  • 利用上位10%の先進企業におけるユーザーあたり出力トークン量は一般企業の8.3倍に達し、1月時点の2.6倍から格差が急拡大している。

  • Codexの利用はエンジニアリング領域にとどまらず、法務で108倍、営業や採用で41倍などナレッジワーク全般へ急速に広がっている。

  • 役職別の利用頻度では幹部層よりも若手社員の方が高く、導入6か月時点で若手社員は幹部より週に13回多くメッセージを送信している。

  • 米OpenAIは2026年8月12日、法人顧客におけるAIの利用実態や普及動向をまとめた2つの調査レポートを公開した。企業におけるAIの使われ方が、従来の質問・相談といった支援型(assistance)から、自律的に作業を完了させる実行型(execution)へと移行している実態が示されている。また、AIを高度に使いこなす先進企業と一般的な企業との間で利用の深さに大きな格差が生じていることも判明した。

「相談役」から「作業の直接実行」へ移行する業務利用

公開されたレポート「Enterprise Signals」およびワーキングペーパー「How Organizations Use AI: Evidence from ChatGPT」によると、企業におけるAIの役割は、疑問に答えるアシスタントから具体的な業務を遂行するエージェントへと変化している。

従来のAI活用では「プレゼンテーションの準備方法を尋ねる」といった使い方が中心だったが、ツール操作やファイル生成が可能なChatGPT WorkやCodexの普及に伴い、「複数の情報源から必要なデータを集め、プレゼンテーションのドラフト資料そのものを作成させる」といった指示へと移行しているという。

この変化はデータにも明確に表れており、2026年6月時点において、企業顧客が消費するChatGPTとCodexの合計出力トークンのうち、64%をCodexが占めるに至った。エージェントによる一連の作業は長時間のマルチステップ処理を伴うため、出力トークン数の増大は作業の委譲が実務レベルで進んでいることを裏付けている。

先進企業と一般企業で広がる8.3倍の利用深度ギャップ

調査では、アクティブユーザーあたりの月間出力トークン数をもとに企業を分類・比較している。利用量上位10%に位置する「フロンティア企業」と、中央値付近(45〜55パーセンタイル)の「一般的な企業」を比較したところ、1ユーザーあたりの出力トークン量には8.3倍の開きがあることが明らかになった。

この格差(フロンティアギャップ)は2026年1月時点では2.6倍にとどまっていたが、わずか数か月で3倍以上に拡大した。この傾向は特定のIT業界に限らず、さまざまな業種や企業規模に共通して見られるという。

格差を生んでいる主な要因として、社内データやツールと連携する高度な機能の活用度合いが挙げられている。フロンティア企業では週間アクティブユーザーの21%がPluginsを、19%がskills(再利用可能な指示定義)を利用しているのに対し、一般的な企業での利用率はそれぞれ9%と3%にとどまる。なお、OpenAI社内におけるPluginsの週間利用率は95%に達しており、外部企業においてもさらなる活用の余地が大きいと同社は指摘している。

法務・営業・採用など非エンジニア領域での急成長

エージェント型AIの活用は、従来の中心地であったソフトウェア開発からナレッジワーク全般へと急速に波及している。2026年2月以降の企業向けCodexの週間アクティブユーザー数の推移を見ると、エンジニアリング領域が5倍の成長であったのに対し、法務部門では108倍、営業部門で41倍、採用部門で41倍、マーケティング部門で26倍という大幅な伸びを記録した。

レポート内では導入事例としてVirgin Atlanticの取り組みが紹介されている。同社のエンジニアリングチームではCodexを活用してレガシーコードのリファクタリング作業を従来の2週間から30分へ短縮したほか、プロダクト部門ではChatGPT Workを用いて数週間を要していた競合調査を数時間で完了させ、向こう5年間のデジタル戦略策定に役立てているという。

若手社員による積極活用と導入企業の財務基盤

役職・職位別の利用傾向に関する分析では、事前の一般的な認識とは異なる実態が示された。幹部やエグゼクティブ層の利用率が高いとする従来のアンケート結果とは対照的に、数百万件規模の会話ログを分析した結果、若手社員(early-career employees)ほどAIを頻繁に利用していることが判明した。導入から6か月が経過した段階で、若手社員は経営幹部層に比べて週平均で13回多くAIへメッセージを送信している。

また、米国の公開企業を対象としたワーキングペーパーの分析によると、AIを先行導入している企業は非導入企業と比較して、より多くの資産を保有し、従業員数が多く、研究開発(R&D)投資の水準も高い傾向にあることが確認された。

レポートでは、AIツールへのアクセス権を付与するだけでなく、継続的な学習環境の整備、ワークフローの共有、データ基盤の構築、ガバナンス体制の確立といった補完的な投資を行うことが、組織全体での深い活用につながるとまとめられている。

元URL